ウガンダから女性のエンパワメントを。リッチエブリディ仲本千津さんがアフリカンプリントを通して伝えたいこと

今回紹介するのは、大胆な色使いと独特な柄で人気のアフリカンプリントを使ったブランド、RICCI EVERYDAY(以下、リッチーエブリディ)。
 
アイコンとしてアケロバッグや、小物、洋服までを揃えています。
 
その鮮やかな色使いや大胆な柄で気分を高めてくれるアフリカンプリントですが、そんなアフリカンプリントを通して、仲本さんはあるメッセージを伝えたいとのこと。
 
今回は、リッチーエブリディの製品の魅力と、伝えたいメッセージに迫りました。
 

RICCI EVERYDAYの仲本さん

RICCI EVERYDAY代表取締役/仲本 千津

1984年静岡県生まれ。大学院卒業後、邦銀で法人営業を経験。その後国際農業NGOに参画し、ウガンダの首都カンパラに駐在。
その時に出会った女性たちと日本に暮らす母と共に、カラフルでプレイフルなアフリカ布を使用したバッグやトラベルグッズを企画・製造・販売する「RICCI EVERYDAY」を創業。2015年に日本法人、2016年に現地法人を設立。2019年には日本初の直営店舗を代官山にオープン。

ウガンダ発のファッションブランド、RICCI EVERYDAY

────まず、リッチーエブリディがどんなブランドか、教えていただけますか?
 
仲本さん
リッチーエブリディはウガンダ発で世界にアフリカンプリントの魅力を発信するファッションブランドです。
 
ウガンダの直営工房で女性が1つ1つ丁寧に製品を作り、日本に輸出し、アフリカンプリントの魅力の発信と商品の販売を行っています。
 

────なんでリッチーエブリディというブランドを始めようと思われたのでしょうか?
 
仲本さん
アフリカンプリントの魅力に私自身が惹かれたのと、アフリカンプリントが与えてくれるメッセージを、ブランドを通じて現代社会に伝えたいと思ったためです。
 
元々NGO職員として、ウガンダに駐在していた時期がありました。
 
私がいろんなことに興味を持つ性格で、休日も人に会ったりとよく外に出かけていました。
 
そんなある日、ローカルマーケットをうろうろしていた際にアフリカンプリントに出会い、その時の私は吸い込まれるようにお店に入ったのを覚えています。
 
ウガンダのアフリカンプリントのお店
 
床から天井までアフリカンプリントの布で敷き詰められた店を見て、すごいと思いましたし、次の瞬間から「自分の好きな柄はどれだろう」って宝探しのようにワクワクしたんです。
 
なんというか、日本人の感覚では思いつかないその柄に、すごく惹かれた自分がいました。
 
また、そのマーケットには友人と一緒に行ったのですが、友人もすごく楽しんでいて、気がついたら2~3時間経っているほど夢中になっていたんです。
 
当時はまだ日本のファッションマーケットにアフリカンプリントを扱う商材はなかったので、これはビジネスになるなと思いました。そして、ブランドとしてスタートさせたという経緯になります。
 

多様性の象徴としてのアフリカンプリント

────ローカルマーケットで偶然見つけたアフリカンプリントに魅了されたんですね。では、先ほどメッセージとおっしゃってましたが、どんなメッセージを感じたのでしょうか。
 
仲本さん
アフリカンプリントの大胆な柄と色使いを見ていると、どこか自分は常識に囚われているなと感じます。
 
本当に面白いんですよ。お金や車、海老までいろんなモチーフが柄となって描かれています。
 
そんな大胆な発想から生まれた柄に表れているとおり、アフリカンプリント自体が多様性の象徴。なんとなく持っていた常識から開放してくれる気がするんです。
 
また、私は自分のお店が大好きなのですが、お店に並んでいる商品1つ1つが個性を持った子どもの様な感覚で、「この子は少し地味だな」とか、「この子はすごく活発だな」って思わせてくれます。
 
元気いっぱいでチカチカしていて、こちらが疲れちゃう時もあるんですけど、囲まれているとこちらまでワクワクさせられる、元気にさせられる感覚になります。
 
それが現代社会で生きる私たちに1つの問いかけをしてるような気がしていて、アフリカンプリントの個性の様に、「ありのままの自分でいい」、「自分をさらけ出していい」というメッセージに繋がると考えています。
 

幸運を運ぶアケロバッグ

幸運を呼ぶアケロバッグ

────リッチーエブリディで特におすすめのアイテムをご紹介いただけますでしょうか?
 
仲本さん
リッチーエブリディのアイコンはこちらのアケロバッグです。アケロバッグ4WAY、ミディアムアケロ、ミニアケロ、アケロポシェットの4種類をご用意しています。
 
アケロは、実は私が初めてウガンダを訪れた時に、北部に住んでいるおばちゃんに付けていただいたウガンダの名前なのですが、現地の言葉(アチョリ語)で「幸運を運んでくる」という意味があります。
 
外側はアフリカンプリントを使用していて、持ち手の部分は革を手縫いしています。
 
アフリカンプリントが鮮やかなので、元気がない時に、ふと鏡に写ったアケロバッグを見ているだけで元気になります。
 
────まさに幸運を運んでくるの名の通りですね。
 
仲本さん
そうですね。また、見た目だけではなく、日常に馴染む機能性も重要だと思っています。
 
お仕事の時はトート、お出かけの時はクラッチ、お買い物の時はショルダーやハンドバッグのように、アケロ4WAYの使い方は4通りあります。
 
また、内ポケットがついているので、収納性にも優れていますし、底板があって形が崩れないなど、細部までしっかりとデザインしているのが特長です。
 
────元気になるデザインであり、機能性も優れているというわけですね。
 
仲本さん
そうです!ただ現在のファッションは、こうして製品として成立しているのは当たり前だと思っています。
 
────どういうことでしょう?
 
仲本さん
使い勝手の良い製品であることは当たり前。それに加えて、どういう背景で作られているのかがすごく重要だと考えています。
 
例えば、環境や人権に配慮しているかどうかという点です。
 
世界のテーマに持続可能な社会の実現が掲げられいる今、ブランドとしても持続可能性をすごく大切にしています。
 

持続可能なブランドとして。

────製品だけではなく、いいサプライチェーンであること、といったところでしょうか。
 
仲本さん
そうですね。そういう観点でもリッチーエブリデイの商品は、人権や環境に配慮されたサプライチェーンの中で作られています。
 
リッチーエブリデイはウガンダのブランドですが、実は布自体はガーナから輸入しています。これには理由がありまして。
 
そのガーナの工場では、最新の浄水設備を整えていて、環境負荷を下げる努力をしているんです。
 
環境に配慮したガーナの工場
通常、布を染色する時は化学染料を使うのですが、使用後の水を見ると本当に毒々しい色をしています。そんな毒々しいものを普通の工場だと簡単な浄化プロセスを経るか、もしくはそのまま排水してしまっています。
 
日本でも昔、公害問題があったように、そのような工場排水は環境にも健康にも良くありません。
 
私たちが契約しているガーナの工場は最新設備によって、染色に使った水をクリアな水に戻すことができますし、その水を再利用することが可能です。
 
その工場では、無駄な水資源を使わないようにしていて、それはすごい取り組みだと思いますし、だからこそリッチーエブリデイでも応援したいと考えています。
 
また、人権に目を向けてみると、一緒に働いているスタッフの生活も大きく変化しています。
 

────どういうことでしょう?
 
仲本さん
まずスタッフを正社員として雇用し、固定給を支払っているので、収入面では大きく変化しています。福利厚生も充実していますし、ある意味、会社がセーフティーネットとしての役割を担っています。
 
そんな中、スタッフの家がコンクリートで補強されたり、家具が増えたり、また安定した収入を得たことで、子どもが継続的に学校に通えるようにもなっています。

 

────それは大きな変化ですね。
 
仲本さん
そうなんです。彼女たちはそれまでは人に頭を下げてお金を借りないといけない、継続的に子どもを学校に通わせてあげられないといった悲しい経験をしているので、自尊心が低いように感じられました。
 
しかし、それが今では自分たちの稼ぎで家族を支えたり、子どもが学校に通えるようになったりし、家族を支えている実感を持てているのだと思います。そうなると、自分に自信がつき自尊心が回復してくるのだと思います。
 
自主的にリーダーの役割を担う人が出てきたり、そのリーダーを支える人がでてきたりと、私たちの会社は本当にプロフェッショナルの集まりになった実感がありますし、仕事を通じた成長を様々なところで感じられます。
 

プロフェッショナル集団として

────言葉でいうと簡単に聞こえますが、道のりは大変なものだったと想像します。どの様にウガンダの工房の女性たちにアプローチして、プロフェッショナルとして育成されたのでしょうか?
 
仲本さん
1つは、お客さまの声をフィードバックすることです。
 
それは「お客さんが喜んでくれた」という良いフィードバックもしますし、反対に良くなかった場合も、なんで受け入れられないのかという背景と理由を本人たちに伝えます。
 
そうやって、技術を上げようとするモチベーションを醸成しています。
 
ウガンダの工房にて
また、本当にいいモノに触れる機会も作ったりしています。
 
残念ながらこちらの女性たちは、高い技術で作られた本当にいいものを目にする機会はほとんどありません。
 
そのため品質が高いとは何かを学ぶために、ラグジュアリーブランドなど、一流の職人が作った製品に触れる機会を作るようにしています。
 
「こういうふうに作られているんだ」や「どういう構造になってるんだろう」、「細部まで丁寧に縫製がされているな」と気づきを得ることで、さらなる技術向上に励むきっかけに繋げようとしています。
 
もう1つ大事にしているのが、「できるかはわからないけど、とりあえずやってみて」と信じて任せることです。
 
チャレンジして、成功したらその人の能力が高まったことになりますし、失敗したらマネジメントである私が責任をとればいいだけの話なので、彼女たちにとってリスクはありません。
 
なので、なるべく任せることで能力開発を行うことも心がけています。
 

自分の心に正直に。

仲本千津さん
────リッチーエブリディとして現代社会に伝えたいメッセージを教えていただけますか?
 
仲本さん
一番は「自分がこうあるべき、こうしないといけないという価値観を外してみては?」という問いかけです。
 
世界的に見た時に、日本は家族や他人が求める価値観に合わせようとする傾向が強いかなと思います。ただその価値観は、世界規模で考えれば何十億分の1の価値観でしかないんです。
 
逆に言えば、世界には全く異なる価値観が多く存在します。
 
そう聞くと、誰かと比較すること自体、無駄に感じませんか。自分で自分の首を締め、可能性を潰してしまっているかもしれません。
 
あるべき価値観は一旦置いておいて、自分がどうありたいかを真ん中に据えて、自分の心に正直になったら、少しだけ生きやすくなるかもしれません。
 

────素敵な考え方だと思います。
 
ありがとうございます。自分に正直に生きれば、いろんなライフスタイルを楽しめると思います。
 
いい大学に進学して、いい会社に入り終身雇用で定年まで働いて、その後は年金でシニアライフを送るということが、これまでのスタンダードだったかもしれません。
 
ただ、これから人生100年時代と言われてる中で、リタイアするという感覚自体がなくなるかもしれません。
 
仕事を続けるのも、コミュニティワークをするのもいい。子供とゆっくり暮らすのもいいし、趣味をできるだけ満喫するのもいいですよね。
 
いろんなライフスタイルがあっていいんです。
 
自分はこうあるべき、男性はこう、女性はこうあるべき、といった価値観は捨てて、みんなが心にしたがって生きるのを認め合える世界になるといいなぁと感じます。
 
それこそが真のダイバーシティですし、リッチーエブリデイで扱うアフリカンプリントが、自分らしく生きる象徴として、皆さんのお役に立てたらいいなと思います。
 

ウガンダから世界に向けて。

仲本千津さん
────それでは最後に将来の展望を教えていただけますか?
 
仲本さん
先が見えない世の中で、展望を持つのが難しい部分もあるのですが、リッチーエブリデイは哲学と技術に裏付けられたブランドで在りたいと考えています。
 
私の好きなブランドがシャネルなのですが、シャネルが技術に惜しみなく投資し、フランスの伝統産業を押し上げたように。
 
加えて、創始者ココ・シャネルの哲学が今も生きていて、例えば、「これからは女性も働く時代だ」としてコルセットに締め付けられていた女性の解放を実現したように。
 
そのようなブランド哲学に裏付けされ、エレガンスを保ちつつも実用性に優れたデザインを数多く生み出すブランドとして、現代でも浸透しています。
 
私たちもそのようなプロフェッショナルチームでありたいですし、これからもより高い技術を追い求めたいです。
 
その技術を以って、ウガンダにすごいブランドがあると、世の中に響き渡らせたいと思います。
 
編集後記
今回は、日本でも人気上昇中のアフリカンプリントを扱う仲本さんにお話を伺いましたが、いかがでしたか。
 
アフリカンプリントが多様性の象徴で、常識を開放してくれるというのは、現代社会に生きる私たちにとって、すごく重要な問いかけだったかと思います。
 
また、人権や環境に配慮されたサプライチェーンの話からは、普段何気ない買い物の中でも、サプライチェーンに目を向けることの重要性が伺えました。
 
みなさんが共感する部分や、素敵だと感じた部分はありましたでしょうか。
 
それでは、最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

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ライター:Sohshi Yoshitaka
Ethical Choiceの事業責任者。2030年までに地球が持続可能になる土台を、ビジネスを通して作ることが現在のミッション。
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