【2024年最新】絶滅危惧種に指定されている22種類の有名な動物を一覧で紹介

気候変動

近年、絶滅の危機にある絶滅危惧種の数は、驚きのスピードで増加しています。

2024年現在、全世界に、42,100種以上も存在する絶滅危惧種。これは調査で確認された全ての生き物の27%が絶滅危惧種に指定されていることになります。また、その中には、動物園や水族館でよく見られる生き物も含まれています。増加する背景として挙げられるのは、自然界で淘汰されることだけでなく、人間の活動が大きく関与していること。

当記事では、その分類についてわかりやすく解説し、絶滅危惧種として分類されている13種と日本の9種、合計22種類を紹介。後半では、増加の背景とこれ以上の増加を防ぐ取り組みについてもご説明します。

 

絶滅危惧種(英語:endangered species)とは

絶滅危惧種とは、絶滅の危機に瀕している生物種のことです。 (1)IUCN(国際自然保護連合)によると、2024年現在、全世界にある42,100種以上が絶滅危惧種に該当すると言います。

 

絶滅危惧種が多い国ランキング

絶滅危惧種が多い国はどこになるのでしょうか。 外務省によれば、絶滅危惧種が多い国ランキングは以下の通り。右の数字は絶滅危惧種の数を表しています。

  • 1    マダガスカル    3,758
  • 2    エクアドル    2,623
  • 3    メキシコ    2,371
  • 4    ブラジル    2,216
  • 5    インドネシア    2,196
  • 6    マレーシア    2,071
  • 7    アメリカ合衆国(米国)    1,913
  • 8    オーストラリア    1,845
  • 9    コロンビア    1,665
  • 10    フィリピン    1,595
  • 日本 608

 

日本は上位10か国には入っていませんが、少なくない数の野生生物が絶滅の危機に瀕しているのは事実のようです。 ただ、絶滅危惧種と一括りにしてきましたが、ランクによって絶滅の危険度が異なります。絶滅危惧種は、個体数の減少状況などから危険度別に分類され、保全の優先順位がつけやすいように工夫されています。 (1)IUCNのレッドリスト https://www.iucnredlist.org/ja/

 

レッドリストと絶滅危惧種の3つのカテゴリー

絶滅危惧種はレッドリストと呼ばれるリストで管理され、絶滅の危険度によってランク分けされています。 ここでは、レッドリストと絶滅危険度のカテゴリーを解説します。

 

絶滅の危機にある野生生物の情報が載っているレッドリスト

レッドリストとは、絶滅の危機に瀕する野生動物をまとめたリストです。 世界的に知られるものは、IUCNが独自に発行する全世界の種についてまとめたレッドリストと、日本では環境省が国内の種の状況を調査した日本版のレッドリストがあります。

 

3つのカテゴリーと機関別(IUCN・環境省・WWF)の分類

絶滅危惧種は、絶滅の危機レベルに応じ3種類に分類されます。 絶滅危惧種3種類の名称は、IUCN、環境省、WWFの各機関で異なります。分類の基準も合わせ、わかりやすく分類しているのが下記の表です。

 

機関 絶滅危険度(中) 絶滅危険度(高) 絶滅危険度(極めて高い)
IUCN VU— Vulnerable (絶滅の危機が増大) EN – Endangered (絶滅の危機) CR – Critically Endangered (絶滅寸前)
環境省 絶滅危惧II類 絶滅危惧IB類 絶滅危惧IA類
WWF 危急種 絶滅危惧種 近絶滅種

各機関により名称は違いますが、3段階を選定する基準はほとんど同じです。また、これらの絶滅危惧種だけでなく、絶滅した動物として、絶滅種というカテゴリーもあります。 絶滅種とは、地球から姿を消した生き物を指します。絶滅種という言葉に付随して、絶滅動物という絶滅した動物を表す言葉もあります。 絶滅種絶滅動物についてわかりやすく説明している記事もあるので、ぜひ読んでみてください。

 

絶滅危惧種に指定されている世界の有名な動物13種とランクを紹介

絶滅危惧種は、人間にあまり知られていない生き物だけではありません。動物園に足を運べば見ることができる有名な動物も、絶滅危惧種に指定されているんです。 今回は、数多く存在する絶滅危惧種の中から、意外にも絶滅危惧種に指定されている有名な動物13種を紹介します。

  1. レッサーパンダ(EN)
  2. ワオキツネザル(EN)
  3. ホッキョクグマ(VU)
  4. アジアゾウ(EN)
  5. シロサイ(CR)
  6. チンパンジー(EN)
  7. モウコノウマ(EN)
  8. マレーバク(EN)
  9. ジャイアントパンダ(EN)
  10. ソデグロヅル(CR)
  11. エジプトリクガメ(CR)
  12. ラスティーパッチド・バンブルビー(CR)
  13. クロマグロ(VU)

それでは見ていきましょう!

 

レッサーパンダ

  • 哺乳類|レッサーパンダ科
  • EN|絶滅危惧種
  • ミャンマー北部からヒマラヤ南東部に生息
  • 密猟や生息地の減少が原因

日本では、動物園の直立するレッサーパンダが話題になったことがありますが、3世代以内に絶滅の危険性があります。

 

ワオキツネザル

ワオキツネザル

  • 哺乳類|キツネザル科
  • EN|絶滅危惧種
  • マダガスカル島南部
  • 森林の伐採や開発

通常、群れて生息するワオキツネザル。彼らが好む乾燥した疎林地帯が急速に消滅していることから、個体数が減っています。

 

ホッキョクグマ

ホッキョクグマ

  • 哺乳類|クマ科
  • VU|危急種
  • 北極圏
  • 地球温暖化による生息地域環境変容

ホッキョクグマは、気候変動へ対策が取られずに地球温暖化が進んでしまうと、2100年まで絶滅の恐れがあると予想されています。

 

アジアゾウ

絶滅危惧種のスマトラゾウ

  • 哺乳類|ゾウ科
  • EN|絶滅危惧種
  • 南アジアから東南アジア
  • 森林伐採、生息地減少

アジアゾウの主要な分布域が、インドや東南アジアなど、世界的に人口の多い地域に重なっており、急な人口増加と都市開発のために、アジアゾウは生息地を追われています。

 

シロサイ

シロサイの親子

  • 哺乳類|サイ科
  • CR|近絶滅種
  • アフリカ東南部
  • 密猟

シロサイの1種であるキタシロサイは、絶滅寸前の種。2018年には、キタシロサイのオスが絶滅しています。

 

チンパンジー

チンパンジー

  • 哺乳類|ヒト科
  • EN|絶滅危惧種
  • 西・中央アフリカ周辺
  • 食用を目的とした狩猟や、森林開発

テレビ番組などでも見かけるチンパンジーも、絶滅危惧種の1つ。動物園でもおなじみかもしれませんが、野生では個体の減少が進んでいます。

 

モウコノウマ

モウコノウマ

  • 哺乳類|ウマ科
  • EN|絶滅危惧種
  • モンゴル、ウクライナ
  • 開発や環境の変化

森林の開発が進行し、生息地の環境が変化することで、絶滅の危機にあるモウコノウマ。カリフォルニア州の動物園で、クローンを誕生させることに成功していますが、どのように種を守っていくのか、これからに注目です。

 

マレーバク

マレーバク

  • 哺乳類|バク科
  • EN|危機
  • ミャンマー南部からマレー半島、スマトラ島
  • 生息地の破壊

他の種とは違い、パンダのように白黒のツートンになっていることが特徴的なマレーバグ。水辺を好み、巧みに泳ぐバクです。

 

ジャイアントパンダ

ジャイアントパンダ

  • 哺乳類|クマ科
  • VU|危急種
  • 中国中西部やチベット東部
  • 生息環境の変容

愛らしいフォルムから、人気者の動物パンダ。主に、中国に生息するパンダたちは、森林部分の開発などで、生息する環境が変化していることから、個体数が減少しています。

 

ソデグロヅル

ソデグロヅル

  • 鳥類|ツル科
  • CR|近絶滅種
  • ロシア南東部やシベリア中北部辺り
  • 繁殖地の開発

2010年の時点で、世界に3000羽~3500羽しか残っていないとされていたソデグロヅル。ロシアから中国、そしてイランに渡る移動途中に狩猟されてしまうことや、休息地が減少していることで、個体数が減少しています。

 

エジプトリクガメ

エジプトリクガメ

  • は虫類|リクガメ科
  • CR|近絶滅種
  • イスラエル南部、エジプト北部、リビア北西部
  • 灌漑事業や過放牧による生息地の破壊、ペット用の乱獲

エジプトリクガメは、絶滅の深刻な危機にあります。かつて、先進国の人にとってカメをペットとして飼うのが流行し、多くのカメが取り引きされたことが、個体数を減少させた1つの要因です。

 

ラスティーパッチド・バンブルビー(マルハナバチ)

マルハナバチ

  • 昆虫類|ハチ目
  • CR|近絶滅種
  • 北アメリカ
  • 生息地減少、病気、寄生虫、殺虫剤、そして気候変動

ハチは、受粉を促すことからも生態系にとって重要な存在です。気候変動によって、生息地の環境が変わることが、個体数減少の1つの要因になっています。

 

クロマグロ

絶滅危惧種のクロマグロの写真

  • 魚類|マグロ族
  • VU|危急種
  • 太平洋の熱帯・温帯海域
  • 過剰漁獲

お寿司やお刺身、海鮮丼など、日本には海の幸を頂く文化が根付いています。しかし、産業化した漁業の影響で、ネタとして人気のマグロの1種「クロマグロ」は絶滅危惧種に指定されているんです。 上記で説明した絶滅危惧種は、一握りにすぎず、絶滅危惧種は年々増加しています。

 

日本に生息する9種類の絶滅危惧種

上記では世界各地から注目の絶滅危惧種をご紹介しましたが、日本国内の状況はどうなっているのでしょうか?今回は、環境省による2020年度のレッドリストを参考に、国内に生息する下記の絶滅危惧種9種類をご紹介します。

  1. イリオモテヤマネコ(CR)
  2. エゾナキウサギ(NT)
  3. ラッコ(CR)
  4. ジュゴン(CR)
  5. トド(NT)
  6. コウノトリ(CR)
  7. トキ(CR)
  8. ヤンバルクイナ(CR)
  9. ハヤブサ(VU)

動物園ではおなじみのあの動物まで、絶滅危惧種に指定されているので、意外性の高い動物もいるかもしれません。

 

イリオモテヤマネコ

日本の絶滅危惧種イリオモテヤマネコの写真

出典:イリオモテヤマネコとは | 西表野生生物保護センター

  • 哺乳類|ネコ科
  • 西表島に生息
  • CR|近絶滅種
  • 交通事故による個体数の減少が大きな要因

国の天然記念物に指定されているイリオモテヤマネコ。車社会が広がったことで、交通事故により命を落とすケースが増加し、個体数が減少しています。

 

エゾナキウサギ

日本の絶滅危惧種エゾナキウサギの写真

出典:氷河期の生き残り エゾナキウサギの冬支度 北海道の高山地帯 | 毎日新聞

  • 哺乳類|ウサギ科
  • 北海道の北見山地や大雪山系、夕張山地、日高山脈などに生息
  • NT|準絶滅危惧種
  • 19世紀後半の乱獲により個体数が減少

北海道の山地に生息するウサギ、エゾナキウサギ。かつて、エゾナキウサギの乱獲があったことから、その個体数を減少させています。

 

ラッコ

日本の絶滅危惧種ラッコの写真

出典:鳥羽水族館

  • 哺乳類|イタチ科
  • CR|近絶滅種
  • 北海道周辺の海域に生息
  • 数々の理由があるが、漁業における混獲などが原因で個体数が減少

愛らしい姿で、動物園でも人気のラッコ。漁業において、魚と一緒に混獲されることが原因で個体数が減少中です。

 

ジュゴン

国内の絶滅危惧種ジュゴン

出典:鳥羽水族館

  • 哺乳類|ジュゴン科
  • CR|近絶滅種
  • 沖縄や周辺の諸島など、南西部の海域に生息
  • 漁業が影響し、個体数が減少

人魚姫のモデルとなったとも言われるジュゴン。ジュゴンもまた、漁業の影響で個体数が減少しています。

 

トド

北海道周辺で害獣と扱われる絶滅危惧種トド

出典:トド|生き物紹介|アクアマリンふくしま

  • 哺乳類|アシカ科
  • NT|準絶滅危惧種
  • 北海道周辺の海域に生息
  • 漁業関係者から有害鳥獣とされ、駆除されたことが個体数減少の一因

北海道周辺の海など、比較的寒い地域に生息するトド。漁業関係者から、有害な鳥獣だと目をつけられ、大規模な駆除があったことで準絶滅危惧種となっています。

 

コウノトリ

日本の絶滅危惧種コウノトリ

出典:コウノトリの日本の本場?! 兵庫県豊岡市で出会う絶滅危惧種の鳥

  • 鳥類|コウノトリ科
  • CR|近絶滅種
  • 日本各地を周遊
  • 乱獲・生息地周辺の森林伐採・毒性の強い農薬の使用などが個体数減少の原因

コウノトリは、明治時代に狩猟が解禁されたことを堺に、個体数が減少しました。コウノトリと生態系を守るために、日本では野生繁殖を促す試みが実施され、2020年には野生個体が200羽に達しています。

 

トキ

新潟が拠点の絶滅危惧種トキ

出典:展示鳥類剥製(トキ) – 新潟県ホームページ

  • 鳥類|トキ科
  • CR|深刻な危機
  • 新潟を中心に各地を周遊
  • 乱獲や森林伐採、農地減少、農薬の使用などが個体数減少の原因

トキは、野生には個体が残っていないとされ、レッドリストでは「野生絶滅」に分類されていました。しかし、人工的な繁殖により、野生の「絶滅種」から「絶滅危惧種」へと改善されています。このような改善は、異例のことです。

 

ヤンバルクイナ

沖縄周辺に生息する絶滅危惧種、ヤンバルクイナ

出典:環境省ホームページ

  • 鳥類|クイナ科
  • CR|近絶滅種
  • 沖縄島に生息
  • 外来種マングースとノネコによる捕食で減少

ヤンバルクイナは、沖縄本島に生息するユニークな鳥です。減少の原因としては、外来種マングースとノネコがヤンバルクイナを捕食したことが主に挙げられます。

 

ハヤブサ

日本の絶滅危惧種ハヤブサ

出典:ハヤブサ | 鳥の図鑑

  • 鳥類|ハヤブサ科
  • VU|危急種
  • 全国を周遊
  • 開発による生息地減少が個体数を減らす原因

都市での開発によって、生息地が減少し、ハヤブサの個体数も減少中。ハヤブサの巣が多く見られる営巣地にて、珍しいからと長く撮影行動をすることが、繁殖の妨害となっています。

 

絶滅危惧種が増加する原因

それぞれの説明として取り上げたように、絶滅危惧種が個体数を減少させてしまう理由は、主に下記の5つです。

  • 森林伐採や開発
  • 生息地の汚染
  • らん獲や密猟
  • 外来種の持ち込み
  • 地球温暖化

いずれの理由も、人間による自然界での活動が大きな原因となっています。そもそもなぜ、絶滅危惧種を守るべきなのでしょうか。

絶滅危惧種を守るべきなのは、生態系は1つ1つの種が関係し合って成り立っていて、1種を守ることこそが、環境を保護することに繋がるからです。
そのため、絶滅の危機に瀕する生き物の状況を放っておくと、種の絶滅を招いてしまい、生態系全体をも変えてしまうことに。

また、私たち人間の生活は生態系があるからこそ成り立っているものであるため、本来生態系から享受していた恩恵が消えるリスクもあります。
種の個体数が減少し、絶滅種または絶滅危惧種となってしまう理由については、こちらの記事で詳しくご説明しています。

 

生物多様性を保護するための対策

このような現状に対して、私たちにできることは、絶滅危惧種を保護し、生態系を持続可能なものにするということ。では、世界ではどのような取り組みが行われているのでしょうか。

 

環境保全に繋がるSDGsゴール

SDGsでも保護活動が進む絶滅危惧種
国連において、2030年を目標に持続可能な社会を目指すためにつくられた17のゴールがSDGs(持続可能な開発目標)と呼ばれています。
SDGsの中で定められている、海と陸、それぞれの豊かさを守るためのゴール。国際社会が重要視している課題の1つとして、生き物の存続を守っていくことも含まれているのです。

 

ゴール14「海の豊かさを守ろう」

まず、ゴール14は「海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する」ことによって海の豊かさを守る目的で定められています。

例えば、海洋ゴミを削減したり、海に流れる有害物質を制限したりすることで、海洋汚染を防止、改善することができるといった内容です。その他のターゲットとして挙げられるターゲットとしては、漁業にまつわるものだけでなく、海の生態系全体を保護するものなど。

日々の生活では海の豊かさまで意識することは難しいかもしれませんが、海のエコラベルとも呼ばれる、MSC認証®マークがついている商品を購入する、などのアクションで私たちもゴール14に貢献することができます。

 

ゴール15 「陸の豊かさを守ろう」

陸上の豊さに注目したゴール15は、「陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図ること」を目的としたものです。

絶滅危惧種が増える理由として、森林伐採や生息地環境の変化などが挙げられますが、陸の豊かさを守ることはこれらの現状を改善することに繋がります。

木材を供給するため、食料を栽培するための開拓のためなど、様々な理由で減少している自然を取り戻そうとするのが、ゴール15です。
ゴール15に貢献できる私たちの行動としては、森を守るラベル、FSC®認証マークがついた製品を消費するというアクションがあります。

FSC認証®マークについてはこちらの記事へどうぞ。

SDGs以外にも、国際社会の取り決めとして自然を守っていく活動があり、今回は中でも有名な2つの国際条約をご紹介します。

 

野生動物を守る国際条約

国際社会が決める水湿地を守る条約
絶滅危惧種が増加する原因である、生息地の減少と汚染、そして密猟のそれぞれを解決するために定められたのが、2つの条約です。
生息地保護のためにラムサール条約が、密猟・密輸防止のためにワシントン条約があります。

 

水鳥を守るラムサール条約

主に、水鳥などが生息する、水湿地を保全する目的で取り決められたのがラムサール条約。正式名称は、「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」です。

ラムサール条約は、下記の3つの柱をベースに成り立っています。

  • 保全・再生
  • ワイズユース(賢明な利用)
  • 交流・学習

水湿地を守り、賢く使うだけでなく、学習まで進むことによって持続可能な自然を目指すものです。
具体的には、国際的に重要な役割を果たしていると判断された水湿地がラムサール条約に登録され、国際協力の元で保全活動が行われます。

 

野生動植物を守るワシントン条約

次にご説明するのは、絶滅のおそれがある野生動植物の取引を禁止する、ワシントン条約。正式名称は、「滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」です。

絶滅のおそれのある野生動植物の保護をはかることを目的とするワシントン条約は、過度な動物利用を防ぐ働きをします。例えば、象牙やトラの骨、サイ角がワシントン条約の規制対象。

象牙やサイ角は中国やベトナムなど一部の地域で貴重なものであると信じられていて、高値で取引されています。これらのアイテムで利益をあげようと、ワシントン条約で密輸・密猟が制限される前の1960年代にアフリカ各地で大規模な密猟が起こってしまいました。

主にアフリカに生息するゾウやトラ、サイの数が著しく減少した状況を受け、ワシントン条約が締結されたという背景があります。

 

法人による支援活動

 

SAVE THE RED LIST PROJECT

絶滅危惧種を守る取り組み

出典:Save The RED LIST Project

写真展を通して絶滅危惧種の現状を伝えることで、環境保全について考えるきっかけを提供する目的でSAVE THE RED LIST PROJECTは行われています。

全国各地で開催されている、「まもりたい まもるべき生きものたち」という写真展がプロジェクトの1つです。他にも、日本の絶滅危惧種の1つであるアマミノクロウサギを取り上げ、保護啓発ムービーを制作、公開しています。

寄付や実際の保護活動の前に、より多くの人に絶滅危惧種の現状を伝えるという思いが込められたプロジェクトです。

 

LUSHと日本自然保護協会の協力

イギリスの化粧品会社であるLUSHと日本自然保護協会の協力のもとで、絶滅危惧種のサシバを保護するために、国産米を使用した琉球泡盛を原料とする化粧品・保湿クリームを共同で開発、販売しています。

日本の絶滅危惧種であるサシバを守るために、繁殖地である田んぼを保全する取り組みです。サシバの繁殖地である栃木県市貝町の国産米を原料とする泡盛が化粧品の原材料として使われています。

国産米を原料とする泡盛を積極的に使用することで、栃木県の田んぼを繁栄させることができ、サシバの種自体の存続につながるという取り組みです。

上記の例のように、団体や企業が率先して絶滅危惧種を保護するための取り組みが行われています。

 

絶滅危惧種を守るために、私たちができること

絶滅危惧種を守ることは、生態系を守ること。生態系を守り、引き継いでいくからこそ、豊かな自然と暮らしを未来世代に残すことができます。ここまでご紹介したように、絶滅危惧種を絶滅させないために、国際機関や企業などがさまざま活動中。

それでは、私たちには何ができるのでしょうか?

こちらでは、絶滅危惧種を守り、豊かな自然を残すために私たちができることを3つご紹介します。

 

動物の一部に由来する商品を買わない

象牙やサイ角、珍しい動物皮など、希少な動物由来の素材を使用した商品を購入しないことも、そのような商品への需要を減らし、商業用に種が乱獲されることを防ぐ方法の1つ。

知らず知らずのうちに、希少な種が使用されたお土産を買ってしまっている可能性もあるので、回避するための注意と知識が必要になります。ちなみに、ワシントン条約により特定の象牙や剥製、革製品は日本に持ち込めません。

 

FSC®認証やMSC®認証がついた製品を選ぶ

木材素材の製品で、持続可能な森林管理が行われているものについているFSC®︎認証マーク。また、持続可能で、豊かな海を守るためにつくられたMSC®︎認証は、海のエコラベルとも呼ばれるマークです。

FSC®認証やMSC®︎認証マークがついた商品を選ぶことで、森や海の環境を守ることができます。消費をする際には、これらのマークがついた製品を選んでみてください。

 

外来種は持ち込まない

絶滅種の絶滅理由でも度々ご説明したように、外来種が持ち込まれることで起こる生態系破壊を防ぐために、外来種を持ち込むことは避けましょう。

ペットとして迎え入れた外来種も、自然に放つと生態系を変化させてしまうリスクがあるので、外来種の扱いには気を付けたいところです。

 

最後に。生態系維持のために絶滅危惧種を守ろう

今回の記事では、絶滅の危機に瀕している「絶滅危惧種」について簡単にご説明しましたがいかがだったでしょうか?

絶滅危惧種を保護し、現状を改善していくことは、生態系も私たちの暮らしをも守ることにつながるということを気づいて頂けたら幸いです。
絶滅した種をもう1度見ることは不可能に近いですが、絶滅の危機にある生き物を絶滅から救うための努力は今でも間に合います。

まずは絶滅危惧種の現状を知り、環境にやさしいマーク、FSC®認証やMSC®認証、また保全活動を行う企業から購入するようにするなど、私たちでも取り入れやすい工夫をした生活をしてみませんか?

最後まで読んでいただきありがとうございました。

               
ライター:Ethical Choice編集部
Ethical Choice編集部です。エシカルな生活を送る知恵、サスティナビリティに関する取り組み、環境問題に対するソリューションを発信いたします。

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※本記事はエシカルな情報提供を目的としており、本記事内で紹介されている商品・サービス等の契約締結における代理や媒介、斡旋をするものではありません。また、商品・サービス等の成果を保証するものでもございません
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