フードロスとは?612万トンの食料が捨てられている現実をご存知ですか?

フードロス

まだ食べられるにもかかわらず、廃棄される食品、フードロス。日本では、実に(1)年間612万トンものフードロスが発生していると言われています。
 
フードロスは、まだ食べられるものが捨てられるから「もったいない」だけではなく、社会構造や倫理上も深刻な問題です。
 
この記事では、フードロスに関する数字や原因などの情報を、事実をベースにまとめ、加えて最後にはフードロス問題に取り組むビジネスと、個人でできる取り組みも紹介しています。
 
読んでいただけたみなさん1人ひとりが、フードロスという問題を見つめ直し、明日から少しずつ、対策のアクションを取るきっかけになればと思います。
 
(1)参照:https://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/kankyoi/200414.html
 

フードロスとは?食品ロスや食品廃棄物との違い

前述の通り、フードロス(英語ではFood Waste)とは、本来食べられるにもかかわらずに廃棄される食品のことです。
 
似た言葉に食品ロスがありますが、フードロスと食品ロスは同じように使われます。
 
また同様に、食品廃棄物という言葉が存在しますが、農林水産省によれば、食べられない部分を含む食品廃棄を「食品廃棄物」、食べられるけど食べられずに廃棄される食品廃棄を「食品ロス」と分類しています。
 
3つの言葉の関係を表すと、食品廃棄物>フードロス=食品ロスとなります。
 

数字で見る、フードロスの現状

フードロスと聞いて、私たち消費者は、家庭での食べ残しをイメージすることが多いかと思います。確かに、家庭から出るフードロス(家庭系食品ロス)はフードロス全体の約46%(約284万トン)と、大量に発生しているのは事実です。
 
しかし実は、生産・加工・小売とサプライチェーンの上流にある過程においても、フードロスは大量に発生しています。(詳しくは後述)
 
また、上記は日本での数字ですが、地球全体でフードロスはどうなっているのか、全体感を知るためにも、世界と日本に分けてフードロスに関する数字や事実を紹介いたします。
 

世界のフードロス

  • 世界の食料廃棄量は13億トン
  • 人間の消費のために生産された食料の3分の1は毎年廃棄されている
  • 食品廃棄物のカーボンフットプリントは、年間で大気中に放出されるGHGのCO2換算で33億トンと推定
  • 14億ヘクタールの土地、つまり世界の農地面積の28%が、失われたり、無駄になったりしている食料を生産するために毎年使用されている

 
数字の出典:
http://www.fao.org/news/story/en/item/196402/icode/

 

日本のフードロス

  • 食品廃棄物は年間2,550万トン
  • このうち、まだ食べられるのに廃棄される食品、いわゆる「フードロス」は612万トン
  • 家庭から出るフードロスはそのうちの約46%の約284万トン
  • 日本の食料自給率はカロリーベースで38%
  • 国民1人当たりでは、お茶碗約1杯分(約136g)の食べ物が、毎日捨てられている
  • 日本のフードロスは、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食糧援助量(平成30年で年間約390万トン)の1.6倍に相当

 

数字の出典:
政府広報オンライン
日本の食品ロスの現状

 

フードロスの原因と問題とは?

フードロスの原因とは?
では、フードロスの原因はどこにあるのでしょうか?
 
先ほどもお伝えした通り、家庭から出るフードロスは全体の46%。残りの54%は生産・加工・小売の過程で発生しています。
 
例えば、生産の過程では、市場価格を維持するためにわざと捨てていたり、形が不揃いな野菜などは市場に出さずに廃棄されるとのこと。
 
また、加工から小売の過程では、3分の1ルールと言われる日本独自の商慣習が原因でフードロスが発生します。
 

日本独自の商慣習、3分の1ルールとは?

3分の1ルールとは、製造者(メーカー)と販売者(小売)と消費者が、賞味期限を3分の1ずつ分け合う考え方に基づく商慣習です。
 
仮に、あるお商品の賞味期限が6ヶ月だとすると、製造者は製造から2ヶ月(
6ヶ月の3分の1)以内に販売者に納品しないといけません。3分の1を過ぎてしまうと、小売店に拒否され、納品ができなくなります。
 
また、販売者は製造から4ヶ月をすぎると、棚からその商品を撤去し、返品します。
 
このようにして、まだ食べられるのに、ロスが出てしまう現状があるのです。
 
ちなみに、日本では3分の1ルールがありますが、諸外国でも同じような商慣習は存在します。ただ、日本の3分の1ルールほどは厳しくなく、製造者はそれだけゆとりがあります。
 
例えば、アメリカでは賞味期限全体の2分の1、イタリア・フランス・ベルギーなどでは3分の2、イギリスでは4分の3と、日本に比べて大きな余裕があるのです。
 

環境コストと倫理、SDGsに関して

これまで、フードロスに関して説明し、数字やその原因を解説してきました。では、一体このフードロスは、「もったいない」以外に一体何が問題なのでしょうか?
 
フードロスには、大きく分けて2つの問題があると考えています。
 

フードロスによる環境コスト

(2)国際連合食糧農業機関(FAO)によれば、仮にフードロスを国だと仮定した時に、フードロスによって排出される温室効果ガスは中国、アメリカに次いで世界3位の44億トンと言います。そして、そのフードロスを処分するのにかかっているお金は私たち納税者が支払っているのです。
 
また、ハンバーガー1個を捨てるのは、浴槽15杯分(約3000リットル)を捨てているのと同義とのこと。
 
これは仮想水(Virtual water)という考え方に基づいていて、食料を輸入している国が自国でその食料を生産する際に必要な水の量を計算した数値です。
 
日本のカロリーベースでの自給率が38%という事実を紹介しましたが、輸入した残りの62%の仮想水は、一説によると、800億立方メートルとも言われています。
 
上記の仮想水ですが、食べ物にどれくらいの量の水が使われているのかを計算する仮想水計算機を環境省が提供しているので、計算してみるのも面白いかもしれません。
 
(2)参照:http://www.fao.org/3/a-bb144e.pdf
 

エシカルな消費ではない

フードロスは環境コストもさることながら、倫理面でも好ましいとは言えません。
 
世界には、十分な食料供給量があるにもかかわらず、9人に1人が飢餓に苦しんでいます。数字にすると約8億2000万人、そしてその約94%はアジアとアフリカで起こっています。
 
一方で、世界の4人に1人は肥満など、食に関する生活習慣病にかかっているのも事実。
 
このように、食べたくても食べられない人がいる一方で、必要以上に食べ、食べられない分は廃棄する人がいて、これを食の不均衡と呼んだりもします。
 
倫理的な側面から考えれば、少なくとも先進国に住む人間としては、食の不均衡も念頭に置いて、フードロスをはじめ、食という問題に向き合うべきでは無いでしょうか。
 
参照:
World hunger is still not going down after three years and obesity is still growing – UN report

 

SDGsとフードロス

SDGsのイメージ
SDGsとは、国連サミットで採択された、持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。
 
SDGsは、17のゴール・169のターゲットから構成されているのですが、その12番目の「つくる責任 つかう責任」の中で、次の具体的な目標(ターゲット)があります。
 

12.3
2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。

 
このように、SDGsにおいてもフードロスは言及されており、世界全体で取り組むべき課題の1つだとされているのです。
 
また、フードロスが関与するのは、12番の「つくる責任 つかう責任」だけではなく、倫理的な側面でも言及した飢餓に関して言えば、2番目の「飢餓をゼロに」、3分の1ルールなどの緩和を通じて、フードロスを減らす取り組みは9番目の「産業と技術革新の基盤をつくろう」にも関連します。
 

いち消費者として、できること

ここまで、フードロスに関して様々なデータや事実を見てきました。少し重たい、良くないのはわかるけど、大きな問題すぎて、私が何か変えられることは無いのでは?と思われた方も多いのでは無いでしょうか?
 
もちろん、問題は大きく深刻で、一朝一夕で何か変わるものではありません。
 
しかし、「買い物は投票」という言葉があるように、自分のお金を自分の信じる企業や活動に投じること、また明日からより良い消費者になることはできます。そんな一人一人の小さな積み重ねが世の中を変える原動力になるのです。
 
ですから、小さな一歩かもしれませんが、次に紹介することを、まずはできることから実践しましょう。
 
食品ロス問題専門家の井出留美さんが本で紹介したものや、私たちが取り組んでいること、またはみんなの知恵を基に作成しています。
 

自宅にある食材と量を確認してから買い物にいく
買いすぎや重複して買い、結局食べきれずに廃棄することを防ぎます。
 
すぐに食べるものは手前(賞味期限が近いもの)から買う
3分の1ルールにあるように、賞味期限の残りの3分の1を過ぎると製造者に返品されてしまいます。返品起こる輸送コストや食品廃棄を防ぐ意味でも、すぐ食べるものに関しては賞味期限が近いものから買いましょう。
 
必要ないものは買わない
セールやまとめ買いで、ついつい必要のないものを買ってしまい、結局食べきれずに残してしまったことあるのではないでしょうか?期間限定や数量限定、まとめ買いなどに惑わされずに、必要な量だけ買いましょう。
 
食材を使い切る
しいたけの軸、大根の皮など、普段捨ててしまう部分も食べられないか、研究しましょう。
 
外食時に注文しすぎない
自分が食べられる以上の量を注文しないようにしましょう。ご飯は少なめ、量は半分で、など自分のキャパシティーに合わせて注文することをおすすめします。
 
注文したものは残さずに食べる
注文したら責任を持って食べましょう。食べられない場合は、持ち帰られるか聞いてみましょう。最近はテイクアウト文化も少し根付いたので、対応してくれるお店も増えてきました。

 

フードロス解決を支援するソーシャルビジネスやサービス

近年では、フードロス問題に取り組むビジネスや団体、自治体なども増えてきました。ここでは、その一部を紹介したいと思います。
 

アプリ

レストランなどの余剰食品とそれを必要としているユーザーをつなぎ合わせて、新たな価値を生み出しているアプリがいくつかあります。日本と海外両方のアプリをご紹介いたします。
 

TABETE

TABETEは、フードロスになりそうな食べ物と食べ手をつなぐことでフードロスを削減することを目指したアプリです。アプリ内では、このような食べ物を消費することをレスキューすると表現しています。
 
近くにある登録されているレストランの下記の情報がわかります。

  • レスキューまちの商品内容
  • 出品の理由
  • 取引可能時間
  • レスキュー価格

レストランは東京や大阪が多いですが、お住いの方はダウンロードしてみてはいかがでしょうか?
 

Reduce Go

Reduce Goはサブスクリプション型のプラットフォームで、月額1980円を払えば、1日に2回まで加盟店のメニューをテイクアウトできます。
 
定額制なので、うまく利用すればフードロスと食費の削減に繋がります。
 
加盟店は東京が中心なので、東京在住の方は試してみてはいかがでしょうか?
 

ResQ Club

続いては、フィンランド・ヘルシンキ発のフードロス削減アプリ、ResQ Club。近くのレストランのフードロスになりそうなメニューが割引価格でテイクアウトできます。
 
利用可能エリアはフィンランド全域とスウェーデンが中心です。北欧に行かれる方はぜひ試してみてはいかがでしょうか?
 

通販

ここでは通販を通じて、フードロス削減に取り組む事例をご紹介いたします。
 

HenoHeno

HenoHenoのフローズンフルーツ
HenoHenoは、特殊技術で冷凍されたナチュラルフローズンフルーツです。
 
本来食べられるのに、形がよくなかったり、余剰生産でフードロスになる食材を、特殊冷凍技術を用いて消費者に届けています。
 
国産の無添加フルーツで、安全なだけでなく、特殊冷凍をしているため鮮度・栄養・風味も損なわれてません。当社でも福利厚生の一環で導入していますが、本当に美味しいです。
 
家庭でも楽しめますし、当社のように福利厚生としてオフィスでの導入も可能ですので、興味がある方はぜひ、下記をご覧になってはいかがでしょうか。
 

もったいない市場

もったいない市場では、賞味期限間近、もしくは賞味期限が切れているけど安全に食べられる商品を割引価格で販売しています。
 
オランダから輸入した冷凍パンの詰め合わせセットなど、市場にあまり出回ってない商品もありますので、フードロス削減に貢献するだけではなく、商品選び自体も楽しめる通販です。
 

ロスゼロ

ロスゼロでは、生産や加工の過程で発生したフードロス予備軍を消費者や企業に販売しています。スペイン産のオリーブオイルが52%オフで販売されていたりと、珍しい商品も取り扱っているので、一度試してみてはいかがでしょうか。
 

実店舗の取り組み

アプリと通販の次は実店舗でフードロス削減に取り組んでいる活動をご紹介します。
 

ecoeat

ecoeatは、食品メーカーなどから廃棄予定の食品を仕入れて、一般の消費者に販売。その利益や仕入れた食品で福祉施設や生活に困っている方へ寄付するNPO法人日本もったいないセンターの活動です。
 
大阪を中心に店舗を構えていますが、東京の町田にも1店舗あります。
 
フードロスを防げるだけではなく、困っている誰かのため使われる資金になるので、お近くにお住いの方は、一度訪れてみてはいかがでしょうか。
 

フードバンク

フードバンクとは、まだ食べられるのに様々な理由によって廃棄となる食べ物を、それを必要としている人や団体に届ける活動や活動を行う団体のことを言います。
 
日本ではセカンドハーベスト・ジャパンが最大のフードバンク団体として知られています。
 

より深く学ぶために

この記事では、フードロスに関して、数字に基づいた事実やその原因、また取り組むべき対策に関してみてきました。知らなかったことや、これからもっと知りたいこと、または取り組んでいきたいことがあったのではないでしょうか?
 
一人でできることは小さいかもしれません。しかし、一人一人の力が重なればそれは大きな力となって、現状を変える原動力となります。ぜひ、できる範囲で何か始めてみることをおすすめいたします。
 
また、もっと詳しくフードロスに関して知りたい方は井出瑠美さんの『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』本を読んでみることをおすすめします。フードロスの現実や、明日から実践できることがより詳細に書かれているので、読んでみてはいかがでしょうか?
 
この記事が何か考えさせられたり、何か行動を変えるきっかけになれば幸いです。この記事が気に入った方はぜひ、SNSでシェアをしていただければと思います。それでは最後まで読んでいただきありがとうございました。 

               
ライター:Sohshi Yoshitaka
Ethical Choiceの事業責任者。2030年までに地球が持続可能になる土台を、ビジネスを通して作ることが現在のミッション。
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