代替肉メーカーのネクストミーツが『地球を終わらせない』を掲げる理由をお伝えします。

今世界では、人口増加に対応する新たなタンパク源や、温室効果ガス削減の観点から、代替肉メーカーが注目を浴びていることをご存知でしょうか?

そんな代替肉を日本から世界に発信しようとしているのが、今回紹介するネクストミーツ(NEXT MEATS)です。

地球を終わらせない』を標語にしているネクストミーツですが、代替肉ビジネスで解決したい問題と、目指す世界はなんなのでしょうか?

佐々木英之
早くから起業した経験を活かし、海外に目を向け、中国深センにて12年間、様々な事業に携わる。大企業向けのアクセラレータプログラムや、メディア運営を行う。日本と海外(主に中国)での、オープンイノベーションを数多く手がけ、国境を超えた価値を作る。2017年から代替肉の研究を始め、開発や研究を行う。商品が完成し、事業化できるようになったため、2020年6月にネクストミーツ株式会社を設立。フェイクミート研究家。

 

ネクストミーツとは?

ーーでは早速ですが、ネクストミーツとは何か、教えていただけますでしょうか?

佐々木さん
ネクストミーツは、植物性タンパク質の代替肉メーカーです。

世の中には、いろんな代替肉があるかと思うのですが、今の時代に合ったサスティナブルな商品を開発販売しています。

ーー代替肉のブランドなんですね!正直なところ日本ではまだ代替肉の認知度が低いのが現状だと思うのですが、なぜ、代替肉のビジネスを始めようと思われたんでしょうか?

自分なりの社会貢献がネクストミーツだった。

佐々木さん
元々、環境や社会にいいビジネスをしたいと思っていて、それで行き着いた先が代替肉でした。

私の信念でもあるんですが、生きてる中で、せっかく仕事をするなら、何か後世に残るものをしようと考えています。

そのような理想はある一方で、現実問題として、いちベンチャー企業ができることはそんなに多くありません。例えば環境問題ですと、再生可能エネルギーのビジネスなども考えられるのですが、規模的にベンチャーの手には追えないと思ったんです。

では、何をしようかと考えている中、アメリカのビヨンドミート社のことを知りました。

米beyond meat社

その時に、食品の分野でも環境や社会貢献に携われるんだと気づいたんです。それから紆余曲折ありつつも、現在はプラントベースの代替肉、ネクストミーツを開発販売しています。

ーーベンチャーでもできる、環境や社会にいいビジネスを探している中で、代替肉に行き着いたというわけですね。

ただ、如何せん、代替肉と環境問題があまり結びつかないのですが、どういうことでしょうか?

佐々木さん
日本にいると、あまり考える機会がないですよね。

私も、食品ビジネスを始めようとして、いろいろ調べていった結果に知ったのですが、実は、畜産業の環境負荷はすごく高いんです。

ーー畜産の環境負荷は最近耳にすることが多くなりましたが、具体的にはどういうことなんでしょうか?

畜産がもたらす環境負荷。

佐々木さん
例えば、牛が出すゲップや糞です。

嘘のように聞こえるかも知れませんが、ゲップや糞に含まれるメタンガスは、CO2の86倍もの地球温暖化係数があり、地球温暖化を後押ししていると言われています。

あまり知られていないのですが、国連の発表によると、実は温室効果ガスの15%は畜産業から出ていて、これは他のどの産業よりも多いんです。

飛行機や車などの輸送業でも合わせて13%なので、そのインパクトがわかるかと思います。

ーー畜産業が一番温室効果ガスを排出しているのは、かなり意外でした(汗)そうすると、他にも意外な事実がありそうですね。

佐々木さん
そうですね。他にも畜産動物が食べる飼料を育てる土地を確保するために行われる森林伐採。飼料を作るために使われる大量の水も環境負荷が大きいです。

畜産が環境に与える問題

水に関しては、ハンバーガー1つのパテ(100g)を作るのに2,000リットルかかると言われているほど。

それだけ資源を投下しているハンバーガーですが、ファストフード店では、100円で売られていると現実があります。

ーーそれだけの環境負荷があるという背景は、多くの人が知らない事実かと思います。だから代替肉が環境保全に繋がるという訳ですね。

佐々木さん
そうですね。このまま肉の需要が増え続けると、それは本当に持続可能ではないと思いますし、だから私たちは代替肉を提供することで、『地球を終わらせない』というミッションを達成したいと考えています。

ネクストミーツの特徴とは?

ーーそう考えると、代替肉は本当に重要な存在ですね。では具体的な話を伺いたいのですが、実際にネクストミーツさんの商品にはどのような特徴があるのでしょうか?

佐々木さん
大きく3つありまして、まず1つが見た目です。

日本には、以前から大豆ミートがありましたが、そうではない、新しい食べ物として見てもらう為に、イメージを変えようとしました。なので、肉っぽい見た目にすごくこだわっています。

ネクストカルビ

 

2つめに肉らしい食感です。代替肉で、食感は意外と軽視されがちですが、ネクストミーツでは注力しているポイントです。

要は、最低限美味しいものを作る必要があると思っていまして。よくヴィーガンの方に話を聞くと、代替肉はおいしくないものが多いと聞きます。

そうなると、私たちの目標である、代替肉で地球を終わらせないは達成できないので、本当のお肉みたいに、ジューシーで違和感なく食べられるものになっています。

また、他の代替肉商品と比べても高タンパク低脂質であることも特徴の1つです。

ーー見た目も食感も肉っぽくて、栄養価として優れているということですね。疑問なのですが、動物性タンパク質の方が、植物性のタンパク質よりも質が高いイメージが正直あります。代替肉の栄養価の面で心配はないのでしょうか?

 

動物性タンパク質が優れているわけではない

佐々木さん
これは本当によく誤解されているのですが、動物性タンパク質の方が優れているということはないんですよ。

タンパク質といえば、牛や豚、ニワトリなどをイメージすると思いますが、それらの動物が食べているのは穀物や雑草などで植物です。

体は食べたもので構成されるので、牛や豚、ニワトリが保有するタンパク質はあくまで仲介されたタンパク質でしかありません。タンパク質の元を辿れば、植物性タンパク質に行き着きます。

なので、植物性タンパク質のみを摂取するからといって、体に良くないことは何もないのです。

ーー動物性タンパク質の方が強そうといいますか、栄養的にも優れているというイメージがありました。なので、肉は食べずとも、栄養的に問題がないのは驚きです。

佐々木さん
そうですね。常識として、『タンパク質=動物由来』と考えられているので、そう思われるのも無理はないかと思います。

また、最近の調査では、肉を食べること自体に健康リスクがあることもわかっているんです。

ーー健康リスクですか?

佐々木さん
はい。例えば、肉には血管をつまらせる作用があるコレステロールやトランス脂肪酸が含まれているので、大量には摂取すれば、動脈硬化を引き起こすリスクがあります。

また、最近の研究では、発がん性も認められていまして。

WHOの研究の研究によると、牛・豚・羊肉など赤肉と呼ばれる肉には、”ヒトにおいて「発がん性の十分な証拠」がある”ことがわかっています。

ーー肉に発がん性の作用があるなんて(汗)環境に対しても、健康に対しても、代替肉が果たす役割は大きくなりそうですね!

実際にネクストミーツでは、現在どのような商品ラインナップが展開されているのでしょうか?

日本発、代替肉メーカーならではのラインナップ

佐々木さん
現在、商品は主に3つあります。

  • ネクスト焼肉
  • ネクスト牛丼
  • ネクストバーガーパテ

焼肉シリーズでは、ネクストカルビと、ネクストハラミの2つを展開しています。

お気づきかと思いますが、日本らしい、焼肉や牛丼といった商品を作っていて、よりみなさんの生活に馴染みやすい商品を開発販売しています。

ネクスト牛丼(NEXT GYUDON)↑はネクスト牛丼

 

 

ネクストバーガーパテ↑はネクストバーガーパテ

 

ーー確かに、パテは他の代替肉ブランドでも聞きますが、焼肉や牛丼は聞いたことがないですね(汗)

佐々木さん
実は現在、焼肉ライクさんとコラボをしておりまして、全国の店舗でNEXT焼肉が食べられるんです。

焼肉ライクへの展開↑は焼肉ライクで食べられるNEXT焼肉

 

ーー焼肉というと、植物由来の食事とは一番遠い存在に位置する気がしますが、焼肉店で代替肉が食べられるのは新しいですね!

佐々木さん
おっしゃる通りで、普段は焼肉に絶対行かないヴィーガンの方も、焼肉ライクさんに足を運んでくださっているみたいです。

ヴィーガンの方って、元々はお肉大好きだけど、環境や動物倫理の側面からヴィーガンになっている人もいまして。

その方が言うには、従来の代替肉は、やはりどこかパサパサしていたり、あまり美味しくないのが多いけど、ネクスト焼肉はジューシーで美味しいとのことです。

ネクストミーツは、代替肉を増やすことで、肉の消費量を減らすことをミッションとしています。そのためには、先ほども言いましたが最低限美味しくないといけないと思うんです。

そうすることでやっと、一般消費者が、肉じゃなくて代替肉にしようと言う選択ができると思いますので、ネクストミーツが美味しいという声をいただくのは、本当に嬉しいですね。

ーーそんな好評をいただいているネクストミーツですが、どのような方に食べていただきたいですか?

 

肉好きに認めてもらえる代替肉を

佐々木さん
若い層にまずは食べていただきたいです。

環境問題への共感も高いですし、ネクストミーツを食べることを通じて、改めて環境問題について考えるきっかけにしてもらえればと思います。

また、いろんな世代の方の日常に、ネクストミーツを取り入れてもらいたいです。

特に、高齢者の方は、肉の油は体にきついと感じる方が多いと思いますので、肉ではなく、ネクストミーツが寄り添えるのではないかと考えています。

ーー環境問題に共感しやすい若い層も、お年寄りも方も、いろんな方に食べていただきたいということですね。

代替肉と言いますと、ヴィーガンやベジタリアンの方に食べて欲しいと回答されるのかと思ってましたので、正直びっくりしました(汗)

佐々木さん
もちろん、ヴィーガンやベジタリアンの方もそうなんですが、代替肉の名の通り、本当の肉の代わりになることで、環境問題に取り組んでいきたいと考えているのがネクストミーツです。

なので、逆に肉好きに食べて欲しいですね。

肉好きが言うなら、味としても質の面でも、本物の肉を代替できることは、間違いないと思いますので(笑)

ーー肉好きに食べて欲しいは意外でした(笑)

佐々木さん
そうですか?実はヴィーガンやベジタリアンの方でも、元々肉が大好きな方は多いんですよ。環境問題や倫理面からお肉を制限されているだけなんです。

だけど、我慢しているのはストレスですし、長続きしないと思っています。

だから、元々肉好きの方にとって、我慢せずに食べたいものが食べられる選択肢をネクストミーツで提供したいとも考えています。。

本物の肉より美味しいものを

 

ネクストミーツ佐々木英之さん

 

ーーそれでは最後に、将来の展望をお聞かせいただけますでしょうか?

佐々木さん
はい。まずはネクストミーツを日本で普及させること。そして、世界に進出しようと考えています。

代替肉メーカーは数社ありますが、手前味噌ながら当社ほど理念がしっかりしているメーカーはないと自負しております。若い層には特に、理念が支持されています。

なので、環境問題に共感する若い層から広げていき、まずは日本で、ネクストミーツが代替肉として人々の日常に入ることを目指したいです。

ーー世界に向けてはいかがでしょう?

佐々木さん
日本での普及と同時に、世界に進出し、世界中でファンを増やしていきたいです。

正直、焼肉、牛丼と日本らしいラインナップにしているのは、世界を見据えたというのも理由でして。世界のマーケットで、ネクストミーツという日本ブランドで旋風を起こせればと考えております。

そして、最終的には、肉よりも美味しい代替肉を作ることが目標です。

肉よりも美味しい肉、ネクストミーツとして認知してもらえれば、これほど嬉しいことはないですね。

正確に言えば肉ではないので、肉より美味しい何か、になりますけど(笑)目指したいところですね。

編集後記
代替肉のメーカーや大豆ミートを販売しているメーカーは多くありますが、『地球を終わらせない』ことを起点としたメーカーはないと思いますし、食と環境問題に関して考えるきっかけになった方も多いのではないでしょうか。

また、インタビューの中で肉好きに食べてもらいたいや、肉を超える何かを作りたいと仰っていた佐々木さん。

味も究極に追求したいという姿勢からは、環境問題を本気でどうにかしたいという思いがひしひしと伝わってきました。

ネクストミーツによって、これから市場に代替肉旋風が巻き起こる日を心待ちにしております。

それでは、最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。

 

ネクストミーツの詳細を見る

               
ライター:Sohshi Yoshitaka
Ethical Choiceの初代編集長。2030年までに地球が持続可能になる土台を、ビジネスを通して作ることがミッション。

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