レッドリスト|絶滅種や絶滅の危機に瀕する生き物のリストを解説します

気候変動

現在、自然界では考えられないスピードで絶滅が危惧される種が増えていることをご存知でしょうか?実は、地球上の生物のうち、28%にも値する35,500種の生き物が絶滅の危機にあります。
 
そんな中、絶滅の危機にある生物を一覧でまとめており、どの種が絶滅の危機に瀕しているのかを可視化するのがレッドリストです。
 
では、一体レッドリストはどのようなリストなのでしょうか?
 
当記事は、レッドリストについてわかりやすく解説したあと、レッドリストが必要とされる理由、効果、課題、そして私たちができることなど多岐にわたって紐解いていきます。
 

レッドリストとは?

レッドリストの正式名称は、絶滅のおそれのある種のレッドリスト。つまり、絶滅の危機に瀕する生き物がまとめられた一覧です。
 
哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、昆虫などの動物。そして、植物や菌類など、幅広い生き物を網羅したものです。
 
世界共通のレッドリストは、IUCN(国際自然連合)が出版するもので、現在約3万5,765種もの野生生物が名を連ねています。IUCNのレッドリストは、「IUCN(国際自然保護連合)絶滅危惧種レッドリスト」と呼ばれるものです。
 
レッドリストの他にも、レッドデータブックというものがあり、2つの違いをご説明します。
 

レッドリストとレッドデータブックの違い

レッドリストが絶滅のおそれのある野生生物の種をまとめたリストであることに対し、レッドデータブックとは、レッドリストを解説するために掲載種の生息状況等をとりまとめ、編纂した書籍です。
 
レッドリストという名前を聞く機会の方が多いかもしれませんが、絶滅危惧種に選定されている生き物の背景を知るためには、レッドデータブックの参照が欠かせません。
 
そのため、この2つに違いはありますが、絶滅危惧種を調査するためにはレッドリストとレッドデータブックの両方が必要となります。
 
レッドリストとレッドデータブックには様々な種類があり、日本で一般的に知られているものは下記の4つです。

  • IUCNのレッドリストとレッドデータブック
  • 環境省のレッドリストとレッドデータブック
  • 水産庁による海洋生物のレッドリストとレッドデータブック
  • 各都道府県が発行するレッドリストとレッドデータブック

これらのように、地域別にレッドリスト、かつレッドデータブックがあることによって、より詳細な情報を掲載することができています。
 

各機関のレッドリストによる生き物の分類

先ほどご説明したように、レッドリストはいくつかの異なる機関でそれぞれ作成されています。
 
そのため、各機関によって異なるのが、種の分類のために使用するカテゴリー(ランク)の呼称です。IUCNと環境省を例にとって、どのような基準で分類されているかを下記の表でまとめました。

IUCN 略称 日本語 環境省 説明
Extinct EX 絶滅 絶滅種 すでに絶滅したと考えられる種
Extinct in the Wild EW 野生絶滅 野生絶滅 飼育・栽培下あるいは自然分布域の明らかに外側で野生化した状態でのみ存続している種
●Threatened 絶滅危惧 絶滅の危機に瀕している種
Critically Endangered CR 深刻な危機 絶滅危惧ⅠA類 ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの
Endangered EN 危機 絶滅危惧ⅠB類 CRほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの
Vulnerable VU 危急 絶滅危惧Ⅱ類 絶滅の危険が増大している種
●Lower Risk LR 絶滅のリスクは低い種
Near Threatened NT 準絶滅危惧 準絶滅危惧種 現時点での絶滅危険度は小さいが、

生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種

Least Concern LC 低懸念 絶滅のおそれもなく、近い将来絶滅に瀕する見込みが低い種
Data Deficient DD データ不足 情報不足 判断する程の情報がない種

このように、絶滅が危惧される順にまとめることで、保護活動の優先順位を考える際に役立ちます。速やかな保全対策が必要とされる種は、Threatened(絶滅危惧)に分類される3つ、CR(深刻な危機)、EN(危機)、VU(危急)です。
 
では、どうしてレッドリストは作成されたのでしょうか?その背景をご説明します。
 

レッドリスト作成の背景

レッドリストの鳥
レッドリストを作成することが必要になった背景は、生態系を意図して保護しないと従来の姿が失われる危険性が高まったことです。
 
現在、自然界では考えられないスピードで、生き物の絶滅や個体数の減少が進んでいます。
 
そのため、レッドリストやレッドデータを通し、生態系が崩壊するリスクがあるほどの現状を訴え、個体や生息地などの保護・保全活動に結びつけようという目的があります。
 
例えば、下記の要素が生き物の個体数減少が起こる主な要因です。

  • 森林破壊
  • 生息地汚染
  • 地球温暖化
  • 乱獲・密猟

これらが原因で、絶滅する生き物や、絶滅の危機に瀕する種が増えています。
 
このように、絶滅の危機にあることや個体数が減少しているという事実だけでなく、背景まで事細かにまとめることで、改善への方法が明確にする目的で作成されたのがレッドリスト、並びにレッドデータブックです。
 
次に、レッドリストが存在することによって、どんな効果があるのかをご説明します。
 

レッドリストによる効果

レッドリストがあるメリットは、どの種が、どれくらい絶滅の危機に瀕しているかわかるため、重点的に保護する生き物はどれかが可視化されることです。
 
これにより、生き物の絶滅危機度合いを把握することができます。さらに、レッドデータリストを使い、背景まで知れるため具体的な保全対策に踏み出しやすいという効果があります。
 
例として挙げられるものは、レッドリストおよびレッドデータブックを参照し対策を行ったことで、マウンテンゴリラの危機の度合いが改善したという事例です。
 
最も絶滅に近いとされる「CR(近絶滅種)」から「EN(絶滅危惧種)」へと、1段階危機のランクを下げ、マウンテンゴリラの存続を守ることに成功。
 
また、ジャイアントパンダも2年前に危機のランクが1段階下がりました。
 
このように効果を見ると、魔法のようなリストであるレッドリストですが、未だに課題を残しているのも事実です。
 

レッドリストに残る課題

先ほどご説明したように、レッドリストがあることで、保全活動を受けられる種の数を増やすことができますが、様々な理由で減少を続ける種がいるのも事実。
 
なぜなら、複雑な理由で捕獲の規制をしにくい場合もあるからです。
 
例えば、途上国の湖にいる魚が絶滅危惧種に指定された場合をご紹介します。現地の人々は、湖の魚を主な栄養源として頼っているため、絶滅危惧種の魚を守るために捕獲を規制すると、食料不足を引き起こしてしまう可能性があります。
 
この状況は人道危機にも繋がるため、過剰捕獲を指摘することのみで、実際に規制を強制的に行うことは難しいのが現状です。
 
このように、ただ絶滅危惧種を保護するという目的だけでは、保全活動がままならないケースが見られます。
 
しかし、課題が残るとしても、レッドリストの存在意義は変わらず必要なものです。
 

レッドリストは生物多様性を守る鍵

レッドリストが重要である理由は、絶滅危惧種を把握してこそ、生物多様性を守ることができるからです。では、なぜ生物多様性を持続させるべきなのでしょうか?
 
生物多様性は、以下の5つの理由で人類にとっても、地球にとっても重要なものです。

  • 野生の種は人間の生活ベースである生態系を支えている
  • 生態系システムを守ることが人間の健康につながる
  • 生物多様性を持続させることは気候変動対策になる
  • 生物多様性は経済的側面も支えている
  • 人間の文化やアイデンティティは生物多様性により成り立つ

これらのように、人類と生態系は密接に関わっています。そのため、生き物の数を減らし、生物多様性を損なうことは、生態系ならびに人間の暮らしに影響があるのです。
 
生態系崩壊を避け、豊かな地球を持続させるためにも、レッドリストが活用されることに意味があります。
 

私たちにできること

カメの写真
それでは、「レッドリストを知る」ことの他に、私たちが生き物と生態系、そして自らの暮らしを守るためにできることをご紹介します。
 

日常の消費を見直す

日頃何気なく購入している商品が、自然に負担をかけている場合があります。日常の消費を見直すためにできる例は、以下の3点。

  • 必要なものだけ買う
  • FSC®認証マークがついた製品を買う
  • MSC®認証マークがついた製品を買う

技術や産業の発展で、安価にモノが手に入る現代ですが、大量生産をする家庭で環境を汚染する可能性があります。
 
そのため、まずできることが必要なモノだけを消費することです。また、森を守るマークFSC®認証や、海のエコラベルMSC®認証がついている製品を買うことも気軽にできる貢献です。
 
FSC®認証について詳しい記事はこちら
MSC®認証について詳しい記事はこちら
 

生き物が犠牲になっている商品は避ける

環境だけでなく、生き物自体が犠牲となっている場合があります。

  • 密猟でつくられた珍しい製品は買わない
  • クルエルティーフリーを心がける

上記にあるように、サイ角や象牙など珍しい製品を消費することは、絶滅危惧種の個体数を減らすことになってしまいます。また、動物実験を経て製造される商品にも動物の犠牲があります。
 
これらの事実を知り、そのような商品を買うことを避ける、というとてもシンプルな方法です。
 
クルエルティフリーについて詳しい記事はこちら
 

美しい環境を保護できるライフスタイルをしてみる

モノを消費する際だけに限らず、生活を通じて美しい環境を保護できるアクションもあります。例えば、以下の2つ。

  • プラスチックフリーな生活
  • 1日1エシカル

プラスチックの使い捨て製品を使用することを避け、ゴミの量を減らすことは、海洋や森林の環境を守ることにつながります。そのため、プラスチックフリーというなるべくプラスチック製品の消費を抑えるライフスタイルが1つです。
 
また、1日1エシカルといって、社会や地球に貢献できるアクションを毎日の生活に取り入れることも、気軽に始められることのひとつ。
 
レッドリストを受け、行動できるのは政府や団体だけではありません。ひとりひとりが、ほんの少しでも気を配ることで、現状の改善につながるため、こちらで紹介したことをぜひチャレンジしてみてください。
 

最後に。レッドリストが必要なくなる社会を目指して。

今回は、レッドリストに関してわかりやすく説明した後、レッドリストが必要とされる背景や、わたしたちができることまでご紹介しました。
 
お伝えしたかったことは、レッドリスト絶滅種、絶滅危惧種と判断する生き物の数をこれ以上増やさないためには、現在の努力が必要不可欠であるということです。
 
今が生態系を守るために大事な時期であるため、当記事が、皆さんにとって毎日の生活を見直すきっかけになればと思います。
 
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

               
ライター:Ayaka Sato
Ethical Choiceのインターン。自分のアクションで、地球のどこかの誰かが幸せになってくれる、そんな未来を描いて日々奮闘中。
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