サーキュラーエコノミーとは?新しい経済モデルで持続可能な社会に

サーキュラーエコノミー

サステナビリティ(持続可能性)の観点から注目集める新しい経済の形、 サーキュラーエコノミー。すでに、サーキュラーエコノミーのモデルから、画期的なサービスが次々と生まれており、その動向からは目が離せません。
 
このように注目を集める画期的な経済モデルですが、一体何が革新的かよく分からない方も多いのではないでしょうか。
 
そこで本記事では、 そんなサーキュラーエコノミーを、環境問題やビジネスモデル、またそれを支えるテクノロジーなど、様々な角度から徹底解説。
 
読んで頂ければ、これから主流になるサーキュラーエコノミーを通して、世界が向かう先が少し、お分かりいただけるかと思います。
 

サーキュラーエコノミーとは?

サーキュラーエコノミーとは、資源を無駄にせず、循環させていく新しい経済モデルのことを指します。
 
資源を採取し、製造・販売し、使われた後に捨てられる、従来の 一方通行の経済モデル(リニアエコノミー)の代わりとして、サステナビリティ(持続可能性)と経済成長を両立するものとして、サーキュラーエコノミーは語られます。

 

サーキュラーエコノミーの概念図

こちらは、サーキュラーエコノミーの先進国として知られる、(1)オランダ政府が提唱している概念図です。左側は従来型のリニアエコノミー、真ん中はリユースエコノミー、右側はサーキュラーエコノミーを表しています。
 

サーキュラーエコノミー、リニアエコノミー、リユースエコノミーの概念図
From a linear to a circular economyより

 
ご覧いただければわかる通り、従来型のリニアエコノミーは直線的であるのに対し、 サーキュラーエコノミーは循環しています。
 
ここで注目していただきたいのが、 サーキュラーエコノミーは真ん中のリユースエコノミーとも違うという点です。リユースエコノミーでは、廃棄物が出ているのに対し、サーキュラーエコノミーでは、そもそも利用した資源を廃棄されることが考えられていません。
 
リユースやリサイクルしやすい素材だったり、 製品寿命を長くすることで廃棄が出ないことを目指して始めから設計されており、このような循環型のデザインのことをサーキュラーデザインと呼びます。
 
(1)参照:https://www.government.nl/topics/circular-economy/from-a-linear-to-a-circular-economy
 

循環型社会との違い

サーキュラーエコノミーと似た概念に、循環型社会がありますが、この2つは決定的か違いがあります。
 
サーキュラーエコノミーで重要視されているのは、最初のデザインや、設計段階で、資源が廃棄にならなかったり、長く使えるようにすること。一方で、循環型社会においては、出た廃棄物を、いかにして無駄にせずに、再び循環させられるか、ということです。
 
つまり、サーキュラーエコノミーが入り口戦略なのに対して、循環型社会が出口戦略であるというという点が、決定的に違うと言えます。
 

サーキュラーエコノミーの経済効果

サーキュラーエコノミーの経済効果はどれくらいあるのでしょうか?
 
アクセンチュアの著書『(2)Waste to Wealth』によると、サーキュラーエコノミーがもたらす経済効果・経済価値は、2030年時点で約4兆5000億ドル。
 
この4兆5000億ドルという数字、実は従来の一方通行型の経済モデルを続けた場合の経済的損失から来ています。
 
どういうことかと言うと、従来の経済モデルを続けた場合、需要と供給の間で80億トンの天然資源不足が生じ、 それによって4兆5000億ドル、2050年には25兆ドルの経済的損失が発生するということ。
 
つまり裏を返せば、サーキュラーエコノミーへの転換によって、 4兆5000万ドル規模の経済価値が生まれるという試算から来ている数字なのです。

 
(2)参照:https://www.accenture.com/jp-ja/insight-creating-advantage-circular-economy
 

サスティナビリティへの挑戦:サーキュラーエコノミーが必要になった理由とは?

サスティナブルのイメージ
サーキュラーエコノミーが必要とされる理由は、上記の経済規模の話からもわかるように、従来の一歩通行型の経済モデルでは、資源が需要に追いつかなくなったためです。
 
その証拠に、現在人類が使用している天然資源は(3)地球1.7個分。
 
このままの大量生産・大量消費を続けていれば、いずれ人間が経済活動を行えなくなると考えられています。
 
そこで、経済成長と限りある資源を有効に使うことの両立を目指す、サーキュラーエコノミーが必要だというわけです。
 
(3)参照:https://www.footprintnetwork.org/our-work/ecological-footprint/
 

サーキュラーエコノミーとSDGs

SDGsとは、17の目標と169のターゲットからなり、持続可能な開発を目指す国際目標です。サーキュラーエコノミーは、そんなSDGsとも、持続可能な成長を目指すという点では重なる部分が多くあります。
 
サーキュラーエコノミーが貢献するSDGsの目標には以下が挙げられます。
 

12 つくる責任 つかう責任
→はじめから再利用可能であったり、長期利用可能なデザインや設計をすること。
 
13 気候変動に具体的な対策を
→限りある資源を有効に使うことで、 生態系を守ることにつながります。
 
14 海の豊かさを守ろう
→廃棄物を出さない設計なので、海に廃棄物が捨てられることを防ぎます
 
15 陸の豊かさも守ろう
→資源を有効に使うことが前提のため、資源の過剰利用を防ぎ、生態系を守ります。

5つのビジネスモデルと事例

これまで、 サーキュラーエコノミーがどのようなモデルで、なぜ必要性が高いのかを解説してきました。
 
次に、 具体的にどのように実用的なビジネスモデルビジネスモデルが組めるのか、また実際にどのようなサービスや商品があるのか、アクセンチュアのレポートを基にご紹介いたします。
 

再生型サプライ

再生型サプライとは、再生可能な材料や、生分解可能な素材を利用することを指します。
 
微生物によって生分解される、バイオプラスチックを使用することなどが再生型サプライにあたります。
 

回収とリサイクル

回収とリサイクルは、資源を回収して、リサイクルをすることで、無駄を減らすという考え方です。
 
代表的なブランドとして上げられるのは、ECOALF。
 
ECOALFは、海から回収したペットボトルや、リサイクルナイロン、リサイクルウールなど、捨てられた資源を再活用することで環境負担を下げ、サスティナブルなファッションに取り組んでいます。
 

製品寿命の延長

製品寿命の延長とは、その名の通り、より長く製品を使ってもらう取り組みのこと。
 
代表的なブランドには、アウトドアで有名なパタゴニア(Patagonia)や、スウェーデンのジーンズブランドNudie Jeans(ヌーディージーンズ)が挙げられます。
 
両社とも、修理プログラムなどを充実させていて、長く製品を使ってもらうシステムを構築しているのが特徴です。
 

シェアリング・プラットフォーム

シェアリング・プラットフォームは、使用されていない製品などの貸し借りや、シェアすることでより効率的に製品やサービスを利用する取り組みのことです。
 
代表的なサービスには世界的に有名なAirBnbやUber、日本では空き家に注目し、定額で全国に住み放題のサービスを展開するADDressなどが挙げられます。
 

サービスとしての製品(Product as a Service)

サービスとしての製品とは、モノとしてではなく、体験としてサービスを提供するという考え方です。それによって所有する事は重要ではなくなり、その製品がもたらす体験に注目が集まります。
 
最近では、トヨタやポルシェなどのメーカーも、サブスクリプションモデルに進出していることからも、サービスとしての製品へ移行している流れが見て取れるかと思います。
 

サーキュラーエコノミーを実現する10の破壊的テクノロジー

サーキュラーエコノミーは、技術革新によるブレイクスルーによって、実現することが多い経済モデルです。
 
ここでは、 サーキュラーエコノミーを支える10の最新技術を3つのカテゴリーに分けてご紹介いたします。
 

デジタル技術

ユーザー間や管理システムの間でリアルタイムの情報交換を可能にするなど、サーキュラーエコノミーはデジタル技術によって大きく支えられています。
 
ここではサーキュラーエコノミーを支える、5つのデジタル技術をご紹介いたします。
 

①モバイル技術

まずなんといっても、モバイル技術が大きな役割を果たしています。
 
ユーザー間や、プラットフォームでのやり取りなど時と場所を問わず行える用意したのがモバイル技術です。
 

②M2Mコミュニケーション

M2M(マシン・トゥ・マシン)コミュニケーションでは、人を介することなく自動的な情報交換ができます。
 
これによって、リアルタイムの情報が活用できるようになり、より安く優れた性能をユーザー提供することが可能です。
 

③クラウドコンピューティング

クラウドコンピューティングによって、インターネット上にコンテンツやアプリケーションが一元管理されています。
 
それによって、違うデバイスから同じ情報にアクセスすることが可能です。
 

④ソーシャルテクノロジー

FacebookやTwitter をはじめとする、友人や家族と繋がれるソーシャルメディア。
 
特にシェアリングサービスにソーシャルテクノロジーが不可欠です。
 
ソーシャルテクノロジーを使えば、既存のネットワークにアクセスできるため、プラットフォームの立ち上げコストを削減できますし、顧客からのフィードバックを早く低コストで受けることも可能です。
 

⑤ビッグデータ・AI・アナリティクス

シェアリングプラットフォームなどをはじめとするサーキュラーエコノミーでは、顧客一人ひとりに合わせたサービスを提供することが重要。
 
そのため、パーソナライゼーションを実現する、ビッグデータや AI、 行動分析などに使われるアナリティクスどの技術が必要となります。
 

エンジニアリング

サーキュラーエコノミーにおいては、 再生資源の活用や資源の回収などが肝になりますが、それらを高いコストパフォーマンスで実現させるのが、次の3つのエンジニアリング技術です。
 

⑥モジュラーデザイン

モジュラーデザインとは、簡単に言うと、製品の組立が部品単位でできるようになる技術のことです。
 
モジュラーデザインによって、部品の交換修理などが低価格で出来るようになり、製品寿命の延長や、回収とリサイクルを促進することができます。
 

⑦スマートリサイクル

スマートリサイクルは、電子機器のような、本来リサイクルが困難な原材料を再生したり、リサイクルしたりすることを可能にする技術です。
 
資源は廃棄せずに循環させるサーキュラーエコノミーにおいては、非常に有効で重要な技術だと言えるでしょう。
 

⑧ライフ&マテリアルサイエンス

ライフ&マテリアルサイエンスによって、従来廃棄物として扱われていたモノを新たな資源として利用することが可能になります。
 
資源の循環を前提としているサーキュラーエコノミーにおいて、ライフ&マテリアルサイエンスの技術は非常に重要です。
 

ハイブリッドテクノロジー

続いて、デジタルとエンジニアリング技術の両方を活用したハイブリッドテクノロジーを2つご紹介いたします。
 

⑨トレース&リターンシステム

トレース&リターンシステムは、エンドユーザーからメーカーや第三者に製品を引き渡して、追跡することができる技術で、コスパよく大規模な中古品の回収を行うことを可能にします。
 

⑩3Dプリンター

3Dプリンターを使うことで、必要な部品を正確に作成することができます。
 
また、生物分解が可能な素材を従来は使えなかった製品にすることも可能で、製造の可能性を大きく拓くことが期待されます。

 

世界各国の取り組み

ここまで、サーキュラーエコノミーの5つのビジネスモデルと、それを支える10のテクノロジーを紹介しました。
 
続いては、地域に目を向けて、サーキュラーエコノミーに取り組んでいる先進的な事例をみていきます。
 

サーキュラー・エコノミー・パッケージ

EUの旗
まずは、サーキュラーエコノミーを積極的に推進するEUから。
 
EUでは、(4)サーキュラー・エコノミー・パッケージ(英語:Circular Economy Package 以下CEP)と呼ばれる政策を2015年に早くも採択しました。
 
CEPでは、新しいビジネス領域の創出や、SDGsの達成を目標に、アクションプランと廃棄物改正提案を行っています。 それぞれ以下の通りです。
 

行動計画(Action Plan)

  • 食品廃棄物削減に向けた共有の測定手法の開発
  • 二次資源の品質基準の開発
  • エコデザイン指令作業計画
  • プラステックにおける海洋廃棄物の大幅な削減
  • 廃水再利用を含む水の再利用の促進

 
廃棄物改正提案(~2030年)

  • 都市廃棄物の65%をリサイクル
  • 包装廃棄物の75%をリサイクル
  • 全種類の埋め立て廃棄物を最大10%削減

 
EUがこのようにCEPを採択していることを受け、ヨーロッパ各国でも独自の政策や目標を掲げて、サーキュラーエコノミーに取り組んでいます。
 
続いては、その中でも非常に先進的なオランダの都市、アムステルダムの取り組みをご紹介いたします。

 
(4)参照:https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/IP_15_6203
 

アムステルダム

アムステルダムは、2050年までに完全にサーキュラーエコノミーに移行することを目指し、世界を見渡しても非常に先進的な取り組みを積極的に行っています。
 
(5)アムステルダムが掲げているマイルストーンは以下の通りです。
 

  • 2022年までに市の調達の全体の10%を循環型にすること
  • 2023年までに市の建築に関わる入札案件を循環型にすること
  • 2025年までに市の調達の50%を循環型にすること
  • 2030年までに一次原材料の使用は50%以下とすること
  • 2050年までに完全サーキュラーエコノミーへ移行

 
このように明確化されたマイルストーンの下、アムステルダムではすでに70を超えるサーキュラーエコノミーのプロジェクトが発足していたりと、世界の最先端をいっています。
 
サーキュラーエコノミーにおける世界のお手本として、アムステルダムからは目が離せないでしょう。
 
(5)参照:https://assets.website-files.com/5d26d80e8836af2d12ed1269/5de954d913854755653be926_Building-blocks-Amsterdam-Circular-2019.pdf
 

私たちができること

本記事では、サーキュラーエコノミーに関して解説してきましたが、いかがでしたか。
 
世界の資源は枯渇しつつあり、人類は地球1.7個分の資源を消費している状況の中で、サーキュラーエコノミーの考え方はさらに重要になりますし、これからの経済の中心になる可能性が高いです。
 
また、サーキュラーエコノミーは国や企業だけが関係する話かと思われがちですが、私たち一人ひとりにもできることはあります。
 
資源を有効に使うこと、廃棄物を出さないことを考えれば、以下の行動が取れるのではないかと思います。
 

大きな山も、まずは1歩目を踏み出すことが重要です。まずは、できることから始めましょう!
 
それでは、最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。
 

               
ライター:Sohshi Yoshitaka
Ethical Choiceの事業責任者。2030年までに地球が持続可能になる土台を、ビジネスを通して作ることが現在のミッション。
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