ESG経営|グローバルスタンダードの持続可能な経営について

2021.07.30
ESG投資の金額が全投資額の三分の一を超え、これまでの経営とは違う経営手法の必要性が叫ばれ始めました。   日本でも、ESG経営に動き始めている企業もありますが、まだまだ少数派。   グローバルではESG経営がスタンダードになっており、これまでの資本主義の在り方が変わろうとしています。   当記事では、日本ではまだまだ知られていないESG経営とは何かを事例を交えながら解説。   まずは、ESGの意味から解説しますので、ご存知の方は、スキップしていただければ幸いです。  

ESGとは?

ESGとは、以下の3単語の頭文字をとった言葉です。
 

  • 環境(Environment)
  • 再生可能エネルギーの使用をはじめとする環境配慮

  • 社会(Social)
  • 労働条件や労働環境、男女平等、ワークライフバランスなど

  • ガバナンス(Governance)
  • コーポレートガバナンスや法令遵守などの経営に関する管理体制について

 
ESGは、直接的に売上や利益といった形で企業経営には反映されないため、非財務的指標とも呼ばれます。
 

ESG経営とは?

ESG経営とは何か?その意味を解説 
ESG経営とは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の側面を経営戦略に落とし込み、経営を行うことです。
 
よく、単なる社会貢献に間違われることもありますが、ESG経営においては、よりESGの三要素にフォーカスをすることが消費者から選ばれることにつながり、その結果企業の価値が上がり、株主に選ばれると考えています。
 
そのため、表面的な環境配慮のアピールではなく、事業戦略の一環という位置付けで取り組むことが重要です。
 
具体的にどのようなESG経営の例があるかは後述いたします。
 

CSRとの違いは?

CSRはCorporate Social Responsibilityの略で、企業の社会的責任のことを指します。
 
ESGとも似た概念ですが、両者の違いは、以下の通り。
 

  • CSR:企業が社会の公器として、社会的な責任を果たすもの。企業の倫理的な側面に重きを置いている概念
  • ESG:三要素に取り組むことで、企業の価値を高めること。選ばれる存在であるための事業の戦略としての側面が強い

 

このように、両者の違いは、社会貢献が経済の中にあるか、外にあると捉えているかと言うこと。
 
CSRが倫理面の責任を果たすことであり、経済合理性と社会貢献が別にある考え方であるのに対し、ESGは事業戦略に組み込むことで経済もついてくる考え方です。
 
これまではCSRが重視されてきましたが、これからはそれだけではなく、ESGが重要だと叫ばれています。
 
このような変化は、経済成長をするには徹底的な効率重視が重要だと考えられている資本主義自体に変化が起きているために生じていると考えられます。
 
次に、変化を紐解くために、著書『ESG投資』の中で紹介されている4つの資本主義に触れたいと思います。
 

4つの資本主義

ESG経営と4つの資本主義
 
4つの資本主義とは、著書『ESG思考』で紹介されている資本主義の見方で、環境や社会に配慮すると利益が増えるか減るか、環境や社会への配慮に賛成か反対かでプロットされたものです。
 
そうすると、以下の4つに区分できるのが分かります。
 

  1. ニュー資本主義:環境配慮が利益につながるため賛成
  2. 陰謀論:利益が増える裏には何かあるか考え、反対する
  3. 脱資本主義:利益が減っても賛成する
  4. オールド資本主義:利益が減るので賛成しない

 
ここで注目いただきたいのが、ニュー資本主義とオールド資本主義に関して。
 
オールド資本主義は、シンプルに環境や社会に配慮すると、余分なコストがかかり、利益が減るために反対する考え方。
 
資本主義においては至極当然とされている考え方であり、今日も多くの企業で主軸となっている考え方でもあります。
 
一方で、利益が増えるがために、環境や社会に配慮するのに賛成する考え方ですが、これはここ10年ほどで世界の機関投資家やグローバル企業で浸透してきている考え方です。
 
その証拠にESG投資の運用額は2018年時点で33,4%と実に三分の一を占めています。
 
この事実がまさにESG経営が世の中で注目を浴びている理由であり、企業がESGを戦略の中心に据えて、経営を行うべき理由なのです。
 

きっかけはリーマンショック?

このような変化のきっかけはリーマンショックだと言われています。
 
主な理由は以下の2つ。
 

  • 自社の持続可能性
  • 社会的信頼

 

従来は、環境や社会など自社の外にあると考えていた持続可能性が、会社自身が存続できない事態に陥ったからこそ、会社自身の持続可能性が叫ばれるようになりました。
 
また、リーマンショックで起こった大量のリストラなどにより大企業の社会的信頼は失墜したため、それを取り戻すためには何が必要かと考え始めます。
 
そこで行き着いたのが、ESGだったのです。
 
そこに拍車をかけたのが、マイケルポーター教授が2011年に出した論文。企業の長期的な成長にはCSV(共有価値の創造)という概念が必要だと紹介したことで、欧米ではサスティナビリティ経営に転換する企業が多くいたのです。
 

なぜ、ESG経営が重要?

ESG経営が必要とされている背景
先ほども、ESG経営を行うことが消費者に選ばれることにつながることに触れましたが、具体的にはどのようにつながるのでしょうか。
 
経営コンサルファームのマッキンゼーによれば(1)、ESG経営を行うことのメリットは以下の5つの側面で効果を期待できるためと言います。
 

  • 売上の増加
  • コスト低減
  • 規制当局による介入
  • 社員の生産性の向上
  • 投資及び資産の最適化

 

1つずつ見ていきます。
 
(1)ESG経営から育む 価値創造の5つの方向性
 

売上の増加

同調査によれば、回答者の70%を超える消費者は環境に優しい商品を購入するならば、一般的な商品に比べて5%高い金額を払っても構わないと回答したとのこと。
 
また、ESG経営に取り組むことで政府が信頼できる企業だと判断し、公的な承認や許可が降りやすく、経営に有利に働くとしています。
 

コスト低減

マッキンゼーによれば、ESG経営が原材料費や浄水費、また二酸化炭素排出コストなどの運営費用の抑制につながるとのこと。
 
最大で60%の運営費用を抑制した事例もあり、ESG経営にはコスト低減のメリットもあります。
 

規制当局による介入

ESG経営に取り組むことで、企業は対外的な訴求力を高められ、その結果、当局からの圧力を緩和でき、より自由度の高い戦略が採れると言います。
 
実際に、政府などの当局が介入することでリスクにさらされる企業利益は銀行や自動車業界、航空宇宙・防衛産業、およびテックセクターにおいて、50~60%に上るため、そのリスクを低減できることは大きなメリットだと考えられます。
 

社員の生産性の向上

ESG経営に取り組むことはより優秀な人材を引きつけること、そして、社員のモチベーションを上げ、生産性の向上に寄与すると言います。
 
一方で、社会的意義が感じられなければ、ストライキや労働争議などで生産性が下がるともされています。
 

投資及び資産の最適化

ESG経営を行うことは、再生可能エネルギーなどの持続可能な機会に投資することを可能にし、その結果、投資リターンをさらに高めることに繋がります。
 
実際に、中国では大気汚染に対する取り組みに関して2030年までに3兆ドルほどの投資機会を創出すると考えられており、日本においても、温室効果ガスの目標を達成すめの技術投資の機会は年平均で190-240億ドルになるとされています。
 

ESG経営の事例

上記のように、ESG経営は多くのメリットをもたらしますが、実際にはどのような取り組みが行われているのでしょうか?
 
ここでは、特にESG経営で名前が上がる3社の取り組み事例を紹介します。
 

花王

ESG経営の事例としての花王
花王は「Kirei Lifestyle Plan」をESG戦略に定め、プラスチック循環社会をはじめとする取り組みを行っています。
 
プラスチック循環社会においては、プラスチックのボトルレス化、商品に貼ってあるプラスチックのシールを全廃などを通じ、プラスチックゴミの削減とCO2の排出量の削減を目指しています。
 

丸井

丸井グループがESG経営のコアに据えるのは「インクルージョン」。下記の4つの重点テーマを掲げています。
 

  • お客様のダイバーシティ&インクルージョン
  • 年齢・性別・身体的特徴を超えて、お客様に喜んでもらえる商品やサービス店舗の在り方を追求すること

  • ワーキングインクルージョン
  • 働く人の成長=企業の成長=お客様の役に立つと考えており、そのために社員1人ひとりに活躍の場を提供する

  • エコロジカルインクルージョン
  • 脱炭素や循環型社会を目指し、自然と環境との調和を図るエコロジカルなライフスタイルの提案を行うこと

  • 共創経営のガバナンス

全てのステークホルダーの「しあわせ」の調和をはかるためにインクルードした経営を行う
 
このようなインクルージョンを通じた「しあわせ」の創造をするために、「ビジョン2050」を掲げESG経営に乗り出しています。
 

ヤクルト

ヤクルトのESG経営事例
ヤクルトは「人と地球の共生社会」を目指し、「環境ビジョン2050」を掲げています。
 
「環境ビジョン2050」の中では、2050年には温室効果ガスの排出量をゼロにするために、バックキャスティング思考で2030年までのマイルストーン 、そして2024年までの環境アクションも制定済み。
 
具体的に、CO2排出量、プラスチック使用量、水の使用量を減らしていくための定量目標とアクションプランを定め、動いている状況です。
 

さいごに。

当記事では、ESG経営に関して解説しましたが、いかがでしたか?
 
ESG経営は、単なる社会貢献の一環ではなく、利益が出るし、それでもって環境も社会にも配慮したビジネスの本質をついている経営の考え方であるということです。
 
また、日本でも先進企業はすでに取り組んでいるので、これからのチャンスを逃さないためにも、できることからESG経営を行っていくことが重要だと考えられます。
 
当メディアでは、サスティナブル経営、ESG経営、サスティナブルブランディングに関してこれからも発信いたします。
 
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WRITER
ライター:Sohshi Yoshitaka
Ethical Choiceの事業責任者。2030年までに地球が持続可能になる土台を、ビジネスを通して作ることが現在のミッション。