アロマンティックとは?恋愛感情を抱かないセクシャリティを解説

サスティナブル

性の在り方は多種多様で、グラデーションのように様々なセクシャリティが存在します。
 
そして、LGBTやLGBTQIAに含まれるL(レズビアン)・G(ゲイ)・B(バイセクシャル)・T(トランスジェンダー)以外のセクシャリティがあまり知られていないのも事実。
 
理解がまだ広まっていないセクシャリティの例として挙げられるのが、アロマンティックやデミロマンティック、リスロマンティックなどです。この記事では、アロマンティックの意味や特徴を解説します。
 
アロマンティックを含むセクシャルマイノリティ(日本語:性的少数者)に関心がある方は、ぜひご覧ください。
 

アロマンティックの意味と特徴とは

 
アロマンティック(英語:aromantic)とは、他者に恋愛感情を抱かないセクシャリティのこと。グラデーションのように存在するセクシュアリティの1つです。
 
アロマンティックは、英語で「恋愛の、恋愛感情を示す人」を意味する「romantic(ロマンティック)」の頭に、打ち消しの意味を持つ「A」をつけたもので、「Aロマンティック」と表記されることもあります。
 
アロマンティックの周知・教育・支援を行う非営利団体のAUREAは、アロマンティックを次のように定義しています(1)
 
「恋愛指向の一つで、恋愛経験が社会の規範的期待から切り離されている人のこと。一般的には、恋愛的な魅力をほとんど、またはまったく感じないだけでなく、恋愛に嫌悪感を抱いたり恋愛関係に興味がなかったりする」
 
上記のように、アロマンティックは恋愛感情の有無によって定義されるため、性的欲求を抱く場合もあるのが特徴です。
 
また、アロマンティックには、恋愛関係も性的関係もないパートナー探しをしたいと考える人もいます。
 
(1)出典:AUREA FAQ
 

アロマンティックフラッグ

 

 
セクシャルマイノリティと聞くと、LGBTQIAを象徴するレインボーフラッグをイメージする方が多いかもしれません。
 
しかし、旗は一つではなく、それぞれのセクシャリティを象徴する旗が存在します。
 
アロマンティックフラッグは、緑・黄緑・白・灰色・黒の5本の横じまが入ったもの。緑は恋愛を象徴する赤の反対色で、灰色と黒はセクシャリティの多様性を表現するといわれています。
 
また、アロマンティックフラッグと比べるとあまり知られていないのが、アロマンティックの象徴とされるホワイトリング(白色の指輪)です。一般的には、左手中指につけるアロマンティックが多いとされています。
 

アセクシャルとの違い

 
様々なセクシャリティが存在するため、なかにはそれぞれの違いが広く認識されていないものもあります。そして、アロマンティックと混同されがちなセクシャリティが「アセクシャル(アセクシュアル)」です。
 
アセクシャルとは、他人に対して性的欲求をまったく抱かない、もしくは抱くことが少ないセクシャリティのこと。日本では「無性愛者」と呼ばれることもあります。
 
LGBTQIAをもとに考えると「A」にあたるのがアセクシャルで、日本では、恋愛感情も性的欲求も抱かないことをアセクシャルと定義している場合も多いです。
 
一方でアロマンティックは、性的欲求を抱く場合もあるのが特徴。
 
つまり、「性的欲求を抱くかどうか」がアロマンティックとアセクシャルの違いです。
 
また、電通は2020年にセクシャルマイノリティに関する調査を実施しました。
 
この調査によると、アンケート対象となった20~59歳の個人6,240人のうち、セクシャルマイノリティを自認する人の割合は8.9%、そのなかでもアロマンティック・アセクシャルを自認する人の割合は0.81%だったとのことです(2)
 
上記の結果から、アロマンティックやアセクシャルを自認している人が一定数存在することは事実です。
 
アセクシャルの意味や特徴は以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご参照ください。
 
アセクシャルを詳細に解説した記事
 
(2)出典:電通、「LGBTQ+調査2020」を実施
 

「恋愛感情」と「性的欲求」は異なる

 

 
ここまでの解説で、「恋愛感情」と「性的欲求」という言葉が頻繁に出てきましたが、そもそもこの2つはどのような感情なのでしょうか。
 
一般的に、恋愛感情は「他者に愛着を感じること、感情的に魅力を感じること」、性的欲求は「他者に強い関心を抱き、性的興奮を掻き立てられること」とされています。
 
ここで言えるのは、何をもって恋愛感情や性的欲求を抱いたと判断するのかは主観的なもので、明確な定義はないということ。ただ、恋愛感情と性的欲求が異なる感情であることは理解しなくてはなりません。
 
なぜなら、恋愛感情と性的欲求の両方を抱く人ももちろんいますが、恋愛感情と性的欲求のどちらかを抱いてどちらかを抱かない人もいるからです。
 
その例として挙げられるのが、今回解説している、恋愛感情を抱かないものの性的欲求は抱きうるアロマンティック。そのほかの例として、恋愛感情を抱くものの性的欲求を抱かない「ノンセクシャル(ノンセクシュアル)」が挙げられます。
 
「恋愛感情と性的欲求はひとくくりでまとめられる感情」と考える人がいるのも事実。しかし、アロマンティックやノンセクシャルの例にあるように、恋愛感情と性的欲求は必ずしも一致するわけではないのです。
 

アロマンティック診断

 
LGBTQIAと比べるとアロマンティックの理解はまだ広まっていないとはいえ、少しずつ広まるにつれ、オンラインでできるアロマンティック診断が増えてきています。
 
今回は、日常生活で感じる感情をもとにした診断方法をご紹介。たとえば、以下の質問のいずれかに「はい」と回答した場合、アロマンティックに当てはまるかもしれません(3)
 

  • 恋愛ドラマや映画、恋愛をテーマにした本やマンガ、作品中で恋愛をしている有名人などの気持ちに共感できない
  • 恋愛することを期待されたり、当たり前だと思われたりしていることが原因で、周囲の人や芸能人に恋をしたふりをした経験がある
  • テストや大勢の人の前に立つときにドキドキすることがあっても、他者に対してドキドキした経験がない

 
上記の質問を通して、「自分はアロマンティックに当てはまる」と思った方もいるでしょう。ただ、アロマンティックである可能性が高いというだけで、アロマンティックに必ず当てはまるわけではありません。
 
最終的にセクシャリティを決めるのは自分なので、いずれかのセクシャリティに当てはめようと急ぐ必要もないのです。
 
(3)出典:What It Means To Be ‘Aromantic,’ According To Experts
 

アロマンティックを支援するには

 

 
アロマンティックの当事者を支援したいと思ってはいるものの、何から始めれば良いかわからないと感じる場合は、より身近なことに目を向けてみると良いかもしれません。
 
たとえば、「恋愛感情を抱かないからパートナーはいない、結婚はしない」「人間に愛情を感じない」「恋愛自体に魅力を感じない」などの偏った考えをアロマンティックに対して持つ人がいるのも事実。
 
まずはアロマンティックを理解し、お互いに正しい情報を共有すれば、このような考えが広まってしまうことを防げます。
 
また、友達や親しい人との会話では、誰かと交際している話題や、彼氏・彼女などの言葉が出てくることも。
 
このような身近な場面に目を向け、「誰もが恋愛したいと思っている」「恋愛の話はどんな人でも興味がある」「交際している相手を彼氏・彼女と呼ぶ」という前提自体を疑問視する必要があるでしょう。
 
アロマンティックを支援する方法として、「アロマンティックは理解されない」「アロマンティックであることがつらい」などの悩みを抱えている当事者の声を聞くことが挙げられます。アロマンティックに関連する活動への参加を通じても支援できるでしょう。
 
ただ、もしアロマンティックの当事者に直接関わる機会がなくても、身近なことに目を向けて取り組むことが大切ではないでしょうか。
 

さいごに。

 
ここまで、アロマンティックの意味や特徴を解説してきましたが、LGBTQIAを含む数多くのセクシャリティに自分の存在を当てはめることに違和感を感じる人がいるのも事実。
 
そのため、セクシャリティを「人間の恋愛感情や性的欲求、性的指向にはあらゆる傾向があることを理解するための概念」「セクシャルマイノリティかどうかにかかわらず、誰もが自分らしく生きるために必要な考え方」のように捉える必要があるでしょう。
 
そして、この記事が多種多様なセクシャリティの1つであるアロマンティックへの理解を深める一助になれば幸いです。
 
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

               
ライター:Yuka Hirose
ベトナムとカンボジアで行った教育関連の活動をきっかけに、国際協力や環境問題に興味を持つ。大学では化学を専攻し、バイオマスプラスチックについて研究。現在はライター・英日翻訳者として活動。
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