脱炭素社会 | 必要とされる背景から世界、企業の取り組みまで解説

2021.07.30
地球温暖化をはじめとする気候変動が迫ってきている中、日本を含めた国際社会は脱炭素社会に向けて動き始めています。 当記事では、脱炭素社会の概要を説明した上で、脱炭素社会が必要とされている背景を解説。後半では、国や企業がどのような取り組みを行っているのかを解説しますので、ぜひ最後までご覧くださいませ。

脱炭素社会とは?

脱炭素社会とは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにする社会のことを言います。
 
温室効果ガスの排出量を減らし、科学技術によって大気中の二酸化炭素量を吸収することで全体としてプラスマイナスゼロを目指す考え方のことです。
 
脱炭素社会はカーボンニュートラルとも言い、2030年、2050年に向けて最も注目を集めているトピックの1つなのですが、その理由は一体なんなのでしょうか?
 

脱炭素社会が必要な背景

カーボンニュートラルが必要な理由
 
脱炭素社会が必要とされている背景には、地球温暖化の危機が差し迫っていること、そしてその現状に対して国際レベルで対策を打とうとしていることが挙げられます。
 
1つずつ見ていきます。
 

地球温暖化の現状

1980年代から地球温暖化が進行しているということが唱えられ始めましたが、当時は懐疑論や陰謀論もあり、長い間現実に起きていることだとは受け止められませんでした。
 
しかし、第5回のIPCC(1)では、地球温暖化は人類が排出した温室効果ガスによって進行している可能性が極めて高いことが証明されます。
 
IPCCによれば、地球温暖化は有史以来、既に1℃進行済み。
 
現在のペースのまま地球温暖化が進行すれば、2100年には最大で4.8℃の温度上昇が発生すると言われています。
 
4.8℃と言うと、それほど大きくない数字のようにも聞こえますが、その効果は甚大で、地球は人間が住める場所ではなくなってしまうと言われているほど。
 
そのような現状を打破するためにも、国際社会が一丸となって、この危機を乗り越えるために、パリ条約が結ばれています。
 
(1)IPCC 第5次評価報告書 特設ページ

 

パリ協定

パリ協定は、京都議定書の後を継ぐ、脱炭素社会に向けた国際条約です。2015年に200カ国が合意し、成立しました。
 
パリ協定の内容は、以下の通り。
 
「産業革命前からの平均気温上昇を2℃以内に抑える。できれば1.5℃以内に抑える」
 
この目標のために、主要排出国を含む全ての国が削減目標を5年ごとに提出・更新することが求められています。
 
京都議定書とは違って、先進国・途上国関係なく全ての国が対象であることが画期的だと言われており、世界が一丸となって、温室効果ガス削減に向かうための指針となっているのがパリ協定です。
 

SDGs

SDGsは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略で、17の目標と169のターゲットからなる国際目標です。
 
SDGsの目標の13番目には、「気候変動に具体的な対策を」が定められています。
 
SDGsが2030年までの達成を目指している国際目標であることからも、その緊急性、重要性が伺えるのではないでしょうか。
 

脱炭素社会に向けた国の動き

脱炭素に向けた世界各国の取り組み
 
脱炭素社会の概要と、それが求められる背景に関して解説してきました。
 
次に、世界および日本ではどのような対策が取られているのか、見ていきます。
 

EU

EUは2020年3月に、「2050年までに気候中立(Climate Neutrality)達成」を目指す長期戦略を提出しました。
 
また、中期戦略として、2030年に1990年比で少なくとマイナス55%とすることを表明しています。
 

イギリス

イギリスは、2019年6月に改正した気候変動法の中で、2050年のカーボンニュートラルを規定しました。
 
長期戦略に関しては、2021年に向けて準備中とのことです。
 

アメリカ

トランプ前大統領が2019年にパリ協定脱退を表明しましたが、バイデン第46代大統領は、気候変動対策を最重要課題の1つに制定し、2035年の電力脱炭素の達成をはじめ、2050年以前のネット排出ゼロにすることを発表。
 
クリーンエネルギー等のインフラ投資に4年で2兆ドルを投資するともしています。
 

中国

2020年の国連総会で、国家主席の習近平は2060年のカーボンニュートラルを目指すと表明。
 
そのために、EVやFCV等の脱炭素技術に投資をすると見られています。
 

日本

2020年10月26日、第203回臨時国会にて、菅総理が「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言しました。
 
次世代型太陽電池、カーボンリサイクルをはじめとした、革新的なイノベーションが鍵だと考えており、研究開発促進のために投資を行うと見られています。
 

企業の取り組み事例

企業の取り組み事例
 
脱炭素社会に向けた、国単位での取り組みを紹介してきましたが、2050年の脱炭素社会に向けて重要な役割を果たすのは企業です。
 
本項では、企業が脱炭素社会の実現の枠組みとされている3つの取り組みを紹介いたします。
 

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)

TCFDは、金融安定理事会(FSB)が2015年に設立した民間主導のタスクフォースです。金融市場において、気候関連の財務情報の報告を促すために設立されました。
 
TCFDでは、以下の4項目を開示推奨項目として定めています。
 

  • 気候関連のガバナンス
  • 気候変動に関する短期中期長期の戦略
  • 気候関連リスク
  • 気候関連の指標と目標

 

これらの4項目によって、TCFDは、気候関連のリスクとオポチュニティ(機会)をより効果的に開示するように求めています。
 
参加企業には、旭化成、味の素、花王、オムロン、トヨタ自動車、ユーグレナー、ライオンを含む、201社が含まれています。
 

SBT(Science Based Targets)

SBTとは、パリ協定が求める2℃(可能なら1.5℃以内)の温度上昇に抑えるための、5年~15年先をタイムスパンとして企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標のことです。SBTi(iはイニシアチブ)と表現されることもあります。
 
SBTの認定要件は以下の通り。
 
事業者が直接排出する温室効果ガスのみならず、他企業含むサプライチェーン全体における温室効果ガスの2.5%の削減をすること。
 
そして、認定後も排出量や目標に対する進捗を毎年開示し、定期的に妥当性を確認する必要があります。
 
環境省によれば、2021年3月19日時点で、SBTiに参加している日本企業はソニー、第一三共、パナソニックを含む122社とのことです。
 

RE100

RE100は、事業における使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際イニシアチブです。
 
参加要件は、以下です。
 

  1. グローバル又は国内で認知度・信頼度が高い
  2. 主要な多国籍企業(フォーチュン1000又はそれに相当)
  3. RE100の目的に寄与する、何らかの特徴と影響力を有する
  4. 消費電力量が100GWh以上
  5. (※現在、日本企業は50GWh以上に緩和されています。)

 

2021年7月現在の参加企業は、リコー、積水ハウス、イオン、ソニー、マルイグループ、味の素などを含む58社です。
 
参照:RE100・EP100・EV100国際企業イニシアチブについて
 

さいごに。

本記事では、脱炭素社会に関して解説してきました。
 
前半は、脱炭素社会の概要と必要とされている背景、後半では、各国と企業が行う取り組みを紹介してきました。
 
地球温暖化は差し迫っている危機で、世界全体で対応する必要があります。
 
また、取り組みを行っている企業であれば、それを積極的に発信することで、ブランディングやPRに繋がります。
 
私たちEXIDEAは、コンテンツマーケティングに強みを持った企業で、オウンドメディアの制作から、Youtubeチャンネルのコンサルティングまで対応可能です。
 
大手クライアントを支援してきた実績と、自社でサスティナブルメディアを運営している知見があります。
 
取り組みがうまく伝わっていないと感じる企業様はぜひお気軽にご相談くださいませ。
 
それでは、最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。

WRITER
ライター:Sohshi Yoshitaka
Ethical Choiceの事業責任者。2030年までに地球が持続可能になる土台を、ビジネスを通して作ることが現在のミッション。