身近な生物も絶滅危惧種に!絶滅の危機に瀕する種を保護する対策とは?

気候変動

近年、絶滅の危機にある絶滅危惧種の数は、驚くべきスピードで増加しています。
 
2021年現在、全世界に、35,500種以上も存在する絶滅危惧種。さらに、調査が確認された全ての生き物の28%が絶滅危惧種に指定されているんです。また、その中には、動物園や水族館でよく見られる生き物も含まれています。
 
絶滅危惧種が増加する背景として挙げられるのは、自然界で淘汰されることだけでなく、人間の活動が大きく関与していること。
 
当記事では、絶滅危惧種とその分類についてわかりやすく解説し、絶滅の危機にある生き物を15種をご紹介。そして後半では、絶滅危惧種の増加の背景とこれ以上の増加を防ぐ取り組みについてもご説明します。
 

絶滅危惧種とは

絶滅危惧種とは、種の個体数が著しく減少し、絶滅の危機に瀕している、あるいは近い将来における野生での絶滅の危険性が高い生き物を意味します。
 
最新の情報によると、全世界に35,500種以上も存在する絶滅危惧種。それぞれの種で、絶滅の危険度が異なることも特徴です。絶滅危惧種は、個体数の減少状況などから危険度別に分類され、保全の優先順位がつけやすいように工夫されています。
 

絶滅危惧種のカテゴリー3つ

絶滅危惧種は、絶滅の危機レベルに応じ3種類に分類されます。
 
絶滅危惧種3種類の名称は、IUCN、環境省、WWFの各機関で異なります。分類の基準も合わせ、わかりやすく分類しているのが下記の表です。

IUCN 環境省 WWF 評価基準環境省HPより)
CR— Critically Endangered

 (深刻な危機)

絶滅危惧IA類 近絶滅種 ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの
EN— Endangered

(危機)

絶滅危惧IB類 絶滅危惧種 近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの
VU— Vulnerable

(危急)

絶滅危惧II類 危急種 絶滅の危険が増大している種

各機関により名称は違いますが、3段階を選定する基準はほとんど同じです。また、これらの絶滅危惧種だけでなく、絶滅した動物として、絶滅種というカテゴリーもあります。
 
絶滅種とは、地球から姿を消した生き物を指します。絶滅種という言葉に付随して、絶滅動物という絶滅した動物を表す言葉もあります。
 
絶滅種絶滅動物についてわかりやすく説明している記事もあるので、ぜひ読んでみてください。
 

コラムレッドリストとは?
レッドリストとは、絶滅の危機に瀕する野生動物をまとめたリストです。
世界的に知られるものは、IUCNが独自に発行する全世界の種についてまとめたレッドリストと、日本では環境省が国内の種の状況を調査した日本版のレッドリストがあります。

 

絶滅危惧種に指定されている有名な動物13種をご紹介

絶滅危惧種は、人間にあまり知られていない生き物だけではありません。動物園に足を運べば見ることができる有名な動物も、絶滅危惧種に指定されているんです。
 
今回は、数多く存在する絶滅危惧種の中から、意外にも絶滅危惧種と判断されている生き物を含んだ、13種を選んでご紹介します。
 
それぞれの生き物を、下記の順でご説明します。

  • 生き物の分類
  • 絶滅危機の度合い
  • 生息地
  • 個体数減少の原因

 

レッサーパンダ

  • 哺乳類|レッサーパンダ科
  • VU|危急
  • ミャンマー北部からヒマラヤ南東部に生息
  • 密猟や生息地の減少が原因

 

ワオキツネザル

ワオキツネザル

  • 哺乳類|キツネザル科
  • EN|危機
  • マダガスカル島南部
  • 森林の伐採や開発

 

ホッキョクグマ

ホッキョクグマ

  • 哺乳類|クマ科
  • VU|危急
  • 北極圏
  • 地球温暖化による生息地域環境変容

 

アジアゾウ

絶滅危惧種のスマトラゾウ

  • 哺乳類|ゾウ科
  • 絶滅危惧種
  • 南アジアから東南アジア
  • 森林伐採、生息地減少

 

シロサイ

シロサイの親子

  • 哺乳類|サイ科
  • CR|深刻な危機
  • アフリカ東南部
  • 密猟

 

チンパンジー

チンパンジー

  • 哺乳類|ヒト科
  • EN|危機
  • 西・中央アフリカ周辺
  • 食用を目的とした狩猟や、森林開発

 

モウコノウマ

モウコノウマ

  • 哺乳類|ウマ科
  • EN|危機
  • モンゴル、ウクライナ
  • 開発や環境の変化

 

マレーバク

マレーバク

  • 哺乳類|バク科
  • EN|危機
  • ミャンマー南部からマレー半島、スマトラ島
  • 生息地の破壊

 

ジャイアントパンダ

ジャイアントパンダ

  • 哺乳類|クマ科
  • EN|危機
  • 中国中西部やチベット東部
  • 生息環境の変容

 

ソデグロヅル

ソデグロヅル

  • 鳥類|ツル科
  • CR|深刻な危機
  • ロシア南東部やシベリア中北部辺り
  • 繁殖地の開発

 

エジプトリクガメ

エジプトリクガメ

  • は虫類|リクガメ科
  • CR|深刻な危機
  • イスラエル南部、エジプト北部、リビア北西部
  • 灌漑事業や過放牧による生息地の破壊、ペット用の乱獲

 

ラスティーパッチド・バンブルビー(マルハナバチ)

マルハナバチ

  • 昆虫類|ハチ目
  • CR|深刻な危機
  • 北アメリカ
  • 生息地減少、病気、寄生虫、殺虫剤、そして気候変動

 

クロマグロ

絶滅危惧種のクロマグロの写真

  • 魚類|マグロ族
  • VU|危急
  • 太平洋の熱帯・温帯海域
  • 過剰漁獲

上記で説明した絶滅危惧種は、一握りにすぎず、絶滅危惧種は年々増加しています。
 
それぞれの説明として取り上げたように、絶滅危惧種が個体数を減少させてしまう理由は、主に下記の5つです。
 

  • 森林伐採や開発
  • 生息地の汚染
  • らん獲や密猟
  • 外来種の持ち込み
  • 地球温暖化

 
いずれの理由も、人間による自然界での活動が大きな原因に。
 
それでは、絶滅危惧種の現状と背景を理解した後には何ができるでしょうか?
 
これ以上の増加を防ぎ、既に絶滅危惧種に指定されている種を守るために国際社会で行われている取り組みをご説明します。
 

SDGsが掲げる生態系を保護するためのゴール2つ

 
国連において、2030年を目標に持続可能な社会を目指すためにつくられた17のゴールがSDGs(持続可能な開発目標)と呼ばれています。
 
SDGsの中で定められている、海と陸、それぞれの豊かさを守るためのゴール。国際社会が重要視している課題の1つとして、生き物の存続を守っていくことも含まれているのです。
 

SDGsゴール14「海の豊かさを守ろう」

 
まず、ゴール14は「海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する」ことによって海の豊かさを守る目的で定められています。
 
例えば、海洋ゴミを削減したり、海に流れる有害物質を制限したりすることで、海洋汚染を防止、改善することができるといった内容です。その他のターゲットとして挙げられるターゲットとしては、漁業にまつわるものだけでなく、海の生態系全体を保護するものなど。
 
日々の生活では海の豊かさまで意識することは難しいかもしれませんが、海のエコラベルとも呼ばれる、MSC認証®マークがついている商品を購入する、などのアクションで私たちもゴール14に貢献することができます。
 
MSC認証®マークについてはこちらの記事へどうぞ。
 

SDGsゴール15 「陸の豊かさを守ろう」

 
陸上の豊さに注目したゴール15は、「陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図ること」を目的としたものです。
 
絶滅危惧種が増える理由として、森林伐採や生息地環境の変化などが挙げられますが、陸の豊かさを守ることはこれらの現状を改善することに繋がります。
 
木材を供給するため、食料を栽培するための開拓のためなど、様々な理由で減少している自然を取り戻そうとするのが、ゴール15です。
 
ゴール15に貢献できる私たちの行動としては、森を守るラベル、FSC®認証マークがついた製品を消費するというアクションがあります。
 
FSC認証®マークについてはこちらの記事へどうぞ。
 
SDGs以外にも、国際社会の取り決めとして自然を守っていく活動があり、今回は中でも有名な2つの国際条約をご紹介します。
 

国際社会で取り決められた、種の存続を守る条約

絶滅危惧種が増加する原因である、生息地の減少と汚染、そして密猟のそれぞれを解決するために定められたのが、2つの条約です。
 
生息地保護のためにラムサール条約が、密猟・密輸防止のためにワシントン条約があります。
 

ラムサール条約

主に、水鳥などが生息する、水湿地を保全する目的で取り決められたのがラムサール条約。正式名称は、「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」です。
ラムサール条約は、下記の3つの柱をベースに成り立っています。

  • 保全・再生
  • ワイズユース(賢明な利用)
  • 交流・学習

水湿地を守り、賢く使うだけでなく、学習まで進むことによって持続可能な自然を目指すものです。
 
具体的には、国際的に重要な役割を果たしていると判断された水湿地がラムサール条約に登録され、国際協力の元で保全活動が行われます。
 

ワシントン条約

次にご説明するのは、絶滅のおそれがある野生動植物の取引を禁止する、ワシントン条約。正式名称は、「滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」です。
 
絶滅のおそれのある野生動植物の保護をはかることを目的とするワシントン条約は、過度な動物利用を防ぐ働きをします。例えば、象牙やトラの骨、サイ角がワシントン条約の規制対象。
 
象牙やサイ角は中国やベトナムなど一部の地域で貴重なものであると信じられていて、高値で取引されています。これらのアイテムで利益をあげようと、ワシントン条約で密輸・密猟が制限される前の1960年代にアフリカ各地で大規模な密猟が起こってしまいました。
 
主にアフリカに生息するゾウやトラ、サイの数が著しく減少した状況を受け、ワシントン条約が締結されたという背景があります。
 
ここまで、国際社会が生き物を保全するために設けたゴールや条約をご紹介しましたが、これほどまでに種の保全に注力する状況には理由があるんです。
 

絶滅危惧種を保護すべき理由とは?

なぜ絶滅危惧種を守ろうとする動きが見られるのでしょうか。その理由は、絶滅危惧種の保全を行えば、生き物が絶滅するリスクを回避できるからです。
 
絶滅の危機に瀕する生き物の状況を放っておくと、種の絶滅を招いてしまい、生態系全体をも変えてしまう恐れにつながります。
 
生態系において、生き物は連鎖的に関係しているため、どれか1種でも絶えてしまうことは生態系自体が崩れてしまう可能性を増加させてしまうのです。
 
また、私たち人間の生活は生態系があるが故に成り立っているものであるため、本来生態系から享受していた恩恵が消えてしまうことも意味します。
 
私たちにできることは、絶滅危惧種を保護し、生態系を持続可能なものにするということです。最後に、絶滅危惧種の保護はどのように行われているのか、国内で見られる取り組みをご紹介します。
 

絶滅危惧種の保護につながる取り組みを紹介

絶滅危惧種を知ることや、保護するための活動が現状の改善には必要です。
 
今回は、絶滅危惧種を保護する取り組みを日本国内で見られるものからいくつかご紹介します。
 

SAVE THE RED LIST PROJECT

写真展を通して絶滅危惧種の現状を伝えることで、環境保全について考えるきっかけを提供する目的でSAVE THE RED LIST PROJECTは行われています。
 
全国各地で開催されている、「まもりたい まもるべき生きものたち」という写真展がプロジェクトの1つです。他にも、日本の絶滅危惧種の1つであるアマミノクロウサギを取り上げ、保護啓発ムービーを制作、公開しています。
 
寄付や実際の保護活動の前に、より多くの人に絶滅危惧種の現状を伝えるという思いが込められたプロジェクトです。
 

LUSHと日本自然保護協会の協力

イギリスの化粧品会社であるLUSHと日本自然保護協会の協力のもとで、絶滅危惧種のサシバを保護するために、国産米を使用した琉球泡盛を原料とする化粧品・保湿クリームを共同で開発、販売しています。
 
日本の絶滅危惧種であるサシバを守るために、繁殖地である田んぼを保全する取り組みです。サシバの繁殖地である栃木県市貝町の国産米を原料とする泡盛が化粧品の原材料として使われています。
 
国産米を原料とする泡盛を積極的に使用することで、栃木県の田んぼを繁栄させることができ、サシバの種自体の存続につながるという取り組みです。
 

日本製紙グループのシマフクロウの生息地保全

国の天然記念物であるシマフクロウは、環境省のレッドリストで絶滅危惧IA類(CR)に指定されています。絶滅危惧IA類は、「ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い種」と定義されています。
 
日本製紙(株)は、主にシマフクロウの生息地である森林を保護する活動を行っています。日本野鳥の会との協力の上で、野鳥保護に関する協定を締結。協定によって、北海道根室地方の社有林約126ヘクタールをシマフクロウの保護区に指定しました
 
上記の例のように、団体や企業が率先して絶滅危惧種を保護するための取り組みが行われています。
 

最後に。

今回の記事では、絶滅の危機に瀕している「絶滅危惧種」について簡単にご説明しましたがいかがだったでしょうか?
 
絶滅危惧種を保護し、現状を改善していくことは、生態系も私たちの暮らしをも守ることにつながるということを気づいて頂けたら幸いです。
 
絶滅した種をもう1度見ることは不可能に近いですが、絶滅の危機にある生き物を絶滅から救うための努力は今でも間に合います。
 
まずは絶滅危惧種の現状を知り、環境にやさしいマーク、FSC®認証やMSC®認証、また保全活動を行う企業から購入するようにするなど、私たちでも取り入れやすい工夫をした生活をしてみませんか?
 
最後まで読んでいただきありがとうございました。

               
ライター:Ayaka Sato
Ethical Choiceのインターン。自分のアクションで、地球のどこかの誰かが幸せになってくれる、そんな未来を描いて日々奮闘中。
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