エコロジカルフットプリントとは?あなたの暮らしは地球何個分?

サステナブル

環境問題やSDGsの文脈でよく聞く単語にエコロジカルフットプリントがあります。それに付随して、『地球を〇個分消費している』と表現されることも多く、環境問題やSDGsを語る上で、抑えておきたい用語の1つです。

当記事では、エコロジカルフットプリントの考え方に関して解説し、それを少しでも減らすためにできることをご紹介いたします。

 

エコロジカルフットプリントとは?

エコロジカルフットプリント(英: ecological footprint、EF)とは、人間の活動において、地球環境に掛けている負荷の大きさを図る指標です。

人類が使用する資源を再生産、及び廃棄物の浄化に必要な面積を表しています。

環境負荷をかける要因としては、CO2を始めとする温室効果ガスの排出や、森林伐採などによる資源の利用、魚を過剰に捕獲することなどがとなります。

 

エコロジカルフットプリントの計算・計測方法を解説

エコロジカルフットプリントは、人間の消費活動で生じた環境負荷を、それをまかなうために必要な面積に換算して計算します。

下記は、WWFが紹介している計算式です。

エコロジカルフットプリント
=人口×1人あたりの消費×生産・廃棄効率

引用元:地球一個分の暮らしの指標

 

世界と日本の現状とは?

自然豊かな大地と地球

エコロジカルフットプリントですが、経済的に発達している先進国の方が大きい傾向があります。

高所得国と低所得国の差は、3~4.5倍と言われていて、本来あるべきではない地球の資源という富の不平等な配分が行われているのが現実です。

ここでは、実際にどの国でエコロジカルフットプリントが高いのか、そして日本のエコロジカルフットプリント値を紹介します。

 

【世界の現状】国別ランキング

 

2022年のデータ
単位はグローバルヘクタール

国名 エコロジカルフットプリント
1 中国 5,275,845,240
2 アメリカ 2,523,857,230
3 インド 1,470,495,280
4 ロシア 839,504,944
5 ブラジル 549,442,429
6 日本 501,296,040
7 インドネシア 462,464,035
8 ドイツ 375,053,977
9 メキシコ 291,375,916
10 トルコ 289,719,004

参照:Global Footprint Network

国別で見てみると、やはりアメリカや中国をはじめとする超大国、急成長を遂げているインドやブラジル、ロシアの新興国が入ります。

そして、GDP世界3位の日本もエコロジカルフットプリントでは6位に入っており、環境に負荷をかけている国だということがわかります。

 

【世界の現状】1人当たりのエコロジカルフットプリント

 

2022年のデータ
単位はグローバルヘクタール

国名 1人あたりのエコロジカルフットプリント
1 ナウル共和国 161.3
2 アイスランド 23.5
3 キリバス 14.1
4 カタール 13.1
5 セーシェル 11.1
6 ルクセンブルク 11.0
7 マーシャル諸島 10.6
8 UAE 8.7
9 クウェート 8.6
10 バーレーン 8.2

参照:Global Footprint Network

一人当たりのエコロジカルフットプリントで見てみますと、上位には人口が少ない国が集結しました。

これは、人口が少ない分、相対的に一人当たりの値が大きくなるためだと考えられます。

 

【日本の現状】日本人と同じ生活をすると地球が2.9個必要

日本のエコロジカルフットプリントは2.9個

日本のエコロジカルフットプリントは4.61gha/人。世界中の人が日本人と同じ生活をすると考えた時に必要になる地球の個数は2.9個(1)だと言われています。

日本の環境負荷で最も多いのは二酸化炭素の排出(カーボンフットプリント)。

実に全体の76%を占めています。

カーボンフットプリントに関する詳しい記事はこちら

(1)https://ecofoot.jp/2022/04/21/about-ecofoot-in-japan/

バイオキャパシティとアースオーバーシュートデー

ここでは、エコロジカルフットプリントに関連して覚えておきたい用語・概念を2つ説明いたします。

バイオキャパシティ

エコロジカルフットプリントと対極の概念に、バイオキャパシティがあります。

バイオキャパシティとは、生物生産力とも呼ばれていて、自然が光合成によって提供してくれる生態系サービスのことです。

計算式は以下の通り。

バイオキャパシティ=面積×生物生産効率

このバイオキャパシティとエコロジカルフットプリントが同じであれば、地球1個分の生活を実現できていることになります。

しかし現実としては、1970年ごろからエコロジカルフットプリントの方が上回っていて、2014年時点では世界全体で消費している資源は地球1.7個分。日本に至っては、地球を2.9個分消費してしていると言われています。

 

毎年早まるアースオーバーシュートデー

地球のバイオキャパシティを1年の間で使い果たす日のことをアースオーバーシュートデーと呼びます。アースオーバーシュートデーの日からは、私たちは資源の借金をしているのと同じ状態です。

このアースオーバーシュートデーですが、実は毎年早まっており、2023年は8月2日にアースオーバーシュートデーが到来しました。

 

エコロジカルフットプリントを減らすための3本の矢

サスティナブルなライフスタイルで地球1個分の暮らしを取り戻す

環境保全団体のWWFでは、エコロジカルフットプリントを減らし、(*1)地球1個分の暮らしを実現するためのヒントとして、次の3本の矢を紹介しています。

  1. 環境負荷が少ない商品を選ぶこと
  2. 使用する資源の量を減らすこと
  3. 資源を有効活用する技術を新たに導入すること

1つずつ紹介していきます。

(*1)地球1個分の暮らしの指標

FSCやMSCなど環境負荷の少ない認証製品を選ぶ

MSCは水産物が、FSCは林産物が持続可能な方法で収穫されたことを示すエシカル認証マークです。

買い物は投票という言葉があるように、あなたの選択が未来を作ることを考えれば、FSCやMSCのような認証がある、環境負担が少ないものを選ぶことは、エコロジカルフットプリントを減らし、地球1個分の生活を実現するのに大きく貢献するでしょう。

エシカルな認証マークに関する記事はこちらをご覧ください。
9つのエシカル認証マークを紹介した記事

 

生産時に投入する資源の量や、廃棄物の量を減らす

地球が提供してくれる資源を、最低限の利用で最大の効果を出すのがもっとも望ましいものです。

例えば、食料廃棄を0に減らせば、食料のエコロジカルフットプリントは25%減らせるとも言われています。

このように、従来の資源を加工して商品にして、使用後は廃棄の直線型のモデルではなく、初めから資源を循環させることを前提としたサーキュラーエコノミーの考え方が重要だと考えます。

 

効率よく資源を利用するための技術革新を進める、または支援する

技術革新の例としては、再生可能エネルギーの導入や、AIの進歩による資源の最適化などが考えられます。

このような技術を開発する、もしくは利用するなどの支援を積極的にすることが、エコロジカルフットプリントを減らすために重要です。

 

さいごに。あなたの暮らしは地球何個分?

当記事では、エコロジカルフットプリントに関して解説し、地球1個分の生活を取り戻すための三本の矢を紹介しました。

記事を通して伝えたかったことは、私たちは地球の資源を必要以上に利用していて、このままではサスティナブル(持続可能)な場所ではなくなってしまうということです。

エコロジカルフットプリントを減らすことは、環境問題の改善に大きく関わってくることです。現在、人類が直面している深刻な環境問題に関しては、こちらの記事でまとめているので、ぜひ一読いただければと思います。
【環境問題】人類が直面する地球環境の12の問題をお伝えします。

そして、エコロジカルフットプリントを減らし、地球1個分の暮らしを再び取り戻すには、まず自分が地球何個分の暮らしをしているのかを理解する必要があります。WWFではシュミレーター
を提供しているので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

あなたの生活は地球何個分でしたか?

それでは、最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

               
ライター:Sohshi Yoshitaka
Ethical Choiceの初代編集長。2030年までに地球が持続可能になる土台を、ビジネスを通して作ることがミッション。

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※本記事はエシカルな情報提供を目的としており、本記事内で紹介されている商品・サービス等の契約締結における代理や媒介、斡旋をするものではありません。また、商品・サービス等の成果を保証するものでもございません
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