エシカルが特別でなくなればいい。オーガニックコットンのベビー服を展開するHaruulala organicが考えるものづくりの真髄とは?

途上国における貧困問題、児童労働の問題はみなさんも耳にしたことがあるかと思います。
 
そんな問題をバングラデシュに工場を作り、雇用を生むことで解決しようとしているのが、Sunday Morning Factoryが展開するオーガニックコットンのベビー服のブランド『Haruulala organic (以下、ハルウララ)』。
 

一般的には、「エシカルなものづくり」と言われる活動ですが、ハルウララではあえてそのような背景は語らないブランド作りをしています。
 
今回は、代表の中村将人さんに、その理由と、事業を通じて本当に実現したい世界を伺いました。
 
中村さんが見据える、「エシカルが差別化にならない時代」とはどういうことなのでしょうか。

 

よそ者だから現状を変えられると思った

 
──まず、どういう事業なのかを教えていただけますか?
 
ハルウララは、バングラデシュの児童労働をなくすために、ベビー服を日本・台湾で展開しているアパレルブランドです。
 
現地の雇用を生むことを目的に、自社工場で生産を行い、日本で販売しています。
 

──バングラデシュの児童労働をなくすためとありますが、強烈な原体験があるのでしょうか?
 
バングラデシュの児童労働の現実
 
元々すごく強烈な思いを持っていた訳ではなかったのですが、現地で児童労働の現実を目の当たりにしたのがきっかけです。
 
バングラデシュの貧しい地域に雇用を生むために、前職で行く機会がありました。
 
自分が担当だったのですが、そこで実際に目にしたんです。家計を支えるため、幼いながらに一生懸命働く子どもたちを。
 
その時に、この子たちのために何かできないだろうか。と思うようになりました。
 
──そのあとすぐにベビー服に参入したのでしょうか?
 
ベビー服にたどり着くまでには、かなりの紆余曲折があります(笑)
 
現実を目の当たりにしてからは、1プロジェクトリーダーとして、養蜂の事業を開始しました。これが簡単ではなく、うまくいきません。
 
その後も何か事業にできないかと思い、3ヶ月住み込んで市場調査を行います。
 
その過程で、地方やスラムにいくことがあったのですが、そこで深刻な負の連鎖を目の当たりにしました。子どもたちが5~6才で働いているんです。
 
家計をサポートするために幼いころから働く子どもたちは、学校へ行けず、そのまま大人になるため、安定した収入の仕事に就くことが困難で、またその子どもたちが家族をサポートするために、幼いうちから働き始めます。
 
自分の努力ではなかなか抜け出すことのできない環境があるんです。
 
よく世の中を変えるものはよそ者、若者と言われますが、外部にいる自分だからこそ、この負の連鎖を断ち切ることができるのではないかと考えました。
 
養蜂はうまくいきませんでしたが、現実を見たからには、このままでは日本には帰れません。より気持ちが昂っている自分がいたんです。
 
その後もいくつもの事業を市場調査も含め行いました。
 
──どんな事業を行ったのでしょう?
 
様々な事業を試していた時代
 
ココナッツレディ事業、トイボーイという木の玩具の事業、パン屋さん、スタディツアー、エプロン事業など。
 
エプロン事業は楽天で1位を取ったりもしたのですが、市場が小さく雇用を生めないことに気づきます。
 
ベビー服にたどり着くのはその後なんです。
 

トレンドに左右されないということ

ハルウララオーガニックの製品
 
──ベビー服の中でも出産祝いに特化されていますよね?
 
はい。出産祝いギフトとしてのオーガニックコットンのベビー服のマーケットにいるのも雇用を生みたいからというところに帰着します。
 
雇用を生むためには、1年間安定して同じものを作れること、初心者でもできること、そして原価をあげられることが重要だと思っています。
 
──詳しくお聞かせいただけますか?
 
まず、1年間安定して同じものを作れることからお話しできればと思います。
 
ベビー服、とくに出産祝いは、トレンドやシーズンが少ないんです。そのため、一年を通して、安定した売上が見込めます。つまり、現地の工場に
 
安定した発注が可能になり、安定した雇用を生むことができます。
 
作り手としては、同じものをずっと作ることができるので、自ずと技術と品質は上がるんです。
 
トレンドやシーズンがないということは、セールが必要ないので、利益も安定して確保できます。そのため、技術があがった分はきちんと給与に反映することができます。
 
また、アパレルは分業制のラインなので、初心者の方でも雇うことが可能になります。
 
多くのものづくりでは、原価を下げようとするところが多いかと思いますが、私たちは子どもたちが高校までいける環境づくりを目標に取り組んでいるので、むしろ、いかに賃金を上げられるか、つまり原価を上げられるかが勝負だと考えています。
 

雇用を作っているからと言って、環境を壊していいわけではない

 
──ものづくりのお話が出ましたが、ものづくりをする中でのこだわりがあれば教えていただけますか?
 
こだわりと言いますか、けじめとしてやりたいのは手段を選ぶことだと思っています。
 
ハルウララはバングラデシュに雇用を生むためのブランドですが、その過程で地球に負担をかけていい訳ではありません。
 
地球温暖化が進む中で、児童労働の問題を解決しても未来が明るくなかったら意味がないですよね。
 
環境負荷第二位と言われているアパレル産業だから、どれだけ環境負荷を下げられるかはけじめとして持っています。
 
──だからネームタグを3つ用意するなどしている訳ですね。
 
そうですね、赤ちゃんはすぐに大きくなってしまうため、まだ着ることのできるベビー服は、お下がりとして循環させる必要があると思っています。
 
ネームタグは、そんな想いでデザインしました。
 
3つのネームタグが用意されている
 
また、近くにあげる人がいない場合は、ハルウララが自主回収もしております。
 

──最近では、「Save the Ocean-守ろう!海の生き物プロジェクト-」も始められましたね。
 
Save the Oceanプロジェクト
 
こちらは売上の1%を寄付するプロジェクトですが、前々から、うちに決めているポリシーがありまして。
 
「キッカケ作り、未来創り。」と社内では言っているのですが。
 
日ごろ、環境問題や社会問題について、あまり意識していなかった方の、意識が変わる、行動が変わる。そのきっかけ作りができるブランドでありたいんです。そして、みんなで一緒に子どもたちに良い未来を残して行きたいと思っています。
 
今回のプロジェクトでは言えば、表向きには可愛い柄ですが、それが海洋プラスチックの問題知るきっかけになればと思っています。
 
3月からは地球に優しい日用品も取り扱うのですが、そういった商品も含め、生活スタイルを考えるきっかけになればと考えています。
 

エシカルでは差別化できない世界を

HaruulalaOrganic_中村将人さん
──最後になりましたが、将来の展望をお聞かせいただけますか?
 
Sunday Morning Factoryとして、愚直に児童労働を無くしていきたいと考えております。
 
そのためのアプローチとしては3つありまして。
 
1つ目はいろんな地域で展開していくこと。
 
1ファクトリー1ブランドとして、仕事が必要な地域に、世の中に生み出す価値のあるアパレルブランドの工場を作り、必要な分の雇用を生み出せればと考えています。
 

2つ目はハルウララを大きくしていき、より大きなインパクトを生めるようにすることです。
 
今の工場を建てた時は、周りには何もなかったのですが、最近は近くにも工場が建ち始めました。
 
仕事ができて雇用が生まれたのは良いことなのですが、他の工場は給料が払われない、長時間すし詰めの劣悪な環境で働かせているなどの問題があります。
 
実際、他の工場では働き続けることができず、仕事を求めて私たちの工場にくる方もたくさんいます。
 
しかし、今は全員を雇用することはできないので、お断りしているのが現状です。
 
ただ、もし全員を雇用できるようになったら。周りの工場にとっては脅威ですよね。人が流れていってしまうんだから。
 
そのような流れができたら、周りの工場も環境を変えるしかないですよね。
 
なので、今は早くそのぐらいの影響を出せる規模の工場になり、地域の工場の労働環境を改善し、みんなで一緒に児童労働をなくし、良い社会を作って行きたいと思います。
 
3つ目には、私たち消費者側のマインドセットも変えていくことです。
 
「その商品が作られるまではどういう過程があるのか」も含めてものを買う人が増えるように、意識を変えていきたいと思います。
 
そうすれば環境配慮や作り手に配慮する企業もきっと増えますよね
 
ゆくゆくは、エシカルでは差別化ができない世の中であるのが理想です。やはりエシカルであることは、当たり前だと思いますので。
 

編集後記
今回はオーガニックコットンベビー服を展開するハルウララの代表中村さんにお話を伺いました。
 
このようなストーリーがあるのにもかかわらず、なぜバングラデシュの話を打ち出していないのか?とお伺いしたところ、「ものづくりで勝負しているので、お情けで商品を購入してもらうのは違うと思う」とのこと。
 
本気だからこそ、背景ではなく、品質で勝負している姿勢が伝わる印象的なシーンでした。
 
また、エシカルでは差別化できない世の中を目指しているというのも、今がそうではないから1つのトレンドになっている現状に対してのある種のアンチテーゼにも聞こえて、改めて世の在り方を考えさせられました。
 
それでは編集後記が長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。
 
オーガニックコットンの詳細記事はこちら
 

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ライター:Sohshi Yoshitaka
Ethical Choiceの事業責任者。2030年までに地球が持続可能になる土台を、ビジネスを通して作ることが現在のミッション。
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