“Less is More”のデザイン哲学が、真に豊かな人生を見つけるヒントになる

サステナブル

建築やプロダクトデザインの世界で、”Less is More(レス イズ モア)”という言葉があります。

Less is Moreは、ミニマルなデザインや、シンプルなデザインを追求する時に大事になる考え方ですが、現代における私たちの生活においても重要になる考え方です。

よく、減らすことはいいことだ、と認識されている方もいますが、Less is Moreの本質は、ものを減らすこと自体にあるわけではありません。

Less is Moreの哲学で本当に伝えたいことは、一体なんなのでしょうか。

“Less is More”とは?

“Less is More”とは、20世紀の建築家、ミース・ファン・デル・ローエが残した、『少ない方が豊かである』こと意味する言葉です。

シンプルさを極限まで追求することで、真に美しく、豊かであるデザインや空間が生まれるという哲学が込められています。

この哲学は、建築のみならず、プロダクトデザインやWebデザインにおける引き算の美学や、ひいてはミニマルなライフスタイルを象徴する言葉としても使用されます。

また、有名な言葉に、「神は細部に宿る」を意味する”God is in the details”がありますが、こちらもミース・ファン・デル・ローエが残したものです。

「少ない方が豊かである」の哲学を体現したデザイン

レスイズモアを体現したデザイン

Less is Moreが体現されたデザインとしてあげられるのは、iPhoneや Macbookをはじめとするアップルの製品。

今でこそ見慣れたものになりましたが、iPhone発売当時は、そのミニマルなデザインに大きな衝撃が走りました。

また、実はLess is Moreの哲学は、「禅」や「侘び寂び」を大事にする日本の文化にも通ずるものがあります。一説によると、ミース・ファン・デル・ローエがLess is Moreを思いついたのは、日本庭園を見た時だとも言われているのです。

Less is Moreで真に伝えたいこと

ミニマルやシンプルというと、モノを減らすことに焦点が行きがちですが、”Less is More”はモノが少ないことがいいということを表した言葉ではないことには注意が必要です。

“Less is More”の真の意味は、『本当に必要な必要最低限のモノで、最大の効果を得る』というところにあります。

近年、ミニマルな生き方をするミニマリストが注目を集めていますが、「部屋に何もないからいい」とか、「服は3着しか持っていないからいい」という表面的な話ではありません。

どれだけモノを減らしても、”Less is Less”(少ないものは少ない)の状態、つまり何もないことに虚無感を覚えたり、満足しておらず我慢している状態だとしたら、何の意味もないということです。

そのため、”Less is More”というのは、”足を知ること”であったり、それで十分だと感じる心の持ち用が重要なのではないかと考えられます。

シンプルに生きる9つの習慣

レスイズモアをベースに、シンプルに豊かに生きるための工夫

Less is moreとは、単にモノを減らそうという考え方ではありません。では、Less is moreの考え方を日常に落とすと、どうなるのでしょうか。

少なくすることで、より明確に。
そして、少なくすることで、より多くを得ることができる。

ここからは、Less is moreの考えがベースとなる、9つの習慣をお伝えします。少なくするということは、実は「多い」結果を招くことがわかる例を厳選して集めました。

  1. モノを減らす = 広いスペースを楽しむ:Less stuff =More space
  2. 消費を減らす=貯金が増える:Less spending = More money
  3. SNSをほどほどに = 読書時間を確保:Less social media = More time to read
  4. 運転を減らす = 散歩を楽しむ:Less driving = More walking
  5. ストレスが減る = 長い睡眠を確保:Less stress = More sleep
  6. 過労を減らす = 賢く働く:Less working hard = More working smart
  7. ジャンクフードを減らす = 健康的な食品が増える:Less junk food = More healthy food
  8. 文句を減らす = 応援が増える:Less complaining = More encouraging
  9. 当たり前だと思わない = 感謝が増える:Less Ungratefulness = More gratitude

一息ついて、自分の身の回りを見渡してみる。片づけられる部分は、整理してみる。今あることに、感謝をしてみる。

9つあげたものは、今よりない(Less)状態に見えるかもしれませんが、実は心やあなたが満たされる結果を招いてくれるかもしれません。

ぜひ、今あるものを見つめて満足ができる、そんなLess is moreを生活に取り入れてみてくださいね。

世紀の転換期だから、Less is Moreの考え方が重要

シンプルでミニマルな生き方が求められる

Less is Moreの哲学が現代人にとって重要だとも言われていますが、それは”Less is More”の考え方が、気候変動をはじめ、持続可能性(サスティナビリティ)に関わる、世界の諸問題を解決する可能性があるメンタリティだからです。

持続可能性を支える1つの考え方に、資源を無駄に使わないことが挙げられます。

しかし、これまでの大量生産・大量消費の時代には、地球の資源が有限だということは、疎かにされてきた側面があるのではないでしょうか。

企業がモノを販売するために、大衆に対して、巧みに新しい価値観を問いかけ、その結果、どれだけモノがあっても満足感が得られない消費者を産みます。

そのサイクルの中で、本当は必要のないモノ、買ってもすぐに捨ててしまうモノを買ってしまう。何を買っても満足感が得られず、次はあれば欲しいと考えてしまう。

消費社会を象徴するショッピングバック

このような相互の関係にあったために、大量生産・大量消費は加速しました。その経済活動の結果、地球は気候変動という形で今は私たちに警鐘を鳴らそうとしているのではないかと思います。

だからこそ、”Less is More”の考え方が重要なんです。

足りていることを知ることで、物質的な豊かさではなく、精神的な豊かさを大事にでき、次々にモノが欲しいという状態からも脱却できます。

このような世紀の転換点にいる今だからこそ、”Less is More”の言葉にあるように、本当の意味での豊さを求める必要があるのではないでしょうか。

さいごに。

当記事では、建築やデザインの世界で使われる”Less is More”の言葉を取り上げ、ミニマルやシンプルなライフスタイルとの関連性を見てきました。

“Less is More”の本質は、モノを減らすこと自体にあるのではなく、足を知ることで精神的な豊かさを得ることです。

そして、その考え方は、大量生産・大量消費からの脱却を求められる現代の私たちにとっても非常に重要な考え方だと言えます。

それでは、最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

この記事が役に立った、面白いと思われた方は、ぜひシェアしていただければと思います。

               
ライター:Sohshi Yoshitaka
Ethical Choiceの初代編集長。2030年までに地球が持続可能になる土台を、ビジネスを通して作ることがミッション。

【免責事項】

※本記事に掲載の情報は、公的機関の情報に基づき可能な限り正確な情報を掲載しておりますが、情報の更新等により最新情報と異なる場合があります。

※本記事はエシカルな情報提供を目的としており、本記事内で紹介されている商品・サービス等の契約締結における代理や媒介、斡旋をするものではありません。また、商品・サービス等の成果を保証するものでもございません
クリップボードにコピーしました。