サーキュラーデザイン| 持続可能なデザインの戦略と事例を紹介

2021.08.06
循環型社会の重要性が叫ばれ始めている中で、注目されているのがサーキュラーデザインの考え方。 循環することを起点としたデザインのことですが、具体的にはどのような考え方なのでしょうか。 当記事では、サーキュラーデザインを考える上で重要なバタフライダイアグラムを解説し、サーキュラーデザインの事例を3つ紹介します。 サーキュラーデザインのことが気になる方はぜひ、最後まで読んでみてください。

サーキュラーデザインとは?

サーキュラーデザインとは、資源が循環するための仕掛けをあらかじめ製品に組み込んだデザインのこと。
 
資源をゴミにしない、つまり廃棄物を一切出さないことを1つの目標としています。
 
そのため、廃棄が出ないデザインに加えて、製品寿命がきた際に、どのような用途で使用されるかが予め決められていることが要求されているのが特徴です。
 

サーキュラーデザインの重要性

サーキュラーデザインが必要な背景 

では、近年なぜこの廃棄物を出さないサーキュラーデザインが注目を浴びているのでしょうか?
 
理由の1つには、資源を循環させて、廃棄物を出さない経済を目指すサーキュラーエコノミーの台頭が挙げられます。
 
コンサルティングファームのアクセンチュアの予想では、サーキュラーエコノミーの市場規模は2030年までに4,5兆円にも登るとのことです。
 
また、もう1つの理由には、大量生産・大量消費・大量廃棄のような資源を使っては捨てる経済活動のやり方に地球の資源供給量が追いつかないことが挙げられます。
 
世界中で生み出されるゴミの量は、年間でも170億トン(1)、日本では15億着の新品衣類が廃棄されていると言われている現状があり、そのような資源の使い方はサスティナブルではないと考えれられています。
 
実際に、地球の資源をどれだけ使っているのかを表すエコロジカルフットプリントという指標によれば、今使われている資源の量は、地球1,7個分。
 
つまり、今の暮らしを維持するためには、製品の作り方を根本から見直す必要があり、そのためにも、サーキュラーデザインの考え方が重要視されているというわけです。
 
(1)世界の廃棄物発生量は-環境省
 

サーキュラーデザインの考え方。6つの戦略を紹介

サーキュラーデザインの戦略 

ここまで、サーキュラーデザインとは何か、そしてなぜ注目を浴びているのかを紹介しました。
 
では、具体的にサーキュラーデザインは、どのようなデザインなのでしょうか?
 
サーキュラーデザインの指針とも言われている6つの戦略(2)を解説いたします。
 

(2)Plants die, but what happens to the plastic pots?
 

安全で循環できる材料の選択

まずは、循環可能な材料を選択することから始まります。
 
生分解性のある材料、リサイクル可能な材料を選択すること、そして環境や人体に有害な物質を含む材料を避けることが挙げられます。
 

内側のループの設計

サーキュラーエコノミーには、バタフライダイアグラムというヒトや技術、自然、産業などあらゆるモノの、寿命に至るまでの技術的・生物的サイクルの2種類のサイクルを表した図画あります。
 
内側のループを通る方がより環境への負荷が低いため、サーキュラーデザインでは、より内側を優先します。
 

製品からサービスへ

Paas「Product as a service」という言葉がありますが、製品を保有するのではなく、製品を利用することに重きを置く戦略です。
 
そうすることで、消費者が所有者である必要がなくサービス提供者がそのまま保有者になることができるため、製品寿命の延長、修理のしやすさなどに重きがおかれるようになります。
 

製品寿命の延長

資源を効率よく使うには、一度作った製品を出来るだけ長く使えるようにすることが重要です。
 
そのために、修理がしやすいデザインにしたり、修理ができる体制もサービスとして提供するのも戦略の1つとなります。
 

非物質化

非物質化は、出来るだけ材料を手放し、環境負荷を下げることを主眼にした戦略です。
 
例えば、FAXをPDF送付にしたり、紙の本を電子書籍にすることも非物質化の1つ。非物質化には、デジタル化が鍵になります。
 

モジュール性

モジュール性を持たせることは、互換性があることから修理や、アップグレードのしやすさなどが価値とされています。
 
どこか一部が壊れたら新品と交換することが多い製品と比較すると、モジュール性がある部分だけを交換すればよく、材料に使われる資源も減るため、サーキュラーデザインの1つの戦略として考えられています。
 

事例

ここまで、サーキュラーデザインの6つの戦略を見てきましたが、気になるのは実際にどのようにプロダクトに適用されているのかではないでしょうか。
 
そこで、ここでは3つの先進事例を紹介しますので、サーキュラーデザインがより鮮明にイメージできるようになれば幸いです。

 

Greenbox

OnMateriaのサーキュラーデザイン、Green Box 

まず紹介するのは、ホテルアメニティ「Green Box」。
 
「Green Box」はスウェーデンのデザインファーム「OnMateria」が開発したもので、堆肥化可能な材料で作られているアメニティです。
 
通常通りアメニティを使用したあと、お客さん自らが堆肥可能なパーツとそうじゃないパーツに分けて分別します。一見難しそうですが、緑は堆肥可能で、白は不可能のため、一目瞭然。
 
お客さんも楽しみながらサーキュラーエコノミーを体験できるデザインとして、芸術とデザインの国際コンペティションMake Me!で優勝しています。

 

Fairphone

続いて紹介するのは、もっとも環境に配慮されたスマートフォンの呼び声高いオランダ発のFairphone。
 
サーキュラーデザイン戦略の中でも紹介したモジュール性を有しており、いくつかのモジュールを交換するだけで、新しい端末を購入せずとも最新モデルにアップグレードできるというものです。
 
特にスマートフォンで使用される部品は生成の過程で環境負荷が高かったり、原料の調達が紛争を助長している紛争鉱物でありことが問題視されていることもあり、より良い循環型の選択肢として消費者に支持されています。
 

Patagonia

服を修理するパタゴニアの「Worn wear」プログラム
 
最後に紹介するのは、Patagoniaの「Worn Wear」プログラム。
 
消費を減らし、所有する衣類の製品寿命を延長するためのプログラムです。
 
Patagoniaによれば、衣類の寿命を9か月間伸ばすと炭素排出、水の使用、そして廃棄物のフットプリントを20%〜30%も削減できるとのこと。
 
そのためにも、「新品よりもずっといい」を標語に修理プログラムを展開しているのです。
 

さいごに。

当記事では、サーキュラーエコノミーとともに注目を浴びる新しい概念であるサーキュラーデザインを解説しましたが、いかがでしたか?
 
世界の企業は既に取り組んでいるもので、持続可能性が叫ばれている今、日本でも注目を浴びる概念となるでしょう。
 
新しい商品をデザインする際や、既存の商品をブラッシュアップする際に、サーキュラーデザインも戦略に組み込んでみてください。
 
当メディアでは、最先端のサスティナブル経営をテーマに情報発信をしておりますので、見逃したくない方はぜひメルマガに登録していただければと思います。
 
それでは、最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!

WRITER
ライター:Sohshi Yoshitaka
Ethical Choiceの事業責任者。2030年までに地球が持続可能になる土台を、ビジネスを通して作ることが現在のミッション。