革製品で貧困層の雇用創出を。ビジネスレザーファクトリーの真の魅力に迫りました。

低価格高品質の革製品を販売するビジネスレザーファクトリー。
 
2014年にスタートし、今では全国に18の直営店舗を構える、ビジネスパーソンに人気の革製品ブランドです。名前を聞いたことがある方、実際にビジネスレザーファクトリーの革製品を使用している方も多いのではないでしょうか。
 
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、ビジネスレザーファクトリーは、雇用の創出を生むことが原点にあるソーシャルビジネスです。ただ、その裏側のストーリーはほとんど知られていません。

  • 解決したい問題は何か
  • なぜ革製品でないといけないのか
  • 自社工場を建てたことで、バングラデシュで何が変わったのか
  • そして、将来的には何を目指しているのか

今回は、あまり語られることがなかった、ビジネスレザーファクトリーの裏側をお届けいたします。

インタビューイー
原口瑛子
ビジネスレザーファクトリー代表取締役
熊本県生まれ。高校時代に「ハゲワシと少女」の写真を見て、「世界中の貧困をなくしたい」という志を持つ。2017年ビジネスレザーファクトリー(株)代表取締役社長に就任。現在は、バングラデシュの貧困問題の解決のための事業に取り組んでいる。

 

雇用創出のためのビジネスだということ

 
──それではビジネスレザーファクトリーがどういうブランドなのか、教えていただけますか?
 
ビジネスレザーファクトリーは、バングラデシュの雇用を創出するために生まれた事業です。
 
その事業目的を達成するために、ビジネスシーンに特化した革製品を販売しています。
 

──バングラデシュの雇用を創出するためとはどういうことでしょう、、、?
 
バングラデシュはアジアの最貧国とも言われていたのですが、ビジネスレザーファクトリーは貧困層の雇用を生むことで、バングラデシュの貧困削減を目指しているブランドということです。
 
少しだけ背景をお話しできればと思うのですが、バングラデシュは、日本の約40%の国土に1億6000万人が暮らしている国です。
 
特に首都のダッカは世界一人口密度が高い都市で、全国から人々が仕事を求めて集まります。
 
バングラデシュの失業率は高く、特に、貧しさゆえに学校に行ったことがない、働いた経験がない人々は、働きたくても働けず、貧困から抜け出せない人が多いことが社会問題のひとつです。
 
そういった現状を解決したい、という想いで、ビジネスレザーファクトリーは始まりました。
 
具体的には、バングラデシュに革製品を作る自社工場を構え、そこで貧しい人を直接雇用して、付加価値の高い革製品に加工し、日本で自社ブランド製品として販売することを行っています。
 
名刺入れや、IDカードケース、ビジネスバッグ、ビジネスシューズなど、ビジネスシーンに特化した130種類のアイテムを13カラーでお客様にご提案しています。
 
 

革でなければいけなかった。

 
──バングラデシュというとアパレルが有名かと思うのですが、なんで革だったのでしょうか?
 
革である理由は2つあります。
 
1つは、バングラデシュの現地資源である牛革に着目したためです。
 
バングラデシュはイスラム教の国で、年に2度、イードとと呼ばれる宗教的行事があります。
 
その1つが、日本語では犠牲祭と呼ばれる行事なのですが、牛や羊の家畜を屠殺して、神様に捧げたり、貧しい人に配ったりするというお祭りです。
 
その日だけは貧しい人も含め、みんながお腹いっぱいお肉を食べられる日なんです。
 
そして、イードが終わると大量の牛革が市場に出回わります。
 
牛の皮は革になめされてヨーロッパなどに輸出されるのですが、ビジネスレザーファクトリーはその現地資源である牛革に着目しました。
 
牛革に付加価値をつけて販売することで雇用を作り出せる考えたんです。
 

──そういう背景があったんですね。2つ目の理由もお聞かせいただけますか?

 
2つ目は、革製品の方がより多くの雇用を生むことが可能だからです。
 
どういうことかというと、革製品の製造は、アパレルよりも、工程が多いことが特徴なんですが、ミシンで縫製するだけでなく、組み立ての工程が多くあるんです。
 
私たちの自社工場では、その工程をさらに細分化して、仕事を作り出しました。
 
例えば、ミシン後に糸を切って熱で仕上げする仕事や、組み立ての中でのり付けをする仕事。
 
革製品の製造だと、こういった簡単にできるけど、工程の中では重要な仕事が多いので、より多くの雇用を生めますし、簡単な作業なので昨日まで働いていなかった人も働けるんです。
 
多くの人を仲間に加えることができることもあって、革製品を作ることを決めました。
 
 

革製品に関しては素人だった

 
──元々革製品の技術はあったのでしょうか?
 
それが、全くなかったんです(笑)
 
なので、今現地のトップのファルクと日本のメンバーで、東京の老舗革製品メーカーに修行に行かせてき、日本のものづくりを習得しました。
 
日本の技術を学ぶビジレザのメンバー
 
今のビジネスレザーファクトリーの革製品には、日本のものづくりの技術がふんだんに散りばめています。
 
例えば、こちらの名刺入れをみていただきますと、この端にギャザーのような加工があるのがわかるかと思います。
 
ビジネスレザーファクトリーの名刺入れ
 
革を切って縫い合わせる方が簡単で効率的なのですが、こちらは革を寄せながら加工する菊寄せという加工の技術をほどこしています。
 
また、念引きという技術もほどこされています。
 
凹凸をつけることで密着性を高くし、さらに装飾としての上質さを表現する技術で、熟練の職人技です。
 
このような細かい技術は正直、お客様には気づかれないことも多いんですけどね(笑)それでも私たちは、ひとつひとつの技術にこだわりたいと考えています。
 
 

代表が選ぶおすすめの逸品

 
──強いこだわりを持って作られている革製品ですが、その中でもおすすめの商品はございますか。
 
特にこだわりのある商品を3つご紹介できればと思います。
 
まずは、こちらの名刺入れ。
 
ビジネスレザーファクトリーの名刺入れ
 
先ほどお話しした菊寄せや念引きなど、日本の技術が全て入っているアイテムと言っても過言ではありません。
 
3999円(税抜)で販売しています。
 

続いて、こちらの2way バックパック。
 
ビジレザの2wayバックパック
 
ビジネスレザーファクトリーとしては、さまざまなビジネスバッグを提案しているのですが、このバックパックは働き方が変わっている時代で働くビジネスパーソンにおすすめです。
 
また、嬉しいことに2019年にTBSの『凪のお暇』というドラマで、高橋一生さん演じる我聞慎二が使用したことでも話題になりました。私たちから依頼して実現したわけではなく、番組の方がビジネスレザーファクトリーを見つけてくれたのも嬉しいポイントです。
 
最後に革靴を紹介します。
 
ビジレザの革靴
 
靴を作るには、靴の形を決める木型が重要なのですが、ビジネスレザーファクトリーでは日本人の足に合ったオリジナルの木型を使用しているので、日本人のお客様にとって履き心地がいい革靴を作っています。
 
ソールはラバーを使われることも多いですが、そこにもレザーを使用していて、上質感のあることのも特長です。
 
少し裏側のお話をしますと、靴の自社工場もスタートし、小物やバッグを作る工場の隣にあり、そこでは耳が聞こえない人々を雇用しています。
 
技術は習得できるのに、耳が聞こえないというだけの理由で、他の工場では採用されないことがあるのですが、革靴の工場ではそういう方を採用しました。
 
そういう事業背景もあって、革靴はすごく思い入れが強いです。
 
 

モノづくりの哲学

ビジネスレザーファクトリーのものづくり
 
──私自身、ビジネスレザーファクトリーの店舗にも足を運んだことがあるのですが、本当に高品質な革製品だということが実感できました。モノづくりにおけるこだわりを教えていただけますか?
 
品質に対しては、強いこだわりを持っていますのでいくつかポイントをお話しできればと思います。
 
まずは、質の高い本革を使用していること。
 
革にもランクがあるのですが、ビジネスレザーファクトリーで使用しているのは全て最高ランクのものなんです。
 
通常バッグなどは使用する革の面積が多いので、ランクの低い革を使用するのですが、ビジネスレザーファクトリーでは、バッグでも全て最高ランクの革を使用しています。
 
それから、先ほども申し上げたように、日本の職人技を継承しているメンバーなので、生産技術の高さも挙げられます。
 
最後に、SPAのビジネスモデルなので、お客様からいただいた品質に対するご意見をを直接バングラデシュにフィードバックしているため、改善のスピードが早いということもこだわっているポイントです。
 
───それだけのこだわりを持ちながらも、価格としては市場価格の1/3程度だと思うのですが、低価格を支えている要因は何でしょうか?
 
SPAという形で一気通貫でやっているため、仲介手数料がかからないことが最大の要因ですね。
 
革を直接仕入れられますし、バングラデシュから日本全国の店舗に並ぶまでも間の業者が入っていないため、不要なコストがかかりません。
 
なので、商品を作る素材代と工賃、そして工場運営の利益だけを上乗せする形になるので、他の本革ブランド様と比較してもリーズナブルな価格設定を実現しています。
 
ただ、原価が非常に安いのかと言われれば、実はそんなこともありません。
 
私たちの工場のメンバーの多くは、働いた経験がなく、ものづくりの初心者なので、技術を教えるための時間的な教育コストがかかるからです。
 
また、原価の中にある工賃は、工場のメンバーの人件費です。ビジネスレザーファクトリーが貧しい人々の雇用を生むために、そして彼らの生活がより豊かになるために、始まったブランドだということも考えると、彼らの給与は正当に上げていきたいと考えています。
 
なので、原価が非常に安いわけではないのですが、プロダクトやサービスの品質に対して、リーズナブルであるとお客様に感じていただける最適な価格帯で、かつ工場で働く人の生活も守っていくことが重要だと考えていて、ビジネスレザーファクトリーとしてのものづくりの哲学が、今の価格設定に繋がっていると思います。
 
──確か12月に一度値上げされていたかと思いますが、どういった背景があったのでしょうか。
 
おっしゃる通り、2020年の12月に各商品1,000円ほど値上げしました。
 
ただ、値上げに関しても私たちの利益を増やすためのものではなくて、背景にはバングラデシュの経済成長に伴う人件費の高騰があります。
 
人件費というのは、メンバーの給与、つまり彼らの生活です。ビジネスレザーファクトリーが始まったのは2014年ですが、バングラデシュの物価も上昇していて、創業当初とは全く違う給与水準になっています。
 
そのため、その工場の人件費の高騰分も吸収しながら、ブランドとして運営できる価格に再設定した形になります。
 
 

メンバーが夢を持てるようになったことが何よりの価値。

ビジレザのメンバー
──自社で工場を持ったことでバングラデシュのメンバーに与えた影響を教えてください。
 
メンバー個人としての観点と、工場全体の観点でお話しできればと思います。
 
まずメンバー個人としての観点を考えた時に、メンバーのライフストーリーを聞くと、本当にこれまで過酷な生活をしてきたことがわかります。
 
一日一食食べられない状態で生きていた。親に虐待を受けて命がけでダッカに逃げてきた。セックスワーカーとして売られる寸前でたどり着いた。
 
私たちにとっては、3食を食べることも、安全に生きていることも当たり前かもしれませんが、そうではない現実が、バングラデシュでは存在しています。
 
でも、ビジネスレザーファクトリーの工場で働くことできて、毎月必ず給料が支払われますし、生活の質は上がりました。
 
それによって、電気が通るようになり、コンロが使えるようになって、そして頑張ればいつかは冷蔵庫が買えるようになるといった、生活が少しずつ豊かになったという側面もあります。しかし、それよりも価値があるなと思うのは、工場のメンバーが自分の手で、未来を描けるようになったことなんです。
 
──どういうことでしょうか?
 
工場メンバーが自分で働いたお金で、子どもを学校に行かせたいとかいや、病院に行かせたいとかこと、そうやって、将来のことを考えられるようにようになっていくんです。
 
今日生きるか死ぬかの生活から、夢や将来を考えることができるようになる。
 
これが何よりも嬉しいです。
 
──素晴らしいですね。工場全体としてはいかがでしょうか?
 
ありがたいことに革製品を扱う工場としては、バングラデシュでも2位の規模になりました。
 
その中で安心安全で、家族のように働ける環境を作れていることはすごく誇りに思います。
 
安心安全というのはバングラデシュでは当たり前ではないんですよ。
 
パワハラやセクハラはまだまだ存在しているのが実情ですし、給与の未払い問題もあります。
 
その中で真逆のロールモデルとして、私たちが認知されているのは誇らしいことです。
 
その証拠に工場では、求人広告を出したことがないのですが、それでも人づてに聞いて応募者が集まってくるんです。あの工場であれば安全に働けると思われているんだと思います。
 
また、一部の工場では、給与を2倍3倍にして、引き抜きを行うこともあって、うちのメンバーも引き抜かれるケースもあるんです。
 
初めて私たちの工場で働くメンバーは、一度離れるメンバーもほんの一部います。でも、やがて戻ってきます。
 
結局は、給料だけでなく、家族のように働ける場所を求めて戻ってきますね。
 
このように社会にとってのロールモデルを確立していきたいと考えています。
 
 

ビレッジ構想と世界展開

ビジレザ、バングラデシュ工場の仲間たち
──最後に、将来の展望を教えてください。
 
ビジネスレザーファクトリーは貧しい人の雇用を作ることが事業目的ですので、雇用を更に生めるように、事業を拡大していければと思います。
 
以前バングラデシュのスラムに行った際には、不安定な生活をしている人々が多く存在している現実を目の当たりにしました。
 
そういった人の働く場を増やすという意味でも、事業の拡大には注力していきたいです。
 
そして「働く」と「生きる」を実現できるコミュニティーを作っていきたいと考えています。
 
例えば、食堂があって、教育や医療の機会も提供していくひとつのでっかい村のようなコミュニティーです。私たちはそれを「ビレッジ構想」と呼んでいます
 
実際に2017年から工場の中には託児所を作り、2020年にはアフタースクールを作りました。そして、食堂を作るプロジェクトをスタートしています。
 
近い将来は、バングラデシュでつくったロールモデルを、働きたくても働けない人々が存在する地域や国で展開させたいと思います。
 
通常のブランドであれば、ブランドを拡大するために、まずは販売拠点から決めて、より安価な労働力を探しますですが、ビジネスレザーファクトリーは雇用を生むことからスタートしていますので、働く場を作るべき生産国から決めて、販売拠点を選ぶという、通常の逆の形で事業を拡大していきたいと思います。
 
そう遠くない未来になると思いますが、このように世界中に展開できればと思います。
 
編集後記
今回は、ビジネスレザーファクトリーの裏側のストーリーをお届けしましたが、いかがでしたでしょうか。
 
なぜ、裏側をもっと発信しないのかと伺ったら、「お涙頂戴ではビジネスは成り立たないですし、それは工場メンバーも望んでいないと思いますので。」とのこと。
 
その発言からもとことん品質にこだわっていることが伺えました。
 
「素敵ですね」との私のコメントには、「私たちが当たり前になればいいですけどね。」といい意味で一蹴され、改めてビジネスの意味を考えされられました。
 
次に革製品を買うことがあれば、ビジネスレザーファクトリーの革製品をぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
 
それでは最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。
 

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ライター:Sohshi Yoshitaka
Ethical Choiceの事業責任者。2030年までに地球が持続可能になる土台を、ビジネスを通して作ることが現在のミッション。
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