森林破壊|1分間で東京ドーム2個分の森林が消失。私たちにできる対策とは?

気候変動

2000年から2010年の10年間で、世界から年間平均約521万haの森林面積が消失しました。簡単にご説明すると、1時間に東京ドーム127個分に相当する森林が減少しているということです。
 
大規模な森林破壊は、途上国に多く見られますが、そのほとんどに先進国の産業が関わっています。過剰な木材利用だけではなく、畜産などの食生活とも深く絡み合っている森林破壊の問題。
 
今回は、森林破壊の現状を世界と日本の規模に分けてご説明したあとに、森林が減少する原因と森林破壊が引き起こす影響、様々な団体や企業による対策までご紹介します。
 
最後には、これ以上の森林破壊を防ぐために、ひとりひとりができるアクションについても触れているので、最後まで読んでみてください。
 

森林破壊とは

森林破壊(英訳:Deforestation)とは、自然界での回復スピードを過度に上回るスピードで、森林伐採や焼失が進み、森林面積が減少している状態のこと。
 
現在、世界の陸地の約3分の1を森林が占めています。その中でも、特に森林破壊の現状が深刻である地域は東南アジアとアマゾン川流域です。
 
森林破壊の現状をよりわかりやすく説明するために、次に世界規模と日本国内の現状をそれぞれご紹介します。
 

世界の森林破壊の現状

世界規模でみると、森林破壊は急速なスピードで進んでいます。過剰な木材の供給や、畜産の拡大など、様々な要因が挙げられる森林破壊の現状。
 
世界の天然林は、2015年以降、毎年10万平方キロメートルもの規模で失われています。この値は、1週間で東京都の総面積に相当する森林が焼失する状態に相当します。
 
また、森林破壊の80%以上は、熱帯雨林で起こっているとされ、WWF(世界自然保護基金)は、2010年から2030年までには以下の地域で森林破壊が深刻化すると予想。

  • メコン川流域
  • ボルネオ
  • ニューギニア
  • スマトラ
  • 東オーストラリア
  • 東アフリカ
  • コンゴ盆地
  • アマゾン

予想されている地域の中でも、特に被害が目立つのが東南アジアとアマゾン川流域です。これら2つの地域に着目し、ひとつずつご説明します。
 

東南アジアの現状

まず、東南アジアにおける熱帯雨林消失の現状をお話しします。
 
過去半世紀で、インドネシア、マレーシア、ブルネイの3か国がまたがるボルネオ島では、50%もの森林が焼失。地球上の生物種の5%以上が生息するボルネオ島で、野生種の生息地が奪われてしまいました。
 
ボルネオ島でしか、見ることができない固有種も多く存在するため、早急な保全が求められています。
 

アマゾンの現状

現状として、アマゾンの総面積の15%がすでに減少
 
ブラジル国立宇宙研究所の報告によると、1988年に観測が始まって以降、日本の国土面積に相当する森林がアマゾンから焼失しています。
 
また、2020年はアマゾン全域で、急速な乾燥化が進んだことで、史上最悪のペースで森林破壊が起こりました。
 
例えば、2019年から2020年までの1年間で、秋田県に匹敵する面積の森林が失われています。この数値は、1日当たり東京ドーム約650個分の森が消えたことになります。
 
このように、世界各地で深刻化している森林破壊。では、豊かな自然があると言われる日本の状況はどうなっているのでしょうか?
 

日本の森林破壊の現状

割り箸やコピー用紙など、木材由来の製品が身の回りに溢れているために、日本も木材を過剰に伐採しているイメージがあるかもしれません。
 
しかし、国内産の木材の値段は高いことから、海外産木材に依存しているのが現状です。こちらでは、日本の森林破壊の状況を簡単にご説明します。
 

日本の森林面積はほぼ増減なし

国土の67%を森林が占める日本。自然豊かであることが魅力の1つであるこの国では、森林面積の増減はあまり見られていません
 
過去40年間、日本の森林面積はほぼ増減なしで、横ばいが続いています。
 
その代わり、近年の日本で増加しているのは森林蓄積です。つまり、日本は使うべき木材が増えてきている状況だと言えます。なぜ、使うべき木材が増加しているのかを言うと、日本は海外からの木材輸入に依存しているからです。
 

日本は海外からの木材輸入に頼っている

国内では、国産の木材を使用することは滅多にありません。それは、国内産の木材は価格が高く、海外産は安いから、という理由があるからです。
 
現状、国で森林を伐採された木材を使っておらず、私たちは輸入した木材に頼っています。
 
そのため、日本では森林破壊はあまり進んでいませんが、私たちの日常の消費は、途上国などの森林破壊に関係しているのです。
 
こちらでは、木材使用のために森林を伐採することが引き起こす森林破壊について触れましたが、それ以外にも森林破壊が進む原因はあります。
 

森林破壊の原因


森林が破壊されている主な原因は、自然界における人間の活動です。その中でも、大きな影響を与えるとされている原因を、4つご説明します。
 
具体的な森林破壊の原因は、下記の4つです。

  • プランテーションによる開発
  • 焼畑農業
  • 木材の過剰伐採
  • 森林火災
  • 畜産による農地開拓

上記で挙げた森林破壊の現状を、ひとつずつ紐解いていきます。
 

プランテーションによる開発

森林破壊の原因の1つは、パーム油のプランテーションで、原料であるアブラヤシの主な生産地は東南アジアです。需要が高く、市場に多く出回るパーム油を生産するために、大規模に森林が開拓されています
 
パーム油について、わかりやすく説明した記事はこちらです。
 

非伝統的な焼畑農業

先住民などが、古来より自然と結びついた方法で行う焼畑農業ではなく、国の政策などで移民した人々が行う非伝統的な焼畑農業は、森林破壊を進めてしまう1つの原因です。
 

木材の過剰伐採

大量消費・大量生産などが見られる現代社会で、木材の供給が増加し、過剰に伐採されてしまう現状があります。傾向として、途上国で伐採された木材が、先進国に安く輸入されるため、途上国における森林破壊の現状が深刻化しがちです。
 

森林火災(地球温暖化)

地球温暖化により、空気が乾燥し、気温が上昇することで、森林が乾ききった状態になり、森林火災を引き起こしてしまいます。アマゾン火災や、2020年の大規模なオーストラリア火災が代表的な例です。
 

畜産による農地開拓

畜産による農園開拓が進行することも、森林が破壊の要因です。
 
ファストフードなど、気軽にお肉を食べることができる現代だからこそ、畜産の需要が上がり、農地を切り拓く需要も高まっています。
 
畜産がどれほどの資源や土地を消費するのかを解説した記事はこちらです。
 
ここまで、森林破壊の要因をご説明しましたが、これらの原因を解決する努力をしなければどのような影響が生じるのかを、次にご紹介します。
 

森林破壊による危機

森林が破壊されることは、生き物の生息地がなくなり、種が減少してしまうことだけではありません。私たちの生活へ影響する可能性もあるため、ひとつずつ簡単にご説明していきます。
 

生き物の減少

森林破壊で生息地が減少することによって、生き物の個体数が減少しています。また、絶滅危惧種が急速に増加していることが現状です。
 

生態系の消失することで人間の暮らしへ影響

人間の暮らしのベースである生態系が消失することで、私たちの暮らしへ支障が出てしまいます。森林が消え、生物多様性が失われることで自然からの恩恵がなくなってしまうということです。
 

気候変動の助長

二酸化炭素を吸収する森林が減少すると、空気中の炭素量が増加し、気候変動が助長されてしまいます。
 

新たな感染症のおそれ

森林が破壊されることで、生息地を失った野生種と、人や家畜が触れる機会が増え、さまざまな病原体を取り込むリスクも高くなります
 
このように、森林破壊の進行に含まれる、いくつものリスク。上記のリスクを最小限にとどめるために、国際社会で取り組まれる対策についてご説明します。
 

森林破壊を止める国際社会の対策

豊かな森林の写真
国際社会では、これ以上の森林破壊を防ぐために、様々な取り組みが行われています。こちらでは、SDGs(持続可能な開発目標)をはじめとし、国際社会で共通目標として取り決められているものをご紹介。
 

SDGsゴール15

SDGs(持続可能な開発目標)のゴール15では、「陸の豊かさを守ろう」という目標が掲げられています。
 
ゴール15の目的は、森林管理を持続可能なものにし、無計画に開拓され劣化した土地を回復、そして砂漠化を食い止めるというものです。
 
SDGsのゴール15を達成し、陸の環境を保護し、人間の生活のベースにある生態系を守ることが求められています。
 

持続可能なパーム油のための円卓会議

持続可能なパーム油のための円卓会議(通称:RSOP)は、パーム油の製造や販売に関わる機関が集まった組織です。
 
森林破壊の1つの理由となっている、パーム油の原料であるアブラヤシの実を持続可能な形で栽培すること、持続可能なパーム油を市場の基準とすることを目標としています。
 
森林破壊を食い止めるために、対策を行うのは国際社会の団体だけでなく、さまざまな企業やサービスも、森林保護に貢献できるものが増えています。
 

森林破壊を防ぐ企業の取り組み

森林破壊を防ぐために、政府や国際団体だけでなく、企業も協力をし始めています。画期的なアイディアを活用して、環境保護のために動いている企業をいくつかご紹介します。
 

TreeCard

世界初の木製デビットカードであるTreeCard(ツリーカード)。ネット検索をするだけで、植林活動に貢献できるエコな検索エンジン、ECOSIA(エコシア)が支援しているカードです。
 
TreeCardを通してお支払いをすると、カード会社の利益の80%相当が植林に寄付されます。TreeCardの特徴は、自分の支払いがどの植樹に貢献したのかをアプリで追跡できることです。
 
植樹という貢献を、気軽に日常でできる形にしたサービスであるTreeCardは2021年からの普及を目指しています。
 

スターバックス

大手コーヒーチェーンのスターバックスは、アメリカのNGO団体CI(Conservation International)と協力し、コーヒー豆の生産地の森林を守るプロジェクトを行っています。
 
具体的には、コーヒー豆生産地の人々が、生活のために無計画に森林を開拓している現状を改善する取り組みです。CI(Conservation International)の職員が、現地を訪れ、適切なコーヒー豆の栽培を教える活動を、スターバックスは支援するという形を取っています。
 
コーヒーを商材として扱う企業ならではの、エシカルな活動です。
 

IKEA

比較的安価な値段で家具を提供する企業、IKEAは森林を保護するさまざまな活動を行っています。
 
例えば、IKEAが家具を製造する際に、使用する木材の50%以上はFSC®認証マークがついたもの。また、中国の森林管理者への教育や、マレーシアの熱帯雨林の復元を支援しています。
 
FSC®認証についての詳しい説明はこちらの記事へ。
 
ここまでご紹介したような、環境を配慮した企業から消費をすることも、私たちができることのひとつですが、他にも気軽にできる貢献はあります。
 

私たちができること

森林保護、forest えふえすしー
国際連合や、国際的な団体、さらには企業などのみが森林破壊を防ぐために貢献できるというわけではありません。最後に、私たちが今日からできるアクションをご紹介します。
 

FSC®認証マークがついた製品を消費する

森を守るマーク、FSC®認証がついている商品を積極的に選ぶようにするこが、私たちにできるアクションのひとつです。例えば、FSC®認証マークは、コピー用紙や紙コップなど、木材由来の商品についています。
 

地球温暖化を改善させるライフスタイル

地球温暖化を防ぎ、気候変動を改善する取り組みも、森林火災のリスクを低下させることにつながります。そのため、地球温暖化の対策になるような、エコなライフスタイルを導入することも、また1つの方法です。
 
例えば、自家用車ではなく公共交通機関を使ったり、必要ではないものは消費しないようにしたりすることが挙げられます。
 

植林を行う

植林プロジェクトなどに、実際に参加することも森林破壊への取り組みです。
 
しかし、日本国内では、森林の面積が増加傾向にあるため、海外での植樹活動へ寄付をして間接的に植林に協力するなどという方法をおすすめします。
 

さいごに。森林を守ることは、人を守ること。

当記事では、森林破壊の現状や原因、進行することによる影響などをご説明しましたが、いかがだったでしょうか?
 
森林破壊は環境や地球を傷つけるだけではなく、人間の生活へも影響を及ぼす可能性があることへの気づくきっかけになっていれば、幸いです。
 
森林の存続を気にかけ、保護することは、人を守ることでもあります少しずつ、森林や環境に優しいエコな生活を始めてみてはいかがでしょうか?
 
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

               
ライター:Ayaka Sato
Ethical Choiceのインターン。自分のアクションで、地球のどこかの誰かが幸せになってくれる、そんな未来を描いて日々奮闘中。
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