アマゾン火災は人為的な理由で発生する?現在の状況と対策について解説

気候変動

広大な森林が二酸化炭素を吸収し、酸素を供給してくれるため、地球の肺とも表現されるアマゾン熱帯雨林。そんな重要な場所で、大規模な火災が起こっていることをご存知でしょうか?
 
2019年に発生したアマゾン火災は、過去10年間で最大規模と言われ、前年の同時期と比較して、火災件数は85%も増加。
 
アマゾン火災が起こる理由は、天災ではなく人為的なものにあると言われています。経済的理由で切り拓かれ、焼失していく森林を守るために、私たちはなにができるのでしょうか。
 
今回の記事では、アマゾン火災とその原因について簡単にご説明し、アマゾン火災の影響や対策のための取り組み、私たちにできることまで多岐にわたってご紹介します。
 

アマゾン火災とは

アマゾン火災とは、ブラジルのアマゾン川流域で発生する森林火災のこと。
 
近年、地球温暖化が進行するとともに、アマゾン火災の発生件数は増加、そして火災の規模も毎年拡大しています。
 
アマゾンで発生した火災の中でも、2019年7月~11月の期間に発生したアマゾン火災は、前例のない大規模なものでした。なんと、2019年のアマゾンにおける火災件数は、前年の同時期に比べて85%も増加。
 
さらに、史上最悪と報道された火災を超えたのが、2020年のアマゾン火災です。このように、年々状況が悪化しているアマゾン火災。一体、対策をとらずに火災を放っておくことは、どのような影響を生み出すのでしょうか?
 

アマゾン火災による影響

アマゾン火災が発生、深刻化することによる影響は、森林が焼失することだけではありません。さまざまな影響が危惧されていますが、その中でも特に大きな影響が発生するものをご説明します。
 

先住民の暮らしに影響

アマゾン火災によって、森林が燃え尽ることで、先住民が頼ってきた食料や医薬品、さらには生活の基盤まで失われてしまっています。その他にも、先住民の村落などのコミュニティが火災の被害に合うことで、より直接的に影響を受けている現実も。
 
また、先住民の暮らしを火災が奪うことは、文化やアイデンティティまでも喪失させてしまうリスクがあるのです。
 

人間の健康にも被害が

森林と密接して暮らす先住民だけでなく、都市に住む人々への影響も。
 
アマゾン火災が長期に渡って続くことで、数百万に上る人々が呼吸をする大気が汚染され、健康に支障をきたしてしまう恐れがあることがわかっています。
 

生態系の基盤がゆらぐ

自然界での影響として、アマゾンの生態系が崩壊してしまうことが挙げられます。
 
アマゾン熱帯林には、多くの固有種が存在しています。多種多様な生き物が生息する地域で、森林火災が進行することは、それらの絶滅に繋がってしまうのです。
 
さらに、生物多様性からなる生態系という、地球の基盤が崩れてしまうリスクにもなりかねません。
 
では、どうして大規模なアマゾン火災は発生したのでしょうか?火災の原因を解説していきます。
 

アマゾン火災は人為的理由によって発生

燃え続けるアマゾン
アマゾン火災は、自然現象によって引き起こされた火災ではなく、人為的な活動が原因のものだと言われています。つまり、天災ではなく、人災であるということ。
 
例えば、大量の資源を使い、生産・消費する生活を続けることは、アマゾン火災の引き金になっている可能性が高いのです。
 
こちらでは、大規模なアマゾン火災を引き起こす原因について、簡単に説明します。
 

畜産の拡大による土地開拓

畜産の需要があがり、そのために土地を開拓することが、アマゾン火災に影響しています。
 
簡単に言うと、農場を切り拓くために、アマゾンの森林に火がつけられているんです。
 
ブラジルでは、基本的にアマゾンの原生林と呼ばれる森林を、意図的に農地に変えることは法律で禁止されています。しかし、火災などで1度燃えてしまった土地はその規制から外れるという抜け道が。
 
このような、法律の穴に目を付けた業者や大地主は、アマゾンの森林に火をつけて土地を開拓しているのです。中には、火をコントロールできずに、大規模な火災が発生するケースもあります。
 

地球温暖化

森林火災の原因の1つの要因として挙げられるのが、気温の上昇や干ばつによる乾燥。
 
気温が上がり、降雨量が減少し、森林が乾燥した状態になると、木に火がつきやすくなります。そのため、どこか一箇所で発生した火が広範囲に広がってしまう事態となるのです。
 
地球温暖化は異常気象を促すだけでなく、アマゾン火災にも深く関わっています。そして、地球温暖化を進行させているのも、人間の日々の行動なのです。
 
これらの要因から発生してしまうアマゾン火災ですが、国際社会が現状を懸念する声が大きくなっています。しかし、当のブラジル政府からは楽観視する声が多く聞こえ、事態の収集には、ほど遠いことが現実です。
 

国際社会とブラジル政府間の対応の差

国際社会では、フランスのマクロン大統領や、環境保護活動家のグレタさんなどが、アマゾンは「地球の肺」であり守るべきものであると主張しています。
 
また、環境保護活動家の中では、ブラジルのボルソナロ大統領が放牧地確保のために、森林に火をつけることを奨励したという意見があるが、本人はそれを否定し、NGOが火をつけたと反論。
 
国際社会から不安視されているにもかかわらず、ブラジル政府はアマゾン火災の緊急度を否定しました。国連のグテレス事務総長が声を上げるほど、注目を集めましたが、ブラジル政府が認めない状態では、進歩ができなかったことが事実です。
 
大きく対策をとることができなかった2019年のアマゾン火災を経て、現在のアマゾンの状況はどうなっているのでしょうか?
 

2035年にアマゾンはCO2吸収源から発生源に変わる

大規模なアマゾン火災
このままアマゾン火災が進行すると、2035年には地球の酸素の20%を供給するアマゾン熱帯雨林は、CO2吸収源から発生源に変わると予想されています。
 
史上最悪だと懸念の声が多くあった2019年のアマゾン火災から、状況はどのように変わってきているのかを、ご説明します。
 

アマゾン火災のその後

2019年のアマゾン火災の後も、年々増加傾向にある火災発生件数。
 
史上最悪と言われる2019年のアマゾン火災の翌年、2020年のアマゾン火災は前年を20%上回る火災が発生しました。もはや二酸化炭素を吸収し、環境を保護する働きを失うことが懸念されるアマゾン熱帯雨林。
 
改善し、地球を守るためには、アマゾン火災を人為的なものだと認めたうえでの政府の対応が鍵になります。しかし、政府による動きが見られない今、国際的な団体が動くしかない状況です。
 

アマゾン火災への対策

アマゾン火災の状況が深刻化をたどる中、状況改善のため、団体が行う取り組みと、企業が行うものと、いくつかご紹介します。
 

国際的に行われる対策

国際的な団体が取り組む対策としては、被害のある地域へのアフターケアが主要なものとなっています。地球上の森林を保護することが目的であるWWFやJICAなどの団体が中心となって活動中です。
 

WWF(世界自然保護基金)

WWFは、火災が起こった被災地への薬品、食料、水など、生きるために必要な資源を供給。また、消火するために機材や装備を提供、ケガを負った野生動物の救護なども、多岐に渡る活動を行っています。
 

JICA(国際協力機構)による支援

JICAは、日本の外務省による支援を通し、緊急援助物資(テント,スリーピングパッド等)を贈与しました。さらに、消火活動への協力のための緊急援助などをおこなっています。
 
よく知られる国際的なボランティア団体以外にも、企業やNGOなど様々な活動が見られています。
 

企業や団体が行う取り組み

アマゾン火災に対して、国際団体だけではなく、企業が中心となって行う取り組みもあります。共通して言えることは、アマゾンの森林や土地を犠牲にして、生産・製造された物を使用しないということです。
 

VFコーポレーション

アメリカの大手アパレルメーカーを多数保有する、VFコーポレーションは、ブラジル産レザーの購入停止を表明しています。アマゾンを犠牲とする素材の、不買運動です。
 
VFコーポレーションは、THE NORTH FACE、ティンバーランド、バンズなどの親企業であり、これらのブランドの製品には、ブラジル産レザーが使用されていません。
 

米環境団体マイティ・アース

アメリカの環境団体であるマイティ・アースは、アマゾン地域の開拓を行い、畜産や穀物栽培を行う、ブラジル最大手の食肉企業JBSや米大手穀物商社カーギルと取り引きを行う企業に対し、取り引き停止を求めています。
 
環境団体が中心となり、アマゾン火災の状況と生産活動の繋がりを伝えることで、生産・消費の傾向を変えようとしている例です。
 
例えば、VFコーポレーショ参加のブランドのように、アマゾンへの影響がない生産を行う企業から積極的に消費を行うことが、個人ができる貢献です。その他にも、気軽に行動できるアクションがあるので、そちらを最後にご紹介します。
 

アマゾンを守るために私たちができること

カーボンオフセットにおける植林
アマゾン火災から、広大な自然環境を守るためには、まず現状について知るということが必要です。その後に、どのようにアクションを起こすかは、皆さんひとりひとりが選ぶことができます。
 

現状を知る

ニュース番組や記事で現状について気づくというきっかけも1つであると思いますが、リアルタイムでアマゾン火災の状況を確認できるWebサイトがあります。
 
例えば、2019年のアマゾン火災は、Global Forest Watch(世界森林ウォッチ)というサイトでリアルタイムで確認ができました。衛星から撮影された映像や画像を見ることができるので、より被害の状況を知ることができます。
 

森林を守る消費をする

アマゾン火災の現状を踏まえ、消費活動を変えるということも、気軽な貢献の1つです。森を守るラベルと呼ばれる、FSC®認証マークがついた環境に優しい商品を買うことが例です。
 
FSC®認証マークがついた商品を消費することで、無意識のうちに森林破壊に関係することを防ぐことができます。FSC®認証についての詳しい情報はこちらの記事へ。
 

実際に支援する

さらにできるアクションは、Rainforest Action Networkという団体を通じて1エーカー分の熱帯雨林を保護することができます。その他にも、実際に植樹や森林保護のために活動している団体へ、ささやかな貢献をすることも1つの方法です。
 

さいごに。地球の環境を守り、私たちの生活も守ろう。

今回は、史上最悪の被害があった2019年のアマゾン火災を中心に、アマゾン火災の状況や背景ついてご説明しましたが、いかがだったでしょうか。
 
アマゾン火災は、自然が起こした偶然のものではありません。人間の生活が、最大の原因となって引き起こされてしまっています。
 
しかし、これを悲観的に捉えるのではなく、皆さんの生活に少しでも森林を守るようなアクションを取り入れることで、地球全体を守ることにつなげることができます。
 
地球の肺とも呼ばれるアマゾンを守り、地球の環境を保全することは、持続可能な私たちの暮らしとも結びついているのです。
 
少しずつ、環境を思いやりながら生活を送ってみるのはいかがでしょうか?
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

               
ライター:Ayaka Sato
Ethical Choiceのインターン。自分のアクションで、地球のどこかの誰かが幸せになってくれる、そんな未来を描いて日々奮闘中。
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