地球を脅かす12の環境問題。起きている事と私たちにできる事

気候変動

地球温暖化をはじめとする、地球を取り巻くいくつもの環境問題。近年は特に環境問題が深刻化し、SDGsの動きが加速し、パリ協定を定められるなど、世界が対策に動いています。

環境問題の改善は私たちが地球に住む、もしくは次の世代に地球を残すという観点で非常に重要です。

当記事では、現在深刻な12の環境問題をピックアップして解説。最後には私たちにできることも紹介していますので、ぜひ最後までご覧いただければと思います。

 

環境問題(Environmental Problems)とは?

環境問題とは、人間の活動によって、地球環境に変化が生じた結果として発生する様々な問題のことです。 具体的には、地球気温が上昇する地球温暖化や、プラスチックの不正な廃棄による海洋ゴミ問題、住環境の変化による生物多様性の消失などが挙げられます。

環境問題は、一見すると自分には関係がない、どこか遠くの世界で起こっていることのようにも感じられますが、実は最近は私たちの身の回りにも影響を及ぼしています。

 

最近は日本でも起こっている?身近な例を紹介

環境問題の結果、近年では観測史上稀に見る猛暑が毎年のように発生したり、豪雨や洪水による被害が発生することが増えつつあります。

日本では、2020年に熊本で起こった豪雨被害は、記憶に新しい人も多いのではないでしょうか。 また、世界にも目を向けてみると、2019年のアマゾンでの火災、同じく2019年に起こったオーストラリアの山火事、2020年には米・カリフォルニア州で起こった山火事などが起きています。

これまでの人類の活動によって、明らかに地球環境が変化しており、環境問題という形で表面化していると考えられます。 現在起こっている環境問題を紹介しましたが、他にはどのような環境問題があるのでしょうか。

 

環境問題の種類

環境問題と一口に言っても、様々な問題があります。 当記事では特に深刻だと考えられている地球の環境問題を、以下の3カテゴリーに分けてご紹介いたします。

  • 気候変動に関するもの
  • 汚染に関するもの
  • 生態系に関するもの

それでは、3つのカテゴリーごとに見ていきましょう。

 

気候変動に関する環境問題

地球温暖化の未来予測シミュレーション まずは、気候変動に関連する環境問題を6つご紹介いたします。

地球温暖化

地球温暖化はもっとも知られている環境問題の1つではないでしょうか。長年、地球温暖化に関しては実際には起こっておらず、でっち上げられているなどの陰謀論がありましたが、IPCC第5次評価報告書によって、人間が原因で起こっている可能性が極めて高いことが結論付けられました。

環境省:IPCC第5次評価報告書
https://www.env.go.jp/earth/ipcc/5th/pdf/ar5_wg1_overview_presentation.pdf

地球温暖化が起こるメカニズムは、二酸化炭素を中心とした温室効果ガスの量が大気中で増えるため。 温室効果ガスが増えれば、簡単にいうと地球に膜を貼る状態になるため、太陽からの熱気が宇宙空間に逃げなりために、気温が上昇し続けていきます。

なぜ、地球温暖化が問題かと言いますと、絶妙なバランスを保っていた気温が上昇することで、それに付随して異常気象をはじめとする他の環境問題の原因となったり、生態系に変化をもたらせたりするため。 そのため、地球温暖化を1.5℃以内に止めようとするパリ協定が結ばれていたりと、世界を挙げて解決していかなければいけない環境問題なのです。 温度上昇を食い止める方法や、詳細に関しては、こちらの記事をご参照ください。

 

海面上昇

海面上昇とは、海水の熱膨張と南極の氷などが溶けることで、海面が上昇する環境問題のこと。 熱膨張は地球温暖化によるものなので、地球温暖化と海面上昇は密接に関わっています。 海面上昇が問題なのは、海抜が上がることで、海に沈む国があるということ。

実際にツバル諸国は海面上昇の影響を非常に大きく受けている国1つで、沈みゆく島国と呼ばれることもあるほどです。 また、影響を受けるのはツバルだけではなく、モルティブやイタリアのベネチアも海に沈む(※1)のではないかと言われていますし、インドネシアの首都ジャカルタは2050年に海に沈む(※2)と言われています。 街が海に沈むことも問題なのですが、住む環境が変化することで自国に住めず、半強制的に国を追われる、いわゆる気候難民(環境難民)が発生するのも大きな問題の1つ。

実際に気候難民の数は、年間で2000万人発生しており、このままいけば2050年には10億人に達する(※3)とも言われています。 このように、甚大な被害をもたらす海面上昇ですが、解決方法としては、熱膨張の原因となっている地球温暖化を止めることです。 海面上昇の詳細はこちらをどうぞ。

※1
NHK:海に飲み込まれる国 モルディブ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211109/k10013338581000.html
朝日新聞デジタル:沈むベネチア、1階住めない 切り札「モーゼ」にも弱み
https://www.asahi.com/articles/ASM9D61YMM9DUHBI02S.html
※2
日本経済新聞:ジャカルタ沈没 1000万人の人々を救えるか?
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOLM220MD0S2A820C2000000/
※3
国連大学ウェブマガジン:水・気候・紛争・移住:2050年までに10億人となる移民への対応
https://ourworld.unu.edu/jp/water-climate-conflict-migration-coping-with-1-billion-people-on-the-move-by-2050

 

森林火災

森林火災はその名の通り、森林で発生する火災を指す環境問題。 森林火災自体は特に珍しいものではないのですが、近年問題になっているのはその規模と頻度です。 2019年のアマゾン森林火災をはじめ、2019年にオーストラリアで発生した森林火災は史上最悪規模のもので、面積の20%(通常は1%)が消失し、10億匹の動物が命を落としたと言います(※4)。

※4
日本経済新聞:豪の森林火災、最大規模に 面積は東京の20倍
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO54070180W0A100C2FF2000/

また、カリフォルニアでも森林火災(山火事)が起こる頻度は高まっていて、2020年には9月までに28件の森林火災が起き、それによって東京都の面積のほぼ6倍が焼失したと言われています(※5)。空がオレンジになったことで話題だったので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

森林火災は熱が原因なので、環境問題の解決方法としては、地球温暖化を食い止めることが最優先です。 アマゾンの森林火災については、後半で詳しく説明します。

※5
BBC Japan:米西海岸の森林火災、オレゴン州で数十人が行方不明
https://www.bbc.com/japanese/54136067

砂漠化

砂漠化は、元々植物が生えていた土地が、不毛の地になることを指す環境問題です。 砂漠化の主な原因は2つ。 1つは、地球温暖化による気候変動。気候変動によって、極端に雨が降らなかったり、付随して干ばつが起きたりすることで、地面の水分が失われて土地の劣化が進むことで、砂漠化がおきます。 2つ目は、人間活動の結果として起こる人為的要因。 土地の再生産能力を超える過度な、放牧、水資源の使用、作物の栽培、森林伐採などの結果砂漠化は進行します。

砂漠化がこのまま進行すると、地球が穀物を生産できなくなる、食糧危機や貧困飢餓の助長の問題が考えられますし、砂漠化する地域が増えることで、人間が住めない土地が増え、難民化することが考えられます。 気候変動も人間が起こしたことだと考えれば、砂漠化の対策方法としては、工業型畜産の見直しや再生型農業の導入を進めるなど、人類の営みの方法を変えることが考えられるでしょう。

 

異常気象の増加

異常気象は、気象庁の定義によると、ある場所(地域)・ある時期(週、月、季節)において30年に1回以下で発生する現象であり、環境問題のこと。 つまり、通常とはかけ離れたような猛暑日やゲリラ豪雨、頻発する山火事、夏に雪が降るといった現象が起こることを指します。 異常気象の主な原因は地球温暖化とそれに伴う海水温度の上昇。なので解決方法も、地球温暖化を食い止めることが考えられます。

 

森林破壊

森林破壊とは、森林伐採や火災などによって、世界の森林面積が消失していく環境問題のことを指します。そのスピードは毎年1300万ヘクタール(北海道1.5個分)の熱帯林が消失していると言われるほど深刻です。 森林が減少するとどんなことが起こるのでしょうか?

大きく影響は2つあると考えられています。 まず1つ目が気候変動。 森林が二酸化炭素を吸収し、酸素を排出することはご存知かと思うのですが、逆に考えると、森林の消失は二酸化炭素を増加させることに間接的に貢献していることになり、そのインパクトは温室効果ガスの放出の多くを占めると言われています(※6)。 また2つ目は生物多様性の損失を助長しているということ。 熱帯林は陸地面積の7%に過ぎないのですが、その中に地球上の50%の生物が生息していると言われており(※7)、生物多様性の宝庫です。

そんな森林が減っていくことは、生物多様性の損失を助長していると言えるでしょう。 森林破壊の詳細はこちら

※6
国際連合広報センター:気候変動の原因
https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/climate_change_un/climate_change_causes/
※7
国立環境研究所:熱帯林生態系の構造解析
https://www.nies.go.jp/kanko/news/10/10-3/10-3-04.html

 

地球の汚染やごみに関する環境問題

プラスチックによる環境汚染
次に人間の営みの中で、廃棄物や化学薬品の使用などによって引き起こされている環境問題を紹介していきたいと思います。

 

オゾン層破壊

オゾン層破壊とは、地上10~50kmの成層圏にあるオゾン濃度が高い部分(オゾン層)が破壊され、穴(オゾンホール)がる環境問題のこと。
オゾン層は、浴びすぎると皮膚ガンなどの元になる、強くて有害な紫外線を吸収して、人間や動物などの生物に届かせない役割を持っているため、非常に重要です。

オゾン層破壊の原因は、エアコンや冷蔵庫の冷媒など、多くの用途で利用されていたフロンガスだと言われています。

ただ、現在ではオゾン層破壊に繋がるフロンガス等は使用が禁止されており、オゾン層は回復に向かっているとのこと。早ければ2030年には北半球および中位層オゾンは完全回復し、一番遅い南極においても2060年には回復することが見込まれています(※8)。

※8
日本経済新聞:オゾン層、2060年代に回復 国連予測
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO37376660V01C18A1CR8000/

海洋プラスチック問題

海洋プラスチック問題とは、海にプラスチックゴミが流れ着くことで起こる環境問題のことです。

日常のあらゆる場面で使用されるプラスチックは、適切に処理されないと、ほとんどの場合は海に行きつき、様々な問題を引き起こします。
その量年間で800万トンとも言われており、このままのペースで海にプラスチックゴミが増え続けた場合、2050年には重量ベースで魚の量を上回るとも言われるほど、深刻な環境問題です(※8)。

※8
WWFジャパン:海洋プラスチック問題について
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3776.html

では、そんなペースで海に増え続けてる海洋プラスチックが起こす問題はなんなのでしょうか?
1つは生態系へのダメージ、そしてもう1つは人間の健康へのダメージです。
プラスチックは、波や紫外線の影響を受けると、小さいプラスチックの粒子となり、それをマイクロプラスチックと呼ぶのですが、海にいる生物が餌と間違えてマイクロプラスチックを摂取し、命を落とすケースがあとを断ちません。
また、そのようなマイクロプラスチックはプランクトンに食べられますが、食物連鎖で人間までたどり着きます。人間が1週間に摂取しているプラスチックの量は5g(※9)という報告もあるほど、人体へも影響を及ぼしているのです。

海洋プラスチック問題を解決するには、プラスチックゴミを出さないこと、使用量を最小限に止めることが考えられます。

※9
WWFジャパン:人は、1週間でおよそ5gのプラスチックを摂取しています
https://www.wwf.or.jp/file/20190612_oceana01_1.pdf

 

水質汚染

水質汚染とは、地球上の水が人間によって汚染される環境問題のことです。原因は大きく分けると、生活排水と工業排水の2つがあります。

生活排水では、窒素やリンが流れ出て、それが海に流れ着くと特定のプランクトンが異常発生したりと、生態系に影響を及ぼします。
また、工業排水においては、化学物質が流れ出ることで、水俣病やイタイイタイ病といった公害の原因になったりもしました。

現在では、工業排水の被害は減りましたが、世界では、水質汚染によって衛生的な水にありつけない人たちが約7億人いるとも言われていて、毎日1800人もの子どもが汚染水の利用が原因で命を落とすと言います(※10)。

この水質汚染に関しては、世界中で水のインフラを整える必要があり、ビルゲイツが慈善事業で作った、排泄物から飲み水を作り出す技術などによって、イノベーションが求められています。

海洋汚染に関する記事はこちら

※10
Yahoo!きっず:水質汚染とは
https://kids.yahoo.co.jp/study/integrated/environment/env004.html

 

土壌汚染

土壌汚染とは、有害物質が土壌に蓄積することで起こる環境問題のことです。有害物質には、農薬や重金属、有機溶剤、油などが含まれます。

土壌汚染は、汚染された土壌で育てられた農作物や地下水を摂取すると健康問題を引き起こすことがあるため、注意が必要なのですが、土の中ということもあり、目に見えず、実態を把握しにくいという問題点もあります。

 

生態系に関する環境問題

バイオダイバーシティの問題
最後に、人間を含む生態系に関する環境問題を見ていきます。

 

人口増加

人口増加は直接的な環境問題とは言えないかもしれませんが、人間が地球に住んでおり、その資源を利用して生活していることを考えれば、広義の環境問題だと言えるでしょう。

2050年には100億人を超えると言われる世界人口(※11)ですが、問題となるのは地球資源の供給量と使用量の不均衡です。

現在でさえ、地球の資源を1.7個分使用している人類ですが、100億人に達した場合はどうなるのでしょうか。
また、人口が増えた時に、食糧問題、地球温暖化をはじめとする気候変動にはどのように対応していくのでしょうか。

※11
National Geographic:2050年の人口は100億人へ、食料どうまかなう?
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/071900419/

 

生物多様性

生物多様性は急速に失われており、それ自体が環境問題だとされています。そのスピードはなんと過去40年間に6割の生物多様性が失われたとも言われていて(※12)、そのスピードは深刻です。地球の歴史が46億年あると考えれば、40年はほんの一瞬にすぎません。

その中で人類による乱獲や農薬の使用、森林破壊などによって生物は急速に絶滅しているのです。絶滅寸前の種を絶滅危惧種と言いますが、2000年には2万種だったのが、2019年では3万種に増えたと言えば、そのインパクトは感じられるのではないでしょうか。

絶滅危惧種に関してはこちらの記事をご覧ください。

※12
WWFジャパン:世界の生物多様性は60%を喪失 WWF『生きている地球レポート2018』を発表
https://www.wwf.or.jp/activities/activity/3779.html

アマゾン火災について

ここで冒頭でも触れたアマゾン火災について、詳しく解説します。

アマゾン火災とは文字通りブラジルのアマゾン川流域で発生する森林火災のことです。近年、地球温暖化が進行するとともに、アマゾン火災の発生件数は増加、そして火災の規模も毎年拡大しています。 アマゾンで発生した火災の中でも、2019年7月~11月の期間に発生したアマゾン火災は、前例のない大規模なものでした。なんと、2019年のアマゾンにおける火災件数は、前年の同時期に比べて85%も増加。さらに、史上最悪と報道された火災を超えたのが、翌年の2020年のアマゾン火災です(※12)。

このように、年々状況が悪化しているアマゾン火災。一体、対策をとらずに火災を放っておくことは、どのような影響を生み出すのでしょうか?

※12
BBC JAPAN:【解説】 アマゾンの森林火災、どれくらいひどいのか
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-49443871

アマゾン火災による影響

アマゾン火災が発生、深刻化することによる影響は、森林が焼失することだけではありません。さまざまな影響が危惧されていますが、その中でも特に大きな影響が発生するものをご説明します。

 

先住民の暮らしに影響

アマゾン火災によって、森林が燃え尽ることで、先住民が頼ってきた食料や医薬品、さらには生活の基盤まで失われてしまっています。その他にも、先住民の村落などのコミュニティが火災の被害に合うことで、より直接的に影響を受けている現実も。   また、先住民の暮らしを火災が奪うことは、文化やアイデンティティまでも喪失させてしまうリスクがあるのです。

 

人間の健康にも被害

森林と密接して暮らす先住民だけでなく、都市に住む人々への影響も。   アマゾン火災が長期に渡って続くことで、数百万に上る人々が呼吸をする大気が汚染され、健康に支障をきたしてしまう恐れがあることがわかっています。

 

生態系の基盤がゆらぐ

自然界での影響として、アマゾンの生態系が崩壊してしまうことが挙げられます。   アマゾン熱帯林には、多くの固有種が存在しています。多種多様な生き物が生息する地域で、森林火災が進行することは、それらの絶滅に繋がってしまうのです。   さらに、生物多様性からなる生態系という、地球の基盤が崩れてしまうリスクにもなりかねません。

では、どうして大規模なアマゾン火災は発生したのでしょうか?火災の原因とメカニズムを解説していきます。

 

アマゾン火災は人為的理由によって発生

燃え続けるアマゾン アマゾン火災は、自然現象によって引き起こされた火災ではなく、人為的な活動が原因のものだと言われています。つまり、天災ではなく、人災であるということ。   例えば、大量の資源を使い、生産・消費する生活を続けることは、アマゾン火災の引き金になっている可能性が高いのです。   こちらでは、大規模なアマゾン火災を引き起こす原因について、簡単に説明します。

 

畜産の拡大による土地開拓

畜産の需要があがり、そのために土地を開拓することが、アマゾン火災に影響しています。簡単に言うと、農場を切り拓くために、アマゾンの森林に火がつけられているんです。 ブラジルでは、基本的にアマゾンの原生林と呼ばれる森林を、意図的に農地に変えることは法律で禁止されています。

しかし、火災などで1度燃えてしまった土地はその規制から外れるという抜け道が存在しています。このような、法律の穴に目を付けた業者や大地主は、アマゾンの森林に火をつけて土地を開拓しているのです。中には、火をコントロールできずに、大規模な火災が発生するケースもあります。

 

地球温暖化

森林火災の原因の1つの要因として挙げられるのが、気温の上昇や干ばつによる乾燥。   気温が上がり、降雨量が減少し、森林が乾燥した状態になると、木に火がつきやすくなります。そのため、どこか一箇所で発生した火が広範囲に広がってしまう事態となるのです。

地球温暖化は異常気象を促すだけでなく、アマゾン火災にも深く関わっています。そして、地球温暖化を進行させているのも、人間の日々の行動なのです。   これらの要因から発生してしまうアマゾン火災ですが、国際社会が現状を懸念する声が大きくなっています。しかし、当のブラジル政府からは楽観視する声が多く聞こえ、事態の収拾には、ほど遠いことが現実です。

 

国際社会とブラジル政府間の対応の差

国際社会では、フランスの大統領や、環境保護活動家のグレタ・トゥーンベリさんなどが、アマゾンは「地球の肺」であり守るべきものであると主張しています。また、環境保護活動家の中では、ブラジルの大統領が放牧地確保のために、森林に火をつけることを奨励したという意見があるが、本人はそれを否定し、NGOが火をつけたと反論。   国際社会から不安視されているにもかかわらず、ブラジル政府はアマゾン火災の緊急度を否定しました。

国連のグテレス事務総長が声を上げるほど、注目を集めましたが、ブラジル政府が認めない状態では、進歩ができなかったことが事実です。   大きく対策をとることができなかった2019年のアマゾン火災を経て、現在のアマゾンの状況はどうなっているのでしょうか?

 

2035年にアマゾンはCO2吸収源から発生源に変わる

大規模なアマゾン火災 このままアマゾン火災が進行すると、2035年には地球の酸素の20%を供給するアマゾン熱帯雨林は、CO2吸収源から発生源に変わると予想されています。   史上最悪だと懸念の声が多くあった2019年のアマゾン火災から、状況はどのように変わってきているのかを説明します。

 

アマゾン火災のその後

2019年のアマゾン火災の後も、年々増加傾向にある火災発生件数。   2019年のアマゾン火災の翌年、2020年のアマゾン火災は前年を20%上回る火災が発生しました。

もはや二酸化炭素を吸収し、環境を保護する働きを失うことが懸念されるアマゾン熱帯雨林。   改善し、地球を守るためには、アマゾン火災を人為的なものだと認めたうえでの政府の対応が鍵になります。しかし、政府による動きが見られない今、国際的な団体が動くしかない状況です。

 

アマゾン火災への対策

アマゾン火災の状況が深刻化をたどる中、状況改善のため、団体が行う取り組みと、企業が行うものと、いくつかご紹介します。

 

国際的に行われる対策

国際的な団体が取り組む対策としては、被害のある地域へのアフターケアが主要なものとなっています。地球上の森林を保護することが目的であるWWFやJICAなどの団体が中心となって活動中です。

 

WWF(世界自然保護基金)

WWFは、火災が起こった被災地への薬品、食料、水など、生きるために必要な資源を供給。また、消火するために機材や装備を提供、ケガを負った野生動物の救護なども、多岐に渡る活動を行っています。

JICA(国際協力機構)による支援

JICAは、日本の外務省による支援を通し、緊急援助物資(テント,スリーピングパッド等)を贈与しました。さらに、消火活動への協力のための緊急援助などをおこなっています。   よく知られる国際的なボランティア団体以外にも、企業やNGOなど様々な活動が見られています。

 

企業や団体が行う取り組み

アマゾン火災に対して、国際団体だけではなく、企業が中心となって行う取り組みもあります。共通して言えることは、アマゾンの森林や土地を犠牲にして、生産・製造された物を使用しないということです。

 

VFコーポレーション

アメリカの大手アパレルメーカーを多数保有する、VFコーポレーションは、ブラジル産レザーの購入停止を表明しています。アマゾンを犠牲とする素材の、不買運動です。   VFコーポレーションは、THE NORTH FACE、ティンバーランド、バンズなどの親企業であり、これらのブランドの製品には、ブラジル産レザーが使用されていません。

米環境団体マイティ・アース

アメリカの環境団体であるマイティ・アースは、アマゾン地域の開拓を行い、畜産や穀物栽培を行う、ブラジル最大手の食肉企業JBSや米大手穀物商社カーギルと取り引きを行う企業に対し、取り引き停止を求めています。   環境団体が中心となり、アマゾン火災の状況と生産活動の繋がりを伝えることで、生産・消費の傾向を変えようとしている例です。   例えば、VFコーポレーショ参加のブランドのように、アマゾンへの影響がない生産を行う企業から積極的に消費を行うことが、個人ができる貢献です。

 

問題の解決は可能。私たちにできること

ここまで12の環境問題とアマゾン火災について解説してきました。問題がグローバル規模なだけに、自分には何もできないのではないかと考える方もいることでしょう。 しかし、地球環境はそこで生活している私たちの行動によって大きく左右されるものです。 何をすればいいのかわからない方のために、私たち編集部が考える具体的な2ステップのアクションプランを紹介いたします。

 

本や映画で環境問題についての情報を知ること

初めのステップは、問題に関して深く知ることです。 何が問題で、その原因は何で、何をすれば解決に近づくのかを知ることで、体系的に環境問題を理解でき、さらには1人の市民としてどのように対処するべきかがわかるようになります。 そのためにも、まずは知識を身に付けましょう。 おすすめは本を読むこと、もしくはドキュメンタリーを観ることです。 特にドキュメンタリーは、問題をリアルに感じることができ、自分の行動が変化するきっかけになりやすいのでおすすめします。

 

個人で簡単にできることから始める

問題を知り、対策方法がわかったら、まずは自分が興味があることから始めてみましょう。 この際のポイントは、初めから完璧を目指すのではなく、何かアクションを起こしてみるということです。 いきなりゴミを減らすことは難しくても、水筒は持ち歩くことや、マイバッグを持ち歩くことは可能なのではないでしょうか。 第一歩を踏み出せたら、環境問題に対する興味や知識も深まるはずです。その後どのようなアクションを取ればいいのかは自分で調べて、答えを出すようになるでしょう。 そうなるためにも、まずは簡単なことから始めてみることをおすすめします。

 

最後に。環境問題を自分ごと化しよう

当記事では、地球上で起こっている環境問題を見てきましたがいかがでしたか? 環境問題の原因は人類にあり、人類が生きていく限りは、環境問題の解決が求められます。 そして、環境問題の解決には、まず環境問題の存在、そしてその深刻さを知ることが重要です。

少しでも、この記事が役に立った、面白いと思われた方は、環境問題を伝えるためにも、SNSでシェアしていただければと思います。 また、私たちができる少しでも環境にいいアクションをまとめた記事を紹介しますので、ぜひ参考にしていただければと思います。

エコの意味は?環境のために私たちができる12の取り組みを紹介

それでは、最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

               
ライター:Sohshi Yoshitaka
Ethical Choiceの初代編集長。2030年までに地球が持続可能になる土台を、ビジネスを通して作ることがミッション。

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※本記事はエシカルな情報提供を目的としており、本記事内で紹介されている商品・サービス等の契約締結における代理や媒介、斡旋をするものではありません。また、商品・サービス等の成果を保証するものでもございません
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