グリーン成長戦略 | 50年のカーボンニュートラル達成に向けた国家戦略

2021.08.06
2050年までのカーボンニュートラル社会を実現させるために制定されたのが、グリーン成長戦略。   官民一体となって、企業の大胆なイノベーションの創出を促すための「成長戦略」です。   成長戦略と強調したのは、環境保護は制約やコストだと考える従来の捉え方とは異なり、成長の機会と捉えて、協力していくための戦略であるため。   当記事では、グリーン成長戦略で重点分野に指定されている14の分野と、戦略の中核をなす5つの支援ツールを紹介します。

グリーン成長戦略とは?

グリーン成長戦略とは、2050年のカーボンニュートラルを達成するために、従来の産業構造や社会経済に変革をもたらし、地球温暖化にも対応しながら、経済成長をも目指す産業政策のこと。
 
電力の化石燃料依存を減らすこと、電化を進めること、そして増える電力需要に対して、脱炭素燃料の使用・化石燃料から生じる回収と再利用を進める必要があります。
 
そのために、政策面での支援と、14の重要産業におけるイノベーションを両輪で回していくことを目指しています。
 

2050年のカーボンニュートラルに向けた重要な施策

カーボンニュートラルとグリーン成長戦略
 
グリーン成長戦略は、政府が主導で進めている政策で、以下にあるように、相当の本気度で取り組んでいくものだと考えられます。
 

「発想の転換」、 「変革」といった言葉を並べるのは簡単だが、カーボンニュートラルを実行するのは、並大抵の努力ではできない。産業界には、これまでのビジネスモデルや戦略を根本的に変えていく必要がある企業が数多く存在する。他方、新しい時代をリードしていくチャンスでもある。大胆な投資をし、イノベーションを起こすといった民間企業の前向きな挑戦を、全力で応援するのが、政府の役割である。

 
このように、力を入れて取り組むのは、2050年のカーボンニュートラルの達成を本気で狙っているため。
 
予算、税、金融、規制改革・標準化、国際連携など、多方面の政策を総動員して、民間企業が保有する240兆円の現預金を投資に向かわせることを目指しています。
 
長期間の移行期間を確保した上で、可能な限り高い目標を掲げ、それに向けて予測可能な見通しをしめすことが重要です。
 
グリーン成長戦略による経済効果は、2030年で年額90 兆円、2050年には年額190兆円程度だと試算されています。
 

14の重要分野における実行計画

14の重点分野 

グリーン成長戦略では、以下の14の重要分野が定められています。それぞれの分野では成長フェーズも異なるため、分野ごとに工程表をともなう実行計画にまでブレイクダウンしているのが特徴です。
 
そして、14の重要分野は以下の通り。
 

  • エネルギー関連
  • ①洋上風力、②燃料アンモニア、③水素、④原子力

  • 輸送・製造関係
  • ⑤自動車・蓄電池、⑥半導体・情報通信、⑦船舶、⑧物流・人流・土木インフラ、⑨食料・農林水産業、⑩航空機、⑪カーボンリサイクル

  • 家庭・オフィス関連産業として
  • ⑫住宅・建築物/次世代型太陽光、⑬資源循環、⑭ライフスタイル

 

5つの分野横断ツール

政府主導のイノベーション創出へ 

グリーン成長戦略で、2050年のカーボンニュートラルを目指すために、工程表で整理された以下の4段階において、その場ごとに最適なツールで支援していきます。
 

  1. 研究開発
  2. 実証
  3. 導入拡大
  4. 自立商用

 

5つの分野横断の支援ツールを1つずつ見ていきます。
 

予算(グリーンイノベーション基金)

政府が環境投資の面で一歩踏み込んだ支援を行うために、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に2兆円の「グリーンイノベーション基金」を設立。
 
野心的な目標を持つ企業を今後10年にわたり支援すると言います。
 
特に支援の対象としているのは、下記の重点分野。
 

  • 電力のグリーン化と電化
  • 水素社会の実現
  • CO₂固定・再利用
  •  
    また、この2兆円は呼び水として考えており、民間の15兆円の設備投資、研究開発を誘発、その先に世界のESG資金の3000兆円も呼び込む算段としています。
     

    税制|脱炭素効果が高い製品への投資を優遇

    カーボンニュートラルの実現に向けて、「カーボンニュートラルに向けた投資促進税制」を制定し税制面でもバックアップをすると言います。
     
    具体的には、以下のような例が挙げられます。
     

    • 税の優遇措置
    • 燃料電池、洋上風力発電設備など、脱炭素化の効果が高い製品の生産設備を導入した場合に税の優遇が受けられる

    • 税の控除上限を引き上げ
    • コロナ禍の苦しい状況でも積極的な研究開発投資をおこなう企業については、「研究開発税制」でみとめられている税の控除上限を引き上げる

     
    このような、税金優遇によるインセンティブから、10年で約1.7兆円の民間投資創出効果を見込んでいるとのことです。

     

    金融

    金融においては、金融市場のルール作りを通して、低炭素化・脱炭素化に向けて、投資を呼び込むことを目的としています。
     
    金融機関などが適切に機能するための環境整備を行い、ESG資金の3000億円を含め、社会課題に取り組む事業の資金調達を可能にするソーシャルボンドの発行をより円滑にするなどが具体的な施策として挙げられます。
     

    規制改革・標準化

    グリーン成長戦略では必要のない規制は改革し、新技術のための規制は整備し、その技術を世界でも使えるようにするために、国際標準化を行うことで、量産するための投資喚起と価格低減を目指します。
     
    具体的な取り組みの分野としては、水素、洋上風力、自動車・蓄電池などが挙げられます。
     
    加えて、CO2に価格をつけるカーボンプライシングをはじめとする経済的手法を含め、成長のための制度を検討・活用していくと言います。 
     

    国際連携

    グリーン成長戦略では、日本の最先端技術を使って、世界の脱炭素化を主導していくことが求められています。
     
    これからエネルギー需要が増えると予想されるアジア諸国においては尚のことです。
     
    また、アジア新興国との間では、以下の4分野での連携や低炭素化への移行を支援します。
     

    • カーボンリサイクル
    • 水素
    • 洋上風力
    • CO2回収

     

    さいごに。

    本記事では、2050年のカーボンニュートラルを目指すための戦略、グリーン成長戦略を解説してきましたが、いかがでしたか。
     
    グリーン成長戦略では、幅広い分野において、官民が連携し、革新的な変化を起こすことが求められています。
     
    そのために、重要分野を定め、5つの支援ツールが用意されており、まさに一丸となって、2050年のカーボンニュートラルに向かうための戦略だと言えるでしょう。
     
    脱炭素はこれから非常に重要なキーワードとなってくるため、目が離せません。
     
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    それでは、最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

    WRITER
    ライター:Sohshi Yoshitaka
    Ethical Choiceの事業責任者。2030年までに地球が持続可能になる土台を、ビジネスを通して作ることが現在のミッション。