化石賞とは?日本が受賞した理由と環境問題との関わりをご説明

気候変動

化石賞とは、気候変動対策で最も後ろ向きな行動や、発言をした国に贈られる不名誉な賞。

日本が、この不名誉である化石賞を過去に何度も受賞している事実を、ご存知でしたか?

NGOが環境後進国に与えるバッドジョーク賞とも呼ばれる化石賞ですが、いったいどんな背景や意味合いがあって授与されているのでしょうか。

今回の記事では、化石賞の内容と日本が受賞してしまった背景、受賞しないためにできることをご説明します。

 

化石賞とは

化石賞(英訳:Fossil Award)とは、地球温暖化対策に前向きな姿勢を見せない国に対して、皮肉を込めて授与される賞。

ラジー賞やダーウィン賞のように、不名誉な賞としてCAN(気候変動アクションネットワーク)というNGOによってCOP(気候変動枠組み条約締約国会議)にて授与されます。

化石というネーミングには、化石燃料という意味や、化石のような古い考え方を今まで続けている国という意味が込められています。

はじまりは、1999年にドイツで行われたCOP5(気候変動枠組み条約第5回締約国会議)で、それ以来、毎年COPのセレモニーの一環として、化石賞が授与されています。

 

歴代受賞国のほとんどが経済大国

経済大国が化石賞を受賞し続ける

化石賞を受賞している歴代の国は、オーストラリア、ロシア、カナダ、サウジアラビア、日本、そしてアメリカと経済大国がほとんど。

日本は、初めて授与が行われた1999年のCOP5を皮切りに、2022年に行われたCOP27まで何度も化石賞を受賞しています。

また、日本のように化石賞常連国であるのが、アメリカです。アメリカは、世界で化石賞を最も多く授与されている国であり、COP27では今世紀の化石賞(Fossile of the century)が与えられています。

さらに、過去にアメリカは1日で3回分の化石賞を受賞するなどもしていて、海外だけでなく国内からも皮肉を交えたコメントがSNS上で送られています。

経済大国というと、中国も含まれていそうなイメージがあるかもしれませんが、中国はCO2を排出しているにしても、脱炭素へ移行することに前向きであるため、受賞はしていません。

 

【COP27】2022年、日本は化石賞を受賞

2022年開催の気候変動対策の国連の会議「COP27」にて、日本は化石賞を受賞しました。

前回のCOP26では、国連のグレーテス事務総長をはじめとする世界の首脳たちが今回が「気温上昇を1.5度未満」に抑えるための重要な岐路だとし、石炭火力からの撤退を要請。

さらに、開催国であるイギリスのジョンソン首相は、先進国は2030年までに、そして途上国は2040年までに石炭火力の廃止と詳細な期限までを定めて、脱炭素の実現を迫りました。

しかし、日本は石炭火力の廃止と気温上昇を1.5度未満に抑える目標の両方に言及していません。かえって、今後の社会において火力発電は必要であり、火力発電のゼロエミッション化で貢献すると発言しました。

その結果、日本は温暖化対策に消極的だと判断され、化石賞を受賞しました。

以前も化石賞を受賞している日本。なぜ日本は化石賞を受賞し続けるのか、背景を確認していきましょう。

 

日本が化石賞を受賞し続ける理由

石炭火力発電、coal-plant

まず、日本は1999年と2013年に、いずれも同じ理由で化石賞を受賞しています。理由は下記の2つ。

  • 温室効果ガスの削減目標が非常に低かったから
  • 石炭火力発電所を積極的に海外展開する意思をみせたから

また、2019年のCOP25における日本受賞理由は、下記の2つ。

  • 経済産業大臣が石炭火力発電を継続理由する方針を示したから
  • 環境大臣が脱石炭や温室効果ガス削減に消極的な姿勢を示したから

このように、環境問題への対策が急がれている国際社会において、経済大国である日本があまり積極的な態度をみせていないことを理由に、化石賞が授与されているのです。

化石賞の受賞理由として、共通項であるのが石炭使用への対応ですが、ではなぜこれほどまで石炭消費を削減することが求められているのでしょうか。

ここからは、脱石炭が求められているその背景についてご説明します。

 

脱石炭社会の必要性

Coal Japan(石炭の日本)とも呼ばれてしまう日本は、石炭を使用することへの危機感がエコ先進国と呼ばれる北欧地域より薄いことが現実。

世界的に脱石炭の流れが見られるのは、このまま石炭を使い続けることに大きなリスクがあるからなんです。

  • 膨大なCO2を排出する石炭火力発電
  • CO2以外にも有害な物質を排出

上記で述べたように、例えば石炭火力発電を続けることは、大気汚染や気候変動などの深刻化の要因になってしまいます。

また、2021年のアースオーバーシュートデーが去年より24日も早まったことから、見てとれるのではないでしょうか。

 

パリ協定など、地球温暖化対策に向けたCO2排出量を世界規模で削減しようとする動きが見られる中、石炭に頼った経済活動を続けてしまっている日本は、脱石炭社会からほど遠いと世界的に認識されてしまっています。

地球温暖化についての詳しい記事は、こちらからどうぞ。

また、日本の石炭依存は、実は国内だけでなく、海外へも影響しています。

次では、化石賞で指摘されている考えを変えないまま、日本企業が海外で活動を行うことで起こっている事例をご説明します。

 

石炭火力発電によって壊される地域コミュニティ

石炭火力発電

日本企業が、インドネシアのジャワ島で進める石炭火力発電事業は、パリ協定で定められた石炭削減目標と一致しないだけではなく、地域コミュニティを破壊してしまっていると指摘されています。(1)

石炭発電事業は、発展途上国において、日本企業が供給過剰といわれるほどの電力を発電できる発電所を建築、運営しているという点で問題視されています。

また、石炭火力発電を運営することは途上国に現地の大気汚染問題に繋がってしまうだけではなく、元々は漁業の町であったコミュニティから立ち退きを命じられた人々の生活が壊してしまう要因の1つ。

このように、石炭への問題意識が国内で高まらないままであることは、世界から皮肉の意味を込められて化石賞が授与されるだけではなく、知らぬ間に途上国へ影響をもたらしかねません。

日本の商社がインドネシアでの石炭火力発電事業から続々と撤退するなど、状況が回復する兆しが見えていますが、これからの動向に一層期待が集まります。

脱炭素を目指す仮定で、化石賞の受賞経験がないいわゆる環境先進国では、どのようなことが取り組まれているのでしょうか。環境保護活動家のグレタさんでもおなじみ、スウェーデンの事例を見ていきましょう。

(1)住民は猛反対――石炭をめぐる日本とインドネシアの「遠くて近い」問題

 

化石賞と最も遠い国スウェーデンの取り組み

環境先進国であるスウェーデンの例

photo by Linus Mimietz on unsplash

ドイツの国際NGO、ジャーマンウォッチによって発表された気候変動パフォーマンスインデックスによると、スウェーデンが世界トップに選ばれました。(2)

このインデックスは、温室効果ガス排出量、再生可能エネルギー、エネルギー使用、温暖化対策の4つの項目を基準に判断されます。つまり、地球温暖化対策にどの程度貢献しているかを評価したインデックスです。

これによって世界トップに輝いたスウェーデンは、2020年4月に石炭フリーの国になることを宣言しました。

首都ストックホルムに位置する、ヴァータベルケット発電所を最後とし、全ての発電所を閉鎖したスウェーデン。このたった1つの発電所を閉鎖しただけで、年間40万トンものCO2排出量が削減される見込みです。

このように、EUの国はすでに3か国が石炭フリーを宣言しています。この流れで、世界的に脱石炭を目指す傾向が見られるため、日本社会にも何らかの対応が迫られていくことでしょう。

(2)【国際】58ヶ国・地域の気候変動対策ランキング、日本は48番目。ジャーマンウォッチCCPI2021年版

 

石炭フリーのために私たちができること

これまでの化石賞授与理由は、環境大臣や経済大臣など、日本を代表する政治家の対応を受けたものが多くありました。

しかし、自分たちがコントロールできない範囲の話だけではないんです。

例えば、省エネや再生可能エネルギー使用という表示がある商品やサービスを積極的に消費することは、自分たちができるアクション。

電気自動車や、太陽光発電など、これらの普及率が上がることで石炭火力発電の供給を削減することができます。

多くの消費者が石炭フリーのものを選ぶことで、企業が変わり、日本社会もクリーンエネルギーにシフトすることができるでしょう。

 

最後に。化石賞を受賞しないために

当記事では、一見名誉ある賞のような化石賞についてから、化石賞授与にある背景までご説明しましたが、いかがだったでしょうか。

この記事で、化石賞は決して名誉な賞ではなく、日本が行う石炭削減の努力が極めて少ないと評価されている事実を知ってもらえたらと思います。

実は、2014年のCOP20にて、日本は条件があったものの、初の宝石賞を受賞しています。宝石賞とは、国連気候変動会議で、国際交渉に希望の光をもたらした国に贈られる賞。

このように、これから前向きな姿勢を見せることで、日本も環境面で世界に貢献できる国に近づけるでしょう。

そして、ご紹介したように、再生可能エネルギーや省エネを意識しながら生活を送ることが大きな変化につながるので、皆さんも1度ライフスタイルを考えてみてはいかがでしょうか。

環境を保護するために、私たちができる12の取り組みをこちらの記事でまとめています。

エコな生活のためにできる12のことをまとめた記事

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

               
ライター:Ethical Choice編集部
Ethical Choice編集部です。エシカルな生活を送る知恵、サスティナビリティに関する取り組み、環境問題に対するソリューションを発信いたします。

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