スポーツ×アートで楽しく社会貢献。GPSランナーが考える競わない意義とは?

ランニングアプリを使ったことがある方は、走った軌跡が地図上に表示される機能があることはご存知かと思います。

GPSの軌跡で、メッセージや絵を描き、発信する活動を行っているのが今回お話を伺った志水 直樹さん。

競わないことがスポーツ×アートの最大の魅力と語る志水さんに、GPSランナーを始めたきっかけや今後の展望を伺いました。

インタビューイー
志水直樹
GPSランナー
兵庫県西宮市出身。元小学校教師。ランニングアプリの”走った軌跡に色が付くGPS機能”を使い、これまで世界10ヵ国で約700作品を制作(2021.5月現在)。スポーツとアートを融合させた「GPSラン」の魅力を国内外に発信している。

「西」が見えたことが始まり

──スポーツ×アートの社会貢献ということですが、活動を始めたきっかけを教えていただけますか。

直接的なきっかけは、地元で行われる有名な神事、西宮神社の福男です。

ご存知の方も多いと思いますが、年始の一大イベントで、私も福男にエントリーして並んでいました。

並ぶ時間が結構長くて、5時間ほどあったのですが、その時にマップを眺めていたら、偶然神社の形が「西」に見えてきまして。

その時は並んでいたので、実際に走りませんでしたが、面白いアイディアになると思いました。

その翌月、2016年の2月にバレンタインデーに「西宮LOVE」を書いたところ、話題になりまして。

そこから本格的に始動した形になります。
──地図から文字が見えるというのは、かなり特殊な技術だと思うのですが、なぜそんなことができるのでしょうか?

お題を貰う場合もありますし、絵がパッと浮かぶ場合もあります。活動の下支えになっているのは、確実に地図・航空写真を取り扱う建設コンサルタント会社で働いていた経験だと思います。
──そしたら即興で組み立てることも可能ですか?「Ethical」で描けたりしますか?

全然可能だと思いますよ!

EthicalをGPSで
(その後3分くらいで蔵前付近の地図で書き上げた絵がこちらです。無茶振りにご対応いただき、ありがとうございました。)

 

競わないから、楽しくてインクルーシブ

──これまでいろんなGPSアートを書いてこられたかと思うのですが、特に印象に残っている作品をいくつか教えていただけますか?

3つ紹介いたします。

1つ目は、台湾を舞台に描いたものなのですが、作品1つで繋がった関係が多くあって、本当に描いてよかったと心から思っています。

日本♡台湾

これは、台湾で地震が起こった際に、東日本大震災の支援をしてくれた時の感謝を伝えようと描いた作品です。

現地で「日本♡台湾」と「花蓮加油(がんばれ!)」のメッセージを描いたところ、現地のニュースにも取り上げていただき、SNSのアクセスが35万を超えるなど、反響が大きいものでした。

──アート×スポーツを通じた国際交流ですね。美しいです!2つ目を教えていただけますか?

2つ目は名古屋で描いたこちらの織田信長です。

織田信長のGPSアート

プロとしていい作品が描けたと自負しております。

最初に頭のカーブが見えて全体をデザインしたのですが、和装着物もうまく表現できたお気に入りの作品です。

このように、川の曲線などの現地の地形を活かすのも醍醐味なんです。
──難しそうなのに、織田信長にしか見えなくてすごいです汗 3つ目は何でしょう?

3つ目は、*今ちょうど作っている2026年のアジア競技大会(アジアオリンピック)2000日前記念の作品なのですが、こちらは連携アートになっています。

アジア競技大会(アジアオリンピック)2026の開催2000日前記念イベント

GPSランナーを始めた当初から思い描いていた形の作品で、すごく思い入れがあります。

これは日本と世界各地で1文字ずつ描いて、最後にそれを連結するのですが、愛知県から11人、日本全国から11人、そして世界から8人が参加して作り上げた30文字の作品です。

それぞれの場所で、自分のペースで実施できるので、感染症のリスクも最小限ですし、子どもから高齢者まで参加できます。
──スポーツ×アートは本当に国境も関係なくて素敵ですね。

ありがとうございます!

それもこの活動のいいところだと思います。

作品なので、描ききることが目標です。なので、スピードを競う必要もありません。

だからゴミを拾いながもできますし、楽しくできて、かつインクルーシブなんです。

*取材日は2021年3月25日

遊びがいつの間にか社会貢献に

GPSラン 

──周りからはどのような反応をいただきますか?

スポーツ×アートなので、どんなことにも幅広く応用できる性質があります。例えば、ゴミ拾いウォーキングや、ゴミを拾いながら走るプロギングイベントが人気です。みんなで清掃したルートが、巨大な地上絵になります。

そういった活動をした際に、

「ゴミ拾いが楽しいとは思わなかった。」
「めっちゃ楽しくて、ワクワクするゴミ拾いは初めて。」

といった声をいただきます。

感じたことがない達成感を感じていただけるとのこと。

遊びがいつの間にか社会貢献になっているので、関わる人が感動して帰っていただけるんです。

ただただ楽しいから、次はいつ?と首を長くして待ってくれている。

社会貢献がつまらないものじゃなくて、感動して帰ってくれるのが何よりも嬉しいですね!

課題解決をスポーツ×アートで

GPSランニングで課題解決を

──これから先、スポーツ×アートで行っていきたい活動はありますか?

いろんなことを伝えに行きたいと思っています。

それこそ今の感染症が収まったら、海外で国ごとの問題をこの活動を通じて解決して行きたいと考えています。

それも、このスポーツ×アートという楽しい活動で。

ただ、自分1人の力でやると限界があるので、システムを作れればと考えていたりします。

例えば、「ウサギ 2キロ」のキーワードだけ入れたら、自動的にウサギの形のルートができて、みんなが動きたいときに動けて、楽しめる。そんな仕組みを作れたら最高だなと思います。

また、負のイメージを変えるような活動もできたら面白いなと考えています。

例えば、徘徊ってあまりイメージが良くないと思うのですが、GPS入りの靴を履いてもらえれば徘徊をアートにできると思うんです。

それは作品として世の中に発信できますし、その中で『こっちに行きがち』など共通点が見つかれば、医学的なデータとして世の中の役に立つんじゃないかと思います。

そんな形でスマホ一台を使って、スポーツ×アートで社会問題を解決していきたいです。

編集後記
今回は、GPSランナー志水さんのインタビューをお届けしましたが、いかがでしたか。

国際的にも活動の認知度が上がっているのと、国境を超える繋がりを創出されていて、本当に素晴らしいなと感じました。

競わないから誰でも参加できて、インクルーシブだと仰っていたことも印象的です。

全国でイベントも開催されていますので、興味がある方はぜひ参加してみてはいかがでしょうか。また、ご本人のInstagramアカウントで、作品の紹介やイベントの告知をされていますので、興味がある方は、ぜひフォローしていただければと思います。

それでは最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

 

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ライター:Sohshi Yoshitaka
Ethical Choiceの初代編集長。2030年までに地球が持続可能になる土台を、ビジネスを通して作ることがミッション。

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