アグリテックとは?|急速に成長を遂げるテクノロジーが、食にまつわる地球の未来を救う

サスティナブル

近年、AIやドローンなど、テクノロジーの急速な発展によって、新たな領域として成長をみせる、アグリテック。
 
人口増加による食料不足が、世界規模で懸念されるなか、アグリテックは私たちの食にまつわる未来を救ってくれる、そんなテクノロジーになると話題を集めています。
 
実は、食や農業にまつわる課題への解決策としてだけでなく、地球を持続可能にする可能性をもつアグリテックとしても、期待が高まっているんです。
 
今回の記事では、アグリテックの概要から、背景にある農業の課題、アグリテックが持続可能にするモノ、活躍するアグリテック企業まで、ご紹介していきます。
 

アグリテックとは?

アグリテック(英:AgriTech)とは、アグリカルチャー(農業)テクノロジー(技術)をかけ合わせた造語です。
 
アグリテックは、現在、農業が抱える課題を、AI、IoT、ビッグデータ、ドローン、ブロックチェーンなどの最新技術によって解決を目指す、革新的なアイディアです。
 
これらのテクノロジーからなるアグリテックを用いて、農業の効率化、都市型農業、農業従事者の労働環境改善など、幅広い分野での活躍が期待されてます。
 

アグリテックが注目される背景

昨今、アグリテックが食の未来を救う存在である、と注目を集めるようになった背景には、農業における深刻な課題が浮き彫りになってきていることがあげられます。
 
世界的に懸念されているのが食料不足ですが、これは先進国である日本も決して例外ではありません。それでは、世界規模で懸念されている農業にまつわる課題から、国内で見られる問題まで、次にご説明します。
 

世界における農業の課題

世界的な課題を見ると、深刻な食料不足が予想されることや、安価に輸出を行うために搾取されてしまう労働者の問題への解決策として、アグリテックに期待が集まっていることがわかるでしょう。
 

深刻な食料不足の危機を救う

急を要す食料危機が迫っているからこそ、より少ないコストでより大きな供給を提供できる、アグリテックが注目されています。
 
30年後には、100億人近くまで増加すると予想されている世界人口ですが、それと共に深刻な食料不足に陥ることが懸念されていることをご存知でしょうか。
 
食料をめぐった、国際的な対立を生みかねない問題として食料不足は懸念されていますが、アグリテックの発展によって、安心安全な食料供給が期待されています。
 

農業における搾取をなくす

先進国が作物を安い価格で輸入するために、途上国の農業従事者は安い賃金で重労働をつづけるという現実が未だにあります。
 
また、自給自足のように見える国産の作物も、技能実習生という名目で来日した、途上国出身の若者の手によってつくられていることが多いのです。彼らは、日本人の労働者と比較して、6割程度の人件費で働いています。
 
このように、アグリテックが発達する以前、人間の力がどうしても必要とされる農業は、農業従事者に精神的・肉体的・金銭的負担を与えてしまうことがありました。
 
しかし、アグリテックの成長によって、最小限の労働力で農業がまかなわれ、農業の背景にある搾取を減らすことができる可能性が見出されました。
 

国内における農業の課題

はじめに世界規模の課題をご説明しましたが、農業や食料における課題が山積みであることは、日本も例外ではありません。例えば、日本国内では深刻な食料自給率の低下と、農業事業者の減少が指摘されています。この2点について、紐解いていきます。
 

アグリテックによる生産効率化で食料自給率を上げる

農林水産省は、2030年までに、積極的にアグリテックを日本農業界に導入することによって、農業や生産の効率化を目指すと発表しました。
 
日本の食料自給率は、半世紀前の1965年が73%だったことに比べ、2019には約半数の38%まで低下していることがわかっています。もし、なんらかの理由で海外からの食料輸入に頼れない状況になってしまった場合、日本は深刻な食料不足に陥ってしまうでしょう。
 
この最悪の想定を救ってくれる期待として、アグリテックの迅速な開発と導入が進められているのです。
 

重労働である農作業の省略化によって農業従事者の負担削減

アグリテックで、作業の簡略化、効率化をはかることによって、高齢者を含む農業従事者の負担を軽減できる見込みがあると言われています。
 
2019年の統計によると、日本の農業従事者の平均年齢は、67.0歳。さらに、65歳以上の従事者は、業界の人口の70%以上を占めています。
 
数字を見ただけでも、読み取ることができる、顕著な農業従事者の高齢化。いくら機械化が進んでいると言えど、高齢者には体力的に厳しい作業が多いのが農業界です。
 
しかし、アグリテックを導入することによって、従来行っていた作業の省略化が実現されました。
 
アグリテックを導入し、農業で働く人の負担を減らすことで、きつい、汚い、危険の3Kと呼ばれるネガティブなイメージが改善され、女性や若者が農業に関わりやすくなるというプラスな面もあります。
 
このように、日本国内だけをみても、様々な効果が期待できるアグリテック。ここからは、世界に視野を移した場合、アグリテックによるどんな効果が見込めるのかを見ていきます。
 
ここまででも、アグリテック多様な課題に対する解決策になることがお分かり頂けたと思います。
 
では、具体的にはどんなテクノロジーが開発されているのか、アグリテックの主要なテクノロジーを4つに分類し、解説します。
 

アグリテックの4つのテクノロジー

あぐりてっく
アグリテックのテクノロジーは下記の4つ。

  • AI / ビッグデータ
  • IoT
  • ブロックチェーン
  • ドローン

アグリテックを構成するテクノロジー4つを、ひとつずつ確認していきましょう。
 

AI / ビッグデータ

まず、労働者の農業スキルに関係なく、高い品質の作物を栽培、収穫することを可能にしたテクノロジーが、AIを用いて、ドローンセンサーなどで集めたビッグデータを分析すること。
 
これによって、ベテランだからこそわかる、農業のコツを情報として可視化、提供することができます。
 
例えば、農作物の害虫被害や病気の可能性、収穫時期の見極めなど、失敗しないための確実な成功例を、データ上で確認することが可能になりました。
 

IoT

IoT(Internet of Things)は、モノのインターネットという意味をもち、インターネットを経由することで、離れた場所にあるモノの状態を24時間管理できる技術です。
 
従来はマンパワーで行っていた在庫管理が、収穫した作物や、機材、機械などにセンサーを装着することによって、農場をパソコンひとつで簡単に管理できるようになるのです。
 

ブロックチェーン

ブロックチェーンのテクノロジーは、安心安全で透明なサプライチェーン構築のために役立っています。
 
モノが国境を越え、行き来する時代。複雑なサプライチェーンが増加したことにより、トレーサビリティ(追跡可能性)が不透明であることも増えてしまったことが事実。
 
しかし、ブロックチェーンを用いることによって、サプライチェーンをよりシンプルでトレーサビリティの高いものに改善することができます。
 

ドローン

従来は人間が行っていた農薬散布や種まきを、ドローンを導入することで上空から効率よく行うことができます。
 
さらに、ドローンの操縦スキルをもった農業従事者には、将来的なキャリアパスなども広がるために、人材育成面の希望まで秘めるテクノロジーです。
 
アグリテックは、上記4つのテクノロジーを特徴としてもつだけでなく、サスティナビリティの領域へも貢献が認められています。例えば、食、環境、サプライチェーンに関する持続可能性を高めてくれます。

この3点のサスティナビリティについて、次にご紹介します。
 

食、環境、サプライチェーンを持続可能にするアグリテック

サステナビリティ アグリテック 持続可能性
アグリテックが進歩することによって、様々な領域を持続可能にすることが見込まれています。

  • 環境
  • サプライチェーン

こちらでは、簡単に上記で挙げた3つの領域からご説明します。
 

アグリテックの発展によって、安定した食料供給を守ることができるため、食の領域において、持続可能性を向上することができます。
 
2050年までに、大幅な人口増加が予想される世界では、より少ないモノでより多くのモノを生み出すことができることが理想とされる状態。
 
農業にかかるコスト(お金や労働量)を最小限に抑えつつ、作物の生産と収穫量を増やすことを実現する可能性をアグリテックは十分に持っているといえます。
 

環境

環境に関して言うと、AIとビッグデータ分析のテクノロジーを使うことによって、大気条件と土壌状況を分析し、より効率的にエネルギーと資源を使用することができます。
 
現在、全世界のCO2排出量の4分の1を占めている農業。食料供給量を満たすことはもちろん必須ですが、CO2排出量をこのまま増加させてしまうことはベストな解決策ではありません。
 
この点で、アグリテックは環境面での持続可能性を守ってくれるのです。
 

サプライチェーン

先ほど、ブロックチェーンをご説明しましたが、サプライチェーンの透明化という点で、アグリテックはサプライチェーンを持続可能なものにする役割も果たしています。
 
サプライチェーンが不透明で複雑である場合、輸入した作物の背景に現地労働者の搾取があったり、現地農家に適切に対価が支払われていなかったり、課題は山積み。
 
しかし、アグリテックはスマートで安心安全なサプライチェーンを実現するため、サスティナビリティの貢献が認められています。
 
では、ここまでご紹介したテクノロジーからなるアグリテックを使って、どのようなサービスを提供している企業があるのでしょうか?
 
アグリテックは比較的に新しいテクノロジーのため、スタートアップ(新規立ち上げ)企業が業界には多く存在します。
 
最後に、アグリテック企業をいくつかご紹介いたします。
 

アグリテック分野で活躍する企業例

 

Fasal(インド)

ふぁさる、ファサル※Fasal公式サイトから引用
はじめにご紹介するアグリテック企業は、気候や害虫に左右されてしまう、農業の不安定な一面をAIとビッグデータを活用することで、解決に導くことを目指したインドの企業、Fasal(ファサル)です。
 
例えば、農薬をまくタイミングや、作物を収穫するタイミングなど、大抵はベテランの感覚に頼る判断ですが、Fasalによる信頼性のあるデータを基に決断することが可能になりました。
 
Fasalのアグリテックサービスにより、殺虫剤の使用量を従来の半分以下に抑えることができ、さらに、収穫量を1.4倍にまで増加させることができたという結果が報告されています。
 

Limakilo(インドネシア)

アグリテック indonesia スタートアップ べんちゃー
次にご紹介するのは、深刻な仲介人問題が問題視されていたインドネシアにおいて、救世主のようなスタートアップ企業として登場した、Limakilo(リマキロ)
 
アグリテックの中でも、ブロックチェーンのテクノロジーを駆使し、農業に関わるサプライチェーンの透明化/スマート化を実現した企業です。
 
Limakilloのサービスが普及する以前、農家と卸売りの間には仲介人が何人も存在し、仲介手数料がかさみ、農家が得られる利益は大変少ないものでした。
 
しかし、Limakiloのサービスが、農家と販売店を直接結ぶという変革を起こし、現地の農家が得る収入を守ったのです。
 

Aerobotics(南アフリカ)

Aeroboticsエロボティクス※Aerobotics公式サイトから引用
最後に、アフリカ発祥のアグリテック企業、Aerobotics(エロボティクス)について。
 
Aeroboticsは、ドローン衛星を使って集めたビッグデータを、AIで分析し、画像認識技術を通して快適な作物の品質管理を可能にするサービスを提供しています。
 
オンライン上で、全ての作物の健康状態を可視化できるという点が強みのアグリテックサービスです。
 
害虫や疫病など、見過ごしてしまうと腐食が広がってしまうリスクをあらかじめ防ぐことができるため、大規模な農場が多くあるアフリカ各国では、重宝されています。
 

さいごに。食糧難の未来を救う、アグリテックから目が離せない

当記事では、アグリテックの概要とアグリテックを駆使したスタートアップをいくつかご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
 
人口増加が止まらない社会において、将来起こり得ると言われている、深刻な食料不足を救える可能性を秘めたアグリテック。
 
アグリテックの背景にある、農業が抱える課題をご説明したように、このままの農業と消費を続けていると、食糧難の時代が来るでしょう。食料自給率が極めて低く、輸入に食料供給を頼っている日本も例外ではありません。
 
しかし、途上国でも有望なアグリテックのスタートアップ企業を数多く見ることができるため、今後もアグリテックの進化と発展から目が離せません。
 
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

               
ライター:Ayaka Sato
Ethical Choiceのインターン。自分のアクションで、地球のどこかの誰かが幸せになってくれる、そんな未来を描いて日々奮闘中。
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