エシカルパソコンで気候変動と難民問題に終止符を。ZERO PC青山明弘さんがパソコンにこだわる理由と?

政治的な理由などによる迫害を受け、他国に助けを求める人のことを難民と呼びますが、日本にも、毎年約1万人が難民申請しています。
 
ただ、難民の受け入れに消極的な日本では、申請結果が降りるまで平均で3年から6年もかかり、その間は社会的に非常に不安定な立場にあることが多いのが実情です
 
そんな難民たちと一緒に環境負荷が低いエシカルパソコン(ZERO PC)を製造しているのが、今回話をお伺いしたピープルポートの青山明弘さん。
 
数ある事業からパソコンに目をつけた理由と、変えたい難民支援の現状に迫りました。
 

エシカルパソコン、ZERO PCとは?

 
──ZERO PCとはどんな事業なのでしょうか?
 

ZERO PCは環境負荷のもっとも少ない、エシカルパソコンを製造している事業です。
 
──パソコンの環境負荷とはどういうことでしょうか?
 

パソコンを作るのは実は環境負荷がかかるものでして、新しく作る際に、大量のCO2を排出するのに加え、大量の水や鉱物資源を使用します。
 
製造、使用、廃棄の3段階でも、製造時の環境負荷がもっとも高く、そのCO2排出量は全体の約7~8割を占めると言われるほど。
 
そのために、私たちZERO PCでは、2つのアプローチで環境負荷を抑えています。
 
1つは、新しいパソコンを作るのではなく、一度作られたものを整備したり、一部を新しい部品に入れ替えて、中古のパソコンを再生し使用することで、新たなCO2排出、水や鉱物資源の使用を減らすこと。
 
そしてもう1つは、中古パソコンの製造過程において、100%再生可能エネルギーを使うことで、全体のCO2排出量を減らすことです。
 

パソコンの製造と環境負荷の関係

 
──パソコンを作るのに一番環境負荷が高いのが製造ということですが、具体的にはなぜ環境負荷が高いのでしょうか?
 

なかなかイメージしにくい部分かと思いますので、大まかな製造工程を説明しますと、パソコンは様々なパーツが乗る基盤(マザーボード)があり、製造過程でそこに電源やメモリー、USB挿入口などを貼り付ける作業があります。
 
レゴブロックを想像していただければイメージしやすいかと思います。
 
マザーボードに部品を貼り付ける際に熱を使うのですが、その熱は電気で賄われるものです。

マザーボード
組み立てなどは日本国内で行われることも多いですが、現状、日本の電気は約4割が火力発電由来のため、パソコンを製造するだけで、間接的にCO2の排出に関わっていることになるのです。
 
──だから再生可能エネルギーを使っているということですね。
 
仰る通りです。またEC限定ですが、届ける際の梱包もプラスチックフリー、かつ緩衝材ゼロにしてまして。
 
パソコンというのは、発泡スチロールやビニールなどの梱包材がどうしても多くなりがちです。

ゼロPCの梱包に使用している段ボール

プラスチックは石油からできているため、製造時にCO2が発生しているのですが、廃棄時にも燃やされてCO2を排出したり、マイクロプラスチックの問題も発生してしまいます。
 
ZERO PCでは、そういう環境負荷も減らすために、段ボール自体に工夫をすることで、パソコンが緩衝材なしでも中に浮いている状態を実現しているため、プラスチックの緩衝材を使用していないのも特徴です。
 

エシカルパソコンZERO PCの4つのラインナップ

 
──ではそのように、製造でも輸送でも環境に配慮をしたエシカルパソコンのZERO PCですが、どのようなラインナップがあるか、ご紹介いただけますでしょうか?
 

ラインナップは全部でA、X、Y、Zの4つあり、性能によって用途別に分かれています。
 
1つずつ説明します。
 
まずはAシリーズ。

エシカルパソコンAシリーズ


Aは一番ベーシックなもので、大きい画面で調べものやメールをする方など、自宅で簡単な作業をする用に使っていただけるモデルです。
 
Aより1段階性能UPしたのがXシリーズです。
 

エシカルPCのXシリーズ

Xは、スマホで撮った写真をバックアップしたり、お子さまがオンラインで授業受けたり、あとはワードやエクセルなどの事務作業に使っていただけるモデルです。
 

続いてはYシリーズなのですが、ビジネスで使う方や大学などに通う学生さんがメインにになります。

エシカルPCのYシリーズ

ビデオ会議を頻繁に複数人で行う方、Webを参照したり資料を作成したり、業務用のシステムを使ったりする人におすすめです。
 
ビジネスや学校で毎日使う、それに対して速さを求める方におすすめなのが、Yシリーズです。
 

最後にZシリーズ。

ゼロPCのZシリーズ

Zシリーズはデザインや動画編集、オンラインゲームなどをする人向けのスペックになっています。
 

中古のパソコンだからこそ、より責任のある販売を

 
──用途に合わせて選べるという形ですね。ただ、やはり中古のパソコンということで、正直なところ故障しないかが心配です。。。
 

中古にも様々な種類があるのですが、仰る通り、全ての部品が中古だと壊れやすいのは事実です。
 
ただ、ZERO PCでは安心して使ってもらうために、特に消耗が激しいHDD(ハードディスク)は全て新品のSSDに交換しています。
 
中古のパソコンなので、新品と比較すると値段は相対的に安いですが、とは言っても絶対額で言ったら高い買い物です。なので、せっかく買っていただいたエシカルパソコンがすぐに壊れないための企業努力をしています。
 
ZERO PCは最初の30日間はどんな理由でも返品可能。さらに、無償で1年間の保証付きです。
 
業界平均では、早ければ1週間だったり、平均しても2〜3ヶ月の保証期間のものが多いですが、ZERO PCは責任ある企業として、1年間の保証期間をつけて、期間内では何度でも問合せ対応を行います。
 
追加で2,500円お支払いいただければ、もう一年保証を延長することも可能です。
 
安心して使っていただくためには、売りっぱなしにしないようにしているので、実際にこのような嬉しいコメントをいただいています。
 

リサイクル、と覚悟していたものの、とても状態の良い外観と、性能の良さに感動しております。
また、個人的にNGO団体へ少額ですが長い間支援をしているもので、貴社の「エシカル」という理念にも非常に心を打たれました。
素晴らしい商品をありがとうございました。

なので、安心してご使用いただけたらと思います。
 

難民が安心して働ける場としてのパソコン製造販売

 
──徹底して環境に優しい方法でパソコンを製造していて、さらに環境負荷が低い方法で届けられていることがわかりました。ZERO PCは難民支援も大きなテーマの1つだと思うのですが、そこがなぜパソコン事業を始めるに至ったのでしょうか?
 

おっしゃる通り、「難民が安心して働ける場所を」がベースの考えにあって、どういう事業体がいいかを考えていたのですが、最終的にパソコンを選んだのには次の3つの理由があります。
 

  • 日本語ができなく会社の戦力として働けること
  • 母国に戻った際にも活躍できる技術が得られること
  • 日本社会への貢献に繋がること

 
彼らの多くは日本に望んでやってきたわけではなく、たまたま早くビザが降りたとかそう言った理由で来日しています。なので、日本語ができる人はほとんどいません。
 
パソコンに関しては、数字と英語ができれば仕事はできますので、言語の壁はクリアできます。
 
また2つ目に関しては、パソコンに関する技術は世界中で役に立つもので、もし将来母国に帰れるとなったときにも技術は応用が効きます。その際に仕事を探せるわけです。
 
また、特にこだわっているのは、3つ目の日本社会への貢献に繋がること。
 
──上の二つはスキル的な話だったので、毛色が違う理由で気になってましたが、どういうことでしょうか?
 

難民はどうしてもネガティブなイメージを持たれていたり、無関心でいられることが多いのですが、そのイメージを変えたいと思っています。


どうすればイメージが変えられるかを考えていたのですが、やはり日本の社会に貢献する事業を難民である彼らと一緒にやっていく、それによって「来てくれてありがとう」という感情を抱いてもらえたら、見方が変わると思うんです。
 
──ネガティブなイメージを変えるために、社会性を重視しているということですね。そこまで、難民の支援に力を入れる理由はなんなのでしょうか。
 
私が元々、難民問題に興味があり、それを解決したくて社会起業をしたためです。
 

日本の難民の現状と環境難民

 
──難民の問題とはどういうことでしょう?
 

ピープルポート(ZERO PCの運営会社)では難民申請中の人が働いているのですが、先ほども申し上げたように、日本を目指して来た訳ではなく、ビザが早くおりたからなどが理由の人がほとんどです。
 
やっとの思いで辿り着いた日本では、難民の認定プロセスに3~6年もかかります。
 
長い間待って結果が出ても、その確率は諸外国と比較しても極端に低く、0.2%から0.4%ほど。1万人以上が申請して、40人くらいしか認定が降りない状況なんです。
 
難民の受け入れに積極的なドイツだと20%は超えてきますので大きな差があることがおわかりいただけるかと思います。
 

──そんなに低いんですか、、、その間に難民の方ができることは何なのでしょうか。
 

特定活動というビザで日本に滞在し、生活を営みます。そのビザは半年に一度更新となり、すごく精神的にストレスフルな立場に立たされてしまいます。
 
また、就労の許可を受けている人もいるのですが、日本語能力などハードルが多く、なかなか仕事は見つからないのが実情。見つけたとしても待遇がよくないケースが多いです。
 
そうなると、貧さの連鎖から抜け出せなくなります。
 
日本語ができないから、職場でも日本人に相談できないし、そんな状況で体を壊してしまうと、社会的に孤立してしまうのはよく聞く話です。
 
そんな実情があるので、ZERO PCでは、日本語ができなくても日本人と同じ給与水準と社会保障で働けるようにしています。

ZEROPCの社内風景
加えて、難民という立場にいる人たちが、特定活動というビザではなく、働く人材として日本に在留することはできないかは、今チャレンジしているところです。
 

──環境負荷と難民の両方にフォーカスをしているエシカルパソコンの企業だと思うのですが、特にその2つに力を入れているのはどうしてでしょう?あまり関連性が見えないので教えていただけますか。
 

気候変動と難民の問題は切り離して考えられてしまいがちなのですが、この2つは密接に関わっています。
 
実は近年、環境難民という言葉が出てきておりまして。
 
要は、気候変動による干ばつや気候汚染などによって、自国が生活できてなくなってしまったので、難民として他国に援助を求めるケースです。
 
このケースは増え続けると予想されていて、2050年までに10億人が、水や気候関連の問題、そして紛争が重なること移動を強いられると言われているほど。
 
難民と呼ばれるメンバーと一緒にやってる会社なのに、製造過程で気候変動を後押しするCO2を排出して、難民を増やしてしまうのか。それはできないよねということです
 
なかなか結びつきにくい両者ですが、関わっていることなので、ZERO PCは両方にアプローチできるようにしているのです。
 

ZERO PCを選ぶことは手軽にできる国際貢献

消費で国際貢献
──そんな環境に配慮して、難民の支援にも貢献できるエシカルパソコンのZERO PCですが、どんな人に使って欲しいですか?
 

大きく3つあります。
 
1つ目は、新品のパソコンが少し高くて手が出せないと思われている方。お手頃なパソコンを探している方にはおすすめです。
 
2つ目は、難民や紛争鉱物など国際的な課題の背景に関心がある方。
 
やはり問題が大きいので、どう貢献できるのかがわからない方が多いと思います。ZERO PCは日々の生活の中の消費を変えるだけで貢献に繋がるので、応援の意味も込めて検討いただけたら嬉しいです。
 
最後に、お子さまのオンライン授業だったり、パソコンの練習として一台求められている方にもおすすめです。

 

青山明弘さんが見る、ピープルポートの展望

青山明弘さん


──最後になりましたが、将来の展望をお聞かせください
 
将来の展望としては3つあります。
 
1つ目は、「難民」として先が見えない状態で生活するのではなく、高度人材と言った在留資格への切り替えを通して、日本で安定した生活が続けられるように会社としてサポートをしていきたいと考えています。
 
2つ目に海外展開です。
 
難民の方にはいろんな背景や特徴を持っている方がいて、日本だけが彼らにとっての居場所ではないと思っています。
 
なので、いろんな国でビジネスを展開して、ビジネスパーソンとしていろんな国を飛び回れるようにできたらいいなと思います。
 
3つ目ですが、今のところの最終的な目標で、いずれは自分たちでパソコンを作りたんです。
 
環境に優しいことで有名なオランダのFairphoneのように、そのパソコン版を作れればいいと考えています。新品だけど環境負荷が低いパソコンです。
 
また、冒頭で申したように、パソコンは部品の組み立てで成り立っているので、そうした環境負荷が低い部品ができたら他の新品のパソコンにもその部品を組み込むことができるかもしれないと思っています。
 
そうやって本当に環境負荷の低いパソコンを作っていきたいです。
 

ZERO PCの詳細を見る

編集後記
今回はエシカルパソコンのが持つ社会的に意義と、日本において難民が直面する現実をお伝えしてきました。
 
多くの方にとって、難民の受け入れ率や、処遇は衝撃だったのではなかったでしょうか。私もそのひとりです。
 
一方で、手軽にそういう方を支援するために、パソコンの消費を変えるだけという選択肢を提供していると話していた青山さん。
 
皆さんもできる範囲で、アクションをとってみるのはいかがでしょうか?
 
それでは、最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。
 

               
ライター:Sohshi Yoshitaka
Ethical Choiceの事業責任者。2030年までに地球が持続可能になる土台を、ビジネスを通して作ることが現在のミッション。
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