紛争鉱物とは | そのスマホがあなたの元へ届くまでを知ってますか?

皆さんは、紛争鉱物という言葉を聞いたことがありますか?
紛争鉱物は、紛争が繰り返される原因であり、さらに非人道的な行為を助長してしまうと国際社会で問題視されています。そんな紛争鉱物は、意外にも私たちの生活を支える姿に生まれ変わり、日常のあらゆるところで使われているのです。
こちらの記事では、紛争鉱物についてわかりやすく説明したのち、それらが社会に与える悪影響や使われている製品についてお話しします。
記事の最後では、紛争鉱物による影響をできる限りなくすために、明日からできるアクションをご紹介していますので、ぜひ読んでいただければと思います。
紛争鉱物(英:Conflict Minelals)とは?
紛争鉱物とは、簡単に言うと、紛争地域で採掘された鉱物資源です。代表の地域は、中央アフリカのコンゴ共和国周辺と言われています。
後ほど詳しく説明いたしますが、この鉱物を密輸することで得た利益が、武装勢力にとっての資金となり、紛争を長期化、悪化させることから、紛争鉱物と呼ばれるのです。
紛争鉱物に含まれる物質とは
米国金融規制改革法(以下ドッド・フランク法)によると、規制対象に指定されている鉱物資源は、以下の4物質と定義されています。
- スズ
- タンタル
- タングステン
- 金(3TG)
物質名だけ見ても、ピンとこないと思いますが、これらの鉱物は私たちの身の回りにある製品に多く使われているのです。
紛争鉱物が使われている身近な製品
ここからは、紛争鉱物が使用されている、主な製品を二種類に分けてご紹介します。
スマートフォンやパソコンなど、電子機器
例えば、日本の人口の90%以上が使用するスマートフォン。
また、リモートワークへの移行が著しく見られた2020年は、パソコンやタブレット端末など、様々な電子機器への需要が高まったと思います。そんな、日々の生活に欠かせない電子機器にも、タングステンやタンタルなど、レアメタルと呼ばれる紛争鉱物が使われています。
現状、脱紛争鉱物(コンフリクト・ミネラルフリー)を宣言しているブランドが増えてきていますが、未だに多くの企業がレアメタルの出先を明らかにしていないのが事実です。
さらに、これらの電子機器だけでなく、美しい輝きを見せるダイヤモンドにも、紛争鉱物が含まれているのです。
ダイヤモンドなど、ジュエリー
プレゼントやプロポーズの指輪など、高級品の代表であるようなダイヤモンドにも、紛争鉱物に分類される物があります。そんな紛争ダイヤモンドは、「血塗られたダイヤモンド」とも呼ばれます。
これは、ダイヤモンドの原石を密輸することによって、反政府勢力が資金を得ることができ、戦争を助長し、犠牲者を出してしまうため「血塗られた」と言われます。
紛争ダイヤモンドに関しては、「キンバリープロセス」という市場への出回りを阻止するための認証制度が設けられました。導入から、紛争ダイアモンドの流通量は減少しましたが、この認証制度にはいくつもの抜け道があると指摘されており、根本的解決には至っておりません。
では、このまま紛争ダイヤモンドなど、紛争鉱物による問題が続けば、どんな影響がでてしまうのでしょうか?
続いて、紛争鉱物が社会にもたらす悪影響について、解説いたします。
紛争地域への悪影響
紛争鉱物の需要を維持することは、紛争地域や原産地へ悪影響をもたらします。
問題視されている影響は、大きく分けて以下の二点です。
- 紛争を長期化させる原因であること
- 採掘のプロセスにおける非人道的行為
紛争を助長する紛争鉱物
まず、紛争鉱物が反政府勢力の手に入ると、外貨獲得のために鉱物が輸出され、そこから得た資金が、勢力拡大の原因になってしまいます。資金で新たに武器を調達することによって、反政府勢力を鎮静することが厳しくなり、結果的に紛争の長期化を引き起こします。
紛争鉱物の主な原産地として知られる、コンゴ共和国が資源大国なのに最貧国とよばれる理由が、紛争の長期化なのです。
非人道的行為が多発する採掘現場
また、採掘現場では、非人道的な行為が行われています。
強制労働
コンゴ共和国では、反政府勢力が無実の現地住民を拉致し、過酷な採掘現場に送り込んでいるのが現状です。
児童労働
拉致された労働者には、児童も含まれ、なんと7歳の子供さえも鉱山での採掘作業をしたり、見張りのために銃をもたされたり、といった例は珍しくないそうです。
極低賃金
拉致された子供や、孤児、元こども兵が危険な採掘現場で働いても、1日で稼げる額は100円にも満たないと言われています。
強姦
紛争が長期化することによって、コンゴ兵士による女性への性暴力も後を絶ちません。周辺地域の女性を拉致し、集団レイプ事件も相次いで行われています。
劣悪な労働環境
さらに、不安定な採掘現場で過剰に労働させることで、数え切れないほどの犠牲者が出ています。
どうやって対策できる?これ以上被害を悪化させないために。
これらの悲惨な現状を根絶させるために、私たちには何ができるでしょうか。
次に、日常で意識できることをいくつかご紹介します。
スマートフォンやパソコンなど、電子機器をできるだけ長く使おう
まず、私たちにできることは、ひとつの電子機器を長期的に使用し、頻繁な買い換えを避けることです。これは、レアメタルの需要を下げることにつながり、紛争鉱物の供給を抑えることができます。
近年、スマートフォンやパソコンなどのモデルは早いスパンでアップデートされていますが、流行りに乗って買い替えたいという気持ちを抑えて、現時点で持っている製品を長く使ってみましょう。
紛争鉱物に加担しない、あるものを循環させるサービス2選
エシカルパソコン、ZERO PC
※ZERO PC公式サイトから引用
紛争鉱物などの、少ない資源を取り合うのではなく、循環させるという仕組みで紛争解決へ貢献するエシカルパソコン、ZERO PCを初めにご紹介します。
ZERO PCを選んで消費することは、下記の3点の貢献につながります。
- 紛争鉱物を循環させ、紛争や非人道的行為を解決
- 環境負荷を最小限に抑える
- 難民問題解決へ貢献
使用済みのPCを再生し、100%自然エネルギーの電力によって製造、プラスチックゼロの梱包材を利用することによって、環境負荷を抑えることを実現しています。
廃棄されたパソコンを再利用し、使えなくなった部品までもすべてリサイクルするエシカルパソコン「ZERO PC」。パソコンの買い替えを検討中の方には、ぜひおすすめしたいサービスです。
サブスクリプションサービス、みんなのスマホ
みんなのスマホは、スマホやタブレットをみんなでシェアする、サブスクリプション型のサービスです。
中古スマホ市場を拡大させることによって、新品の製品に使われる紛争鉱物を減らすことができます。また、「必要な人に適正な価格で」スマートフォンやタブレットを提供しているみんなのスマホは、家計の負担を減らし、デジタル格差から派生する教育格差の解決への貢献にも繋がります。
最新版に買い替えたいという強いこだわりはないけれど、使用中のスマートフォンの寿命が不安だという方に、ぜひおすすめのサービスです。
エシカルジュエリーを選択することで、血塗られたダイヤモンドを避けよう
もうひとつ、エシカルジュエリーとよばれるアクセサリーを積極的に購入することも、紛争鉱物による問題解決へとつながります。
エシカルジュエリーとは、製造の過程に搾取や非人道的行為の背景がない、倫理的につくられたジュエリーのこと。例えば、天然ダイヤモンドとほとんど同じ成分をもった、人工ダイヤモンドを扱っているブランドを選択することが挙げられます。
また、エシカルジュエリーブランドは、環境にも配慮した製造方法を取り入れている場合が多いため、人にも環境にも優しい消費に繋がります。
しかし、どのアクセサリーブランドがエシカルジュエリーを扱っているのか、わからない方が多いと思います。
そのため、こちらの記事では2つのブランドを厳選し、ご紹介いたします。
エシカルジュエリーブランド2選
PRMAL(プライマル)
※プライマル公式サイトから引用
地球環境や人道の面でもやさしい、ラボグラウンダイヤモンドという、人工ダイヤモンドを採用し、未来につながるエシカルジュエリーを提供するブランド「PRMAL」。
まさに、紛争鉱物の問題に直結している、製造過程の不透明さを解決するために、合成ダイヤモンドを自ら製造、販売することで、販売にかかわる全てをコントロールしています。
合成という響きは、天然ダイヤモンドより劣ってしまうという印象があるかもしれません。しかし、天然ダイヤモンドと同じ成分で構成されたPRMALのダイヤモンドは、不純物を含まないピュアで美しい輝きを放つのです。
GYPPHY(ジプフィー)
※ジプフィー公式サイトから引用
製造に関わる人々から、消費者まで、全ての人のハッピーをつくるという理念をもつGYPPHY。
エシカルダイヤモンドにこだわり、製造背景に搾取がないダイヤモンドを販売しています。また、合成ダイヤモンドを製造する際に排出されるCO2にも配慮をしており、地球に優しいジュエリーブランドとして注目されています。
こちらで紹介したジュエリーブランドを選んで、購入するということが、紛争ダイヤモンドの影響により苦しむ地域や人々を助けることに繋がります。
さいごに。
今回は、紛争鉱物の概要から、どのような製品に含まれているか、そして紛争鉱物がもたらす悪影響をご説明しました。
私たちの暮らしを豊かにしてくれる、スマートフォンやダイヤモンドの背景には、紛争地域の負の連鎖を助長してしまう原因が隠されていると、気づいていただけるきっかけになればと思います。
皆さんが日々の消費行動を見直すことは、とても小さな変化に見えるかもしれませんが、途上国の発展や幸せに繋がっているのです。
日常の豊かさを支えてくれるアイテムの、背景までを考えた消費をしてみるのはいかがでしょうか?
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。





