蝗害とは?知っておきたい現状と日本への影響、対策方法を解説

気候変動

バッタの大量発生により農作物が食べ尽くされる「蝗害」。
 
2020年にもアフリカ東部にてサバクトビバッタによる被害が拡大し、「非常事態宣言」が出されるなど世界的にも深刻な問題となっています。
 
今回は、蝗害の原因やその対策、そして日本の過去の事例などの最新情報をご紹介します。
 

蝗害の定義とは?

 
蝗害とは、トノサマバッタやサバクトビバッタといった種類のバッタ類が「群生相」という身体変化をし大量発生をする災害のこと。
 
具体的な被害としては大量発生したバッタが農作物等を食べつくしながら現在地を移動させ、地域住民たちの食糧難といった自体を引き起こします。
 
航空機の飛行を妨げるほどのバッタの群れが周囲を覆いつくすこともあり、大きな問題となっています。
 
実際に、1926年~1934年、1940年~1948年、1949年~1963年、1967年~1969年、1987年~1989年、2003年~2005年、そして2020年と20世紀以降もさまざまな地域で蝗害が起きています。
 

蝗害の語源とは?

 
「蝗害(読み方:こうがい)」の「蝗」という字は「いなご」という意味です。
 
元々漢語では「蝗」が「ワタリバッタが相変異を起こして群生相となったもの」の意味を持っていました。
 
日本ではそういった現象が殆どなかったため、誤って「いなご」の読みが与えられ今日まで来たと言われています。
 
実際に「いなご」が害を起こした例もありますが、2021年現在世界で問題になっている「蝗害」はバッタが主な原因となっています。
 

蝗害の具体的な状態・被害とは


「蝗害」の原因は、バッタの大量発生。
 
通常、トノサマバッタやサバクトビバッタは「孤独相」と呼ばれる体を持ち単独で行動をします。
 
それが個体数が増すとともに「群生相」と呼ばれる移動に適した体に変異します。
 
この群生相となったバッタは食欲が増し、孤独相の時には食べないような植物も食べるようになります。
 
さらに、繁殖スピードも高く3ヶ月ごとに約20倍に増えるという研究も。
 
その大量のバッタが多くの農作物を食べ尽くし、現地住民達の食料を失わせているのです。
 
また、農作物だけではなく牧草も食べ尽くしてしまうため、家畜への影響も懸念されています。
 
過去には中国でトノサマバッタが、北アメリカではロッキートビバッタが、同様の被害を作り出しています。
 

2020年にアフリカ大陸で発生した蝗害

 
新型コロナウイルスの被害が心配される2020年に、突然舞い込んできたサバクトビバッタによる「蝗害」のニュース。
 
アフリカ大陸にて1平方キロメートルあたり4,000万匹のサバクトビバッタが記録されており非常事態宣言が出されているというものでした。
 
1日で3万5,000人分の農作物が被害にあっているとされており、過去数十年でも最悪の被害といわれています。
 
国連食糧農業機関(FAO)も警鐘を鳴らすなど、世界的な問題となっています。
 

2021年の最新状態は

 
2021年2月にアップデートされた国連食糧農業機関の情報によると、2021年もケニアやエチオピア、ソマリアにおいてサバクトビバッタの群衆が確認されています。
 
農薬や殺虫剤等を散布して対策しているとされており、今後の情報が待たれます。
 

日本には影響がある?

 
少しずつ移動をしながら数を増やしていくサバクトビバッタ。
 
ですが、今回アフリカ大陸で発生したサバクトビバッタという種類は寒さに弱く高い山が越えられないため日本に直接来ることはないのではないかと考えられています。
 
ただ、直接日本に来ることはないもののアフリカ大陸との経済関係などが滞る可能性もあり間接的な影響があることは予想されます。
 

蝗害が発生する原因


蝗害が発生する原因は、主に2つ。
 
「バッタの餌となる植物が増えること」と「バッタが温暖化に強いこと」といわれています。
 
続いては、そんな原因2つを詳しく解説してまいります。
 

原因①バッタの餌となる植物が増えること

 
まず考えられる一つ目の原因は、バッタの餌となる植物が何らかの原因で大量に増えること。
 
例えば2020年にアフリカ大陸でサバクトビバッタが発生した原因は、2018・19年にアラビア半島やアフリカ東部の地域をおそったサイクロンと考えられています。
 
サイクロンの発生により砂漠地域にも水が大量に降り注ぎ、そこで植物がたくさん育つ結果に。
 
その植物の恩恵で、サバクトビバッタが大量に繁殖したと考えられます。
 

原因②バッタが温暖化に強いこと

 
実はバッタは熱や乾燥にも強い生き物といわれています。
 
そのため、地球温暖化に対応できない他の虫や生き物が弱っていくなかでバッタたちが生き延びられる可能性が高くなったという考えもあります。
 
具体的には、競争相手がいなくなるため餌となる植物を確保しやすくなるほか、捕食者から捕らえられる可能性が低くなるということでしょう。
 
2020年のバッタの大量発生と密接に関係しているかの解明はまだされていませんが、今後地球温暖化が加速するとバッタの数がより増えてくるのではと考える人もいるようです。
 

対策方法はあるのか

 
2021年現在、アフリカ大陸周辺では蝗害を起こすバッタの大量繁殖を抑えるため、殺虫剤等による防除が行われています。
 
地域の住民や他の生き物、環境に対する影響もあるため賛否はありますが、現在はWHOから危険といわれる殺虫剤は使われず、「合成ピレスロイド」や「ジフルベンズロン」といった薬を使っています。
 
また、幼虫や卵のうちからバッタの動向や数の増減を見守るために「蝗害監視プログラム」も行われており、多くの担当者がパトロールをしています。
 

バッタを養鶏の飼料に?

 
パキスタンで今行われているのは、大量発生したバッタを飼料とする取り組み。
 
たんぱく質豊富なバッタは養鶏の飼料に適しているといわれています。
 
また、昆虫食として人間の食用とすることも研究されており今後の動向も注目されています。
 

日本でも起こった虫による被害


海外にて、多大な被害を出している蝗害ですが、実は日本でも過去に蝗害が起こったことがあります。
 
続いては、日本における蝗害の歴史や情報をご紹介します。
 

ウンカによる蝗害

 
日本でも、蝗害により大きな被害を受けた事例は多数あります。
 
例えば江戸時代におこった「享保の大飢饉」(1732年)は、冷夏と害虫が原因といわれています。ただしこの時の原因となった虫は飛蝗ではなく「ウンカ」といわれるイネの害虫や「イナゴ」であることが有力視されています。
 
そして、ウンカによる被害は決して過去のものではありません。
 
実際に2020年には中国地方などの西日本地域にてウンカの被害が報告されています。
 
2021年現在もウンカ対策が行われており、農家やJA、自治体が対策を強化しています。
 

トノサマバッタによる被害も

 
また、北海道では明治初期にトノサマバッタが大繁殖したという記録が残されています。
 
家屋の障子紙までを食い尽くしたといわれており、およそ4年ほどその被害は続いたといいます。
 
その後、最終的には長雨によりバッタの繁殖が途絶え、収束したといわれていますがその間の被害は甚大なものでした。
 
他にも、昭和40年代には沖縄、昭和60年代には鹿児島県で、また、平成19年には関西国際空港でトノサマバッタの大量繁殖が記録されています。
 
日本ではトノサマバッタの天敵となるエントモフトラ属(ハエカビ属・ハエカビ目)のカビなどが多いためひどい蝗害が起きづらいという報告もあります。
 
ただ、これからの環境の変化でまた蝗害が起こる可能性もあるため、専門家が注視しています。
 

さいごに。安心の暮らしのためにできること。

 
新型コロナウイルス・パンデミックや紛争などで、深刻な問題を抱えるケニアやエチオピア、ソマリアをはじめとするアフリカ大陸。
 
そんなアフリカ大陸で2021年現在も、国連からも問題視されている蝗害​についてお伝えしました。
 
安心して食事ができて、自然と共存していける。
 
そんな未来と世界のために、できることを少しずつ考えて行ければと思います。
 
また、Instagramでは、「地球一個分の暮らしを取り戻すヒント」をテーマに毎日情報発信をしておりますので、そちらもフォローいただけますと幸いです。
 
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。
 

               
ライター:Ethical Choice編集部
Ethical Choice編集部です。エシカルな生活を送る知恵、サスティナビリティに関する取り組み、環境問題に対するソリューションを発信いたします。
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