人も地球も健康に。サラダ定期配送サービスを通じてサラド細井さんが実現したいこと。

都会で働く社会人は、とにかく忙しいもの。
 
仕事が忙しいために、重要だと知りながらも、食事がおろそかになってしまう方も多いのではないでしょうか。
 
そんな都会の忙しいビジネスパーソンの健康と便利さを両立させるサラダ配送サービスが、今回紹介するサラド。
 
そのサラドCEOである細井優さんが、サラダ定期配送サービスをはじめたきっかけと、食のビジネスを通じて、皆さんに伝えたいことに迫りました。
 

先輩の病気が教えてくれたこと

 
──まず、サラドとはどんなサービスか教えていただけますでしょうか?
 
サラドは、法人向けのサラダ定期配送サービスです。
 
福利厚生として、企業様に導入していただくことで、従業員が安価で健康的な食事ができるのが特徴です。
 

──なぜ、食に関わるサービスをはじめたのでしょうか。
 
同僚の病気をきっかけに、食べるものを変えないといけないなと感じたためです。
 
私がAppleに勤めていた時の先輩が体調の悪さを感じていたため、病院の外来に伺ったところ、すぐに入院するように言われ、翌日手術を受けるということがありました。
 
医師からの診断は狭心症(動脈硬化で血管内が狭くなる症状)。
 
血管の問題は、食べるものが原因なので、食事を変える必要があることを知ります。
 
当時は本当に忙しく働いていて、いわば健康状態を削って仕事に集中することで、パフォーマンスを出してたようなものでした。
 
ただ、4つしか歳の違わない先輩がこのような状態になるのであれば、他人事ではないなと強く感じたんです。
 

ビジネスパーソンの食事には3つ制約がある

 
──確かに、忙しいとコンビニ弁当ばっかりで、健康的にはどうなの?という食事をされる方が多いですよね(汗)
 
おっしゃる通りかと思います。
 
ただ、ビジネスパーソンの食事は3つの制約があるため、そうなってしまうのも無理はないかなと考えています。
 

──詳しく教えていただけますでしょか?
 
順にお話しできればと思います。
 
1つ目は時間的制約。
 
私は当時、六本木ヒルズで働いていたのですが、東京の中でも特に恵まれた施設であるにもかかわらず、忙しい中で健康的な食事が摂れる選択肢がありませんでした。
 
体に良い食事を摂るためには、健康的な食事が取れるお店に食事をしにいくという時間が必要なのですが、忙しいと、この選択肢を取ることが難しかったのです。
 
ただ、これを解決するのは難しくなくて、オフィスまで食事を届けることができればいいと考えました。
 
2つ目はパフォーマンスの制約。
 
ランチで食べたものによって午後のパフォーマンスは大きく影響されるものです。例えばラーメンとチャーハンのように、炭水化物を大量に摂ってしまうと、血糖値が激しく上下しやすくなり、結果的に感情の起伏が生じたり、眠くなったりとパフォーマンスが落ちやすくなります。
 
したがって、パフォーマンスを維持できる食事が必要になります。
 
3つ目は食事の価格的な制約。
 
健康的な食事は値段が高くなりがちですが、これは福利厚生を活用することで解決することが可能です。
 
福利厚生制度では、企業が食事代の一部を負担することができるため、従業員は比較的安価に食事が出来るようになります。
 
また、会社が負担する意義も高いと考えております。先ほども申し上げたように、体に良い食事はパフォーマンス改善に直結するため、会社としてのメリットは既にあるのですが、更に福利厚生費は課税対象の利益を減少させることにつながるというのも1つのポイントだと考えています。
 
福利厚生予算として活用した分が課税対象から外れることで、企業としては自分たちの意思で、従業員に還元することが可能なのです。
 
──確かに言われてみれば、時間が掛からずにパフォーマンス上げられて、その上値段も高くない食事サービスはこれまでなかったですね。
 
おっしゃる通りです。なので、サラダ定期配送サービスのサラドを始めようと思いました。
 

パフォーマンスの改善を腸内環境から

──では実際にどのようなサラダが食べられるんでしょうか?
 
先ほども申し上げたように、パフォーマンスの改善を1つの目的としていますので、パフォーマンスと満腹感が両立するサラダを提供しています。
 
体に良くても、ストレスがかかると逆効果ですので、我慢せずにお腹がいっぱいになるボリューミーなサラダを用意しているのが特徴です。
 
──満腹感はわかりましたが、パフォーマンスというとどういうところが繋がるのでしょうか?
 
これは、例を出した方がわかりやすいと思いますので、実際にDeNAさんと行った取り組み事例を話せればと思います。
 
DeNAさんとは「健康経営」をテーマに『腸内環境を改善する』ということを目的としたサラダのレシピを一緒に作ったことがありました。
 
なぜ腸内環境を改善する必要があるかと言いますと、実は脳内伝達物質のもとになるものの約9割は腸内で生成されているためなんです。
 
その脳内伝達物質の1つは幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンなのですが、セロトニンが分泌されると、気分を落ち着けたり、安定させる働きがあります。
 
オフィスで働いている人は、大なり小なりストレスを抱えているものだと思うのですが、ストレスに強い体作りをすることで、安定して仕事に取り組むことができます。
 
このような背景から、従業員の腸内環境改善につながるサラダのレシピを考えてみようという流れになりました。
 
具体的には、腸内環境の改善に良いとされる発酵食品の塩麹でマリネした鯖を使ったサラダのレシピなどを一緒に作りました。このように食事を通して自身のパフォーマンスの改善につなげるといった取り組みも可能になります。
 
塩麹でマリネした鯖を使ったサラダ
──腸内環境を整えるレシピを一緒に作るというのは面白いですね。ただ、毎日サラダだと、飽きが来るのが心配だと思いました。サラダのバリュエーションはどれくらいあるのでしょうか?
 
レシピは全部で20ほどありまして、シーズナリーで変わります。
 
1ヶ月に7~8種類のサラダを用意していて、飽きないように工夫をしています。
 
その中でも、昨年特に好評をいただいたのが、秋鮭のサラダとさんまのサラダでして。
 
その2つはすごく人気で、冗談もありますが「美味しすぎて困る」と仰っていただきました。また冬には冬瓜のサラダなどがすごく好評をいただいてます。
 
──美味しすぎて困るサラダですか(笑)食べてみたいです。ただ、男性がサラダだけだと足りないイメージがあるのですが、それでも満足感は感じれるのでしょうか?
 
サラダはゆっくり噛んで食べる必要があるので、満腹感を得やすいのも特徴です。どうしても足りない方には、玄米のおにぎりなども用意しています。
 
玄米は低GIなので、血糖値が上がりにくく、おすすめです。
 

人の健康から、地球の健康へ

 
──健康問題から入ったサラドですが、今では持続可能性をすごく重視されてるのが、ホームページからも伝わります。何か、変わるきっかけがあったのでしょうか?
 
食に取り組んでいるうちに食と環境問題が密接な関係にあることに気づいて、せっかくやるならサスティナブルなサラダを作ろうと思ったのがきっかけです。
 
実は、現代の人間の食事を生産するのには地球に多大な環境コストがかかっていることがわかっています。
 
そうやって人間が食べてるものが環境に悪影響を与えているので、サスティナブルな選択が特に重要だと感じていますし、その中でサラドも持続可能性にも重きを置いています。
 
──食事と環境問題というとどういったところでしょうか?
 
私はCowspiracyというドキュメンタリーを通して、畜産業がかなりの温室効果ガスを排出している産業だったり、ハンバーガー1個用のパテを作るのに2000Lの水が必要だったりと、大量の資源を消費していることを知りました。
 
上記のようなことから、畜産と気候変動は密接な関係にあるといえます。
 
▶︎畜産と気候変動の関係を解説した記事はこちら
 
──そういった事実を知らない方が多いと思います。
 
そうですね。持続可能性を意識して食べることは少ないと思います。そうなると、選択肢がないんです。
 
日本のベジタリアン人口は4~6%と言われていて、かつてのiOSとWindowsのような比率だと思います。
 
誰もiOSを使ってないので、Windowsのソフトが市場に多いのと同じように、持続可能な食事をする人が少ないから、提供者も少ないと考えています。
 
──私も持続可能性に気を遣いたいのですが、選択肢が本当に少ないことに悩まされてます(汗)
 
なので、サラドではサスティナブルな方法で調達された食材を使うようにしています。
 
例えば、使用するチキンは、秋川牧園さんの開放型鶏舎で育ったストレス値の低い鶏肉を採用していたり、新しいレシピではプラントベースフードを活用するなど、倫理面や環境負荷も考慮することを始めています。
 
ただ、倫理的にいいとはいえ、やはり食事なので、美味しいことが重要だと考えてまして、美味しさは出来る限りこだわっています。
 

未来を意識した食生活はできているか

細井優さん
──食を届ける細井さんだからこそ、消費者に伝えたいことはありますか?
 
偉そうに言える立場ではないですが、将来の世代を意識した食事ができているかということは考えたいテーマの1つです。
 
例えば美味しい、安いという事だけを判断軸とした場合、次世代に迷惑がかかる可能性があります。例えば、食事を摂ることと環境負荷についても少し考えてみることなどは、今後を生きる世代の大事な価値観だと考えます。
 
また、話は少し逸れますが、生物の本能は子孫繁栄が目的にあると言われていますが、現状の環境問題について考えると、次世代が繁栄できる環境なのか、疑問符が付くと思います。
 
これはある種矛盾していると感じることでもあり、このようなことについて思いを巡らすのは、将来に向けて最適な生き方は何かを考えてみる良い機会じゃないかなと感じます。
 
そして、そういったことに配慮した食事を摂るためには食と環境負荷に関して知ることが必要です。
 
例えば、今は排気ガスや石油の消費が温暖化に繋がることは広く知られているので、電気自動車を選ぶ人は増えて生きています。
 
このような例からも、物事を知ると言うことが大事だなと感じています。現状を知った上で、自分の中での最適な選択は何か?と考え、それを行動に移してみると言うのが重要なのではないでしょうか。
 
──具体的なアクションプランはありますでしょうか?
 
まずは、環境負荷が高いものを少しでいいから減らしてみることが重要だと思います。
 
例えば、ミートフリーマンデーという活動がありますが、これはビートルズのポールマッカートニーが推進している活動で、「週に一日だけ菜食を実践する」ことで、地球温暖化を食い止め、かけがえのない資源を守り、多くの動物の命を助け、そして、より健康な身体を手に入れることができるという取り組みです。
 
肉だけでなく、牛乳から豆乳やアーモンドミルクに変えてみるということでも良いかもしれません。
 
私も今はほとんど肉を食べないセミ・ベジタリアンのような食事をしていますが、いきなりそうなったわけではありませんし、はじめの取り組みとしては、それでも十分だと思います。
 
──確かにいきなり全ての食事を変えるのは難しいので、徐々にというのは重要ですね。
 
そう思います。いきなりだとハードルが高すぎると思いますので。
 

だからプラントベースのものも届けたい。

 
──最後に将来の展望をお聞かせいただけますか?
 
現在のサラダ定期配送サービスとは別に、プラントベースの商品を開発中で、こちらは2021年の4~5月にリリース予定です。
 
このサービスもそうなのですが、やりたいことは5年後~10年後のためになる食事の選択肢を用意するということです。
 
食事を通じて、消費者がよりサスティナブルな生き方を実現できるための選択肢を作れればと思います。
 
ただ、逆説的ではありますが、選択肢を作るだけでは不十分かなとも思います。
 
食事である以上は、味を犠牲にすることがあってはいけません。サスティナブルであるから、という理由よりも、シンプルに食べやすいから、美味しいからという理由で選ばれるサービスを作ることに取り組んでいます。
 
編集後記
今回は、オフィスでの食事から、地球と人間の健康問題に取り組む細井さんのお話をお届けしました。
 
個人的には、iOSとWindowsの喩えが、細井さんの経歴も相まって、すごく印象的でした。
 
また、未来の世代を考えた食事や、食と環境負荷の話は、私たち消費者も決して環境問題に対して他人事ではいられないメッセージだと思います。
 
みなさんは、これからどのように食事を選択しますか?
 
それでは、最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。
 

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ライター:Sohshi Yoshitaka
Ethical Choiceの事業責任者。2030年までに地球が持続可能になる土台を、ビジネスを通して作ることが現在のミッション。
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