京都議定書|地球温暖化を防止するための、国際社会初の条約とは?

気候変動

世界の平均気温は、1850年以降1.1℃上昇。直近だと、2011年からの4年間で0.2℃の上昇がありました。
 
世界で、最も権威のある温暖化研究機関の国連IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によると、最も気温上昇の低い予想でも、おおよそ2度前後の上昇が見込まれています。
 
しかし、現在の消費活動や経済活動の状態を続けると、100年後にはおよそ4℃もの気温上昇が予想されている現状です。
 
京都議定書は、進行を続ける地球温暖化を食い止めるための取り決めのこと。その上で、環境にも人間にも優しい世界をつくることが目指されています。
 
今回の記事では、京都議定書をわかりやすく解説し、条約が結ばれた背景、日本の取り組みによる結果、京都議定書が持っていた課題など、いくつかかの角度からご説明します。
 

京都議定書とは?

京都議定書は、国際社会が一丸となって、地球温暖化を防止するために取り決められた国際条約です。京都議定書は、COP3と呼ばれる会議で採択されました。

発効年 1997年
採択都市 京都
会議名 国連気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)

では、どのような目標が京都議定書によって掲げられていたのでしょうか?京都議定書が何を目指して定められたのかをご説明するために、目標を確認していきます。
 

京都議定書の目標とは?

京都議定書は、先進国のみを対象に、温室効果ガスの排出量削減を求めた条約。
 
具体的には、「温室効果ガスを2008年から2012年の間に、1990年比で約5%削減すること」が目標です。
 
また、日本においては、1990年比で2008~2012年に6%の温室効果ガスの排出量削減の義務が課せられました。6%という数値は、EUの8%、アメリカの7%の次に大きな削減目標の数値となっています。
 
なぜ、京都議定書が途上国に温室効果ガスの削減を義務付けていないかというと、気候変動枠組み条約の「歴史的に排出してきた責任のある先進国が、最初に削減対策を行うべきである」という合意に基づいているからです。
 
さらに、京都議定書特徴として、削減目標を達成できなかった国には、罰則が適用されます。
 

京都議定書が発効された背景

Sustainable Development Goal 13: Climate Action
国際社会初、地球温暖化を防止するための世界的な条約ができた背景には、深刻化する環境問題がありました。
 
こちらでは、地球温暖化が自然や人間にどのような影響を与えているのか、簡単にご紹介します。
 

異常気象

気候変動が進むことで、異常気象が多発している現代。例えば、以下の影響が考えられます。

  • 森林火災
  • 洪水
  • 健康被害
  • 農作物への被害

そして、異常気象以外にも懸念される影響があります。
 

海面上昇

地球の気温が上昇し、北極の氷河が溶けることで、懸念されるもう一つの課題が海面上昇。
 
最も海面上昇の被害を受け、「沈みゆく島国」と呼ばれるツバル共和国の水位は、2.95m(2021年2月現在)。2.6mを超えると、生活区域での浸水リスクがあるとされるため、2.95mは対策が必要な数値です。
 
上記の背景をもとに、気候変動枠組条約というものが取り決められ、この大きな条約のもとに、京都議定書が取り決められました。
 

京都議定書は成功したのか

結論、環境問題を解決するためには京都議定書は不十分でありました。しかし、それでは失敗だったのかというと、それも違うと言えます。
 
京都議定書についての議論が始まった1990年と比べると、温室効果ガスの排出量は世界的に増加してしまっているため、京都議定書は気候変動対策として十分に働かなかったことは確かです。
 
しかし、もし京都議定書すらなく、各国が温室効果ガスの排出量を見直していなかったら、現在よりも排出量は大きくなっていたことでしょう。
 
その側面や、京都議定書は温室効果ガスの排出量を各国別で管理し、削減を目指した世界初の条約であったことを考慮すると、京都議定書は、成功まではいかなくとも意義のある取り組みであったと言えます。
 
では、そのような京都議定書が、日本においてはどのように京都議定書での取り決めが働いたのか、ご説明します。
 

日本による対策の結果

京都議定書で決められた目標値に対し、日本は6%というガス排出量削減の目標を達成しています。
 
それだけ聞くと素晴らしい取り組みをしたように聞こえますが、実はそうではありません。
 
その実態は、日本国内でCO2排出量を削減したのではなく、他国が削減した分を購入する方法を使用したにすぎないのです。この仕組みは、京都メカニズムと呼ばれています。
 

京都メカニズムとは?

京都メカニズムとは、OECD加盟国をはじめとする先進国や、急激に経済が成長する国(経済移行国)のみが、温室効果ガス排出量を削減する目標を達成するために、利用できる柔軟措置です。
 
上記で述べた国が、自国のガス排出量が排出していいとされる量を超えた場合、他国から排出枠を購入したり、他国が削減したガス排出を自国の削減とすることができるシステム。
 
一般的に、カーボンオフセットと呼ばれる動きと類似しています。
 
カーボンオフセットに関して詳しい情報は、こちらの記事へどうぞ。
 
日本は排出量削減の目標値を達成し、世界的にも意義のあるものだったと言われる京都議定書ですが、実は課題が残っていたのも事実。
 
どのような課題があったのか、解説します。
 

京都議定書が残した課題

京都議定書は、国際社会が一丸となり、地球温暖化を防止するために取り組みを行うという画期的な条約でしたが、いくつかの課題が残っている現状です。
 
課題としては、二酸化炭素の排出を減らす義務が先進国にのみ適用されたこと、アメリカが脱退したことが挙げられます。
 

途上国での二酸化炭素排出量が増加した

京都議定書が採択された1900年代後半は、主に先進国が二酸化炭素を排出している国でした。途上国による排出量は問題視されていなかったため、京都議定書は先進国のみを対象にしたもの。
 
しかし、2010年以降、先進国だけでなく途上国による排出量も急激に増加しました。そのような状況でも、途上国には削減義務を求められなかったことが課題の1つでした。
 

アメリカが脱退

アメリカは、京都議定書が採択された当時、世界的でも有数の温室効果ガス排出大国でした。そんなアメリカが、京都議定書から脱退してしまったことにより、国際的な目標数値の達成目途が立たなくなってしまうという状況に。
 
アメリカが京都議定書体制からの離脱を宣言したことで、一度は京都議定書の危機が心配されました。しかし、このことが逆にその他の国々の合意への意志を強める結果となり、2001年にはCOP7でマラケシュ合意という京都議定書実施のルールが決まりました。
 
このような事態から、もっと全世界的な規模での取り組みを必要とする声が増えました。
 

京都議定書を引き継ぐパリ条約

パリ条約は京都議定書と同じく気候枠組条約から派生したもので、ポスト京都議定書とも呼ばれています。
 
これら2つの条約の主な違いは、下記の3つです。

  • 守る義務があるか否か
  • 規制の対象国の範囲が違う
  • 効力の対象時期が異なる

京都議定書とパリ条約の大きな違いは、守る義務があるか、ないかです。京都議定書は2020年までの温暖化対策の目標を定めたもので、パリ協定はそれをバトンタッチする形で2020年以降の目標を定めたものになります。
 
二大排出国のアメリカと中国がともに温暖化対策を推進しようという機運になり、後ろ向きだった途上国も「それなら参加しよう」ということで世界中の多くの国が合意しました。
 

地球温暖化を防止するために、私たちにはなにができる?

カーボンオフセットにおける植林
京都議定書の効力期間は終わってしまいましたが、私たちが日々できることを続けることは、現在でも必要です。最後に、日常に取り入れやすいアクションをいくつかご紹介します。
 

環境を保護マークがついた商品を買う

最近、環境を配慮することを示す認証マークが増えてきました。
 
おそらく、リサイクル可能というエコラベルは見たことあるのではないでしょうか?
リサイクル可能を表すマーク以外でも、森を守るマーク「FSC®認証」や、海のエコラベル「MSC®認証」など、環境を保護する働きをする認証マークがあります。
 
例えば、コピー用紙を購入する際に、意識してFSC®認証マークがついている方を選ぶなど、消費の観点でも可能な貢献があります。
 

消費を控えてみる

そもそも、何かを生産し、消費するという行動には資源が使われています。
 
最近だと、レジ袋有料化や紙ストローへの移行が進み、あまりプラスチックの使用が目立たなくなってきました。この他にも、ペットボトルやカフェのプラスチックカップなど、シングルユーズと呼ばれる、一度きりの消費を控えてみることをおすすめいたします。
 
また、多くを消費するのではなく、本当に必要なものだけを消費するように心がけることもできます。
 

再生可能エネルギーに変えてみる

例えば、家庭の電力を再生可能なエネルギーに変えることで、長期的に環境保護などに貢献することができます。
 
ここ数年、日本でも再生可能エネルギーを扱う企業が増えてきましたので、きっかけがあれば思い切って契約してみることも地球を守る大きな1歩です。
 

周りの人と話してみる

何か実際に行動に移せなくても、周囲の人と地球温暖化の現状について話してみることも1つの貢献になります。
 
1人だけが環境を保護するために努力をするよりも、少し地球に優しい暮らしをする人を増やしていくために、地球温暖化について話してみるというアクションをしてみましょう。
 

最後に。これからも続けたい、地球温暖化を防ぐ努力。

今回は、2020年まで効力を持っていた、地球温暖化を防ぐための国際社会初の条約、京都議定書について解説をしました。
 
現在、京都議定書の効力は終了し、パリ協定へと引き継がれています。
 
今や、先進国だけでなく、途上国にも排出量削減を求めなければならないほど、地球の状況は危うくなっていることがわかっていただければと思います。
 
これからも、地球温暖化を抑えられるよう、少しずつの努力を続けていくことが必要とされています。
 
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

               
ライター:Ayaka Sato
Ethical Choiceのインターン。自分のアクションで、地球のどこかの誰かが幸せになってくれる、そんな未来を描いて日々奮闘中。
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