CSO | 最高サスティナビリティ責任者が、100年後も活躍する企業をつくる

近年、持続可能なビジネスへの関心が高まるにつれ、CSO(最高サスティナビリティ責任者)への注目も集まってきています。
CSRとはまた異なる、サスティナブルな分野への進展が求められる企業にとって、舵を握りプロジェクトを進めてくれる人材への需要は高まっていることでしょう。
当記事では、CSO(最高サスティナビリティ責任者)の概要から、どのような役割を果たしているか、なぜCSOが必要とされているのか、企業のCSO導入事例までご説明いたします。
CSO(最高サスティナビリティ責任者)とは?
まず、CSOとはChief Sustainability Officerの略で、最高サスティナビリティ責任者の称号です。
CSOは、主に企業のサスティナビリティ部門を統括する役割を果たし、持続可能なビジネス戦略の中核を担う、重要な存在です。
CSO以外にも、企業によって称号は異なり、CGO(Chief Green Officer)や、CECO(Chief Environmental Commitment Officer)など環境面に注力した責任者に対する称号もあります。
重要視されているCSO
近年、CSOの存在が重要視されている理由は、大きく二つあります。
国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)に取り組む企業への高評価
2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)。
2030年までに達成することを目標に、国連やそれに派生する機関が注力しています。国際機関だけではなく、世界的有名な企業もSDGsにそった経営を始めているのです。
企業の責任として、SDGs達成に貢献できる事業が求められており、さらにSDGsへの取り組みを行っている企業への評価は高いことがわかっています。
ESG投資によるサスティナブルな領域で活躍する企業へのチャンスが広がる
サスティナブルな取り組みや事業への関心が高まる近年、「ESG投資」という言葉が一つのキーワードです。ESG投資は、下記の3つの単語の頭文字から成り立っています。
- Environment(環境)
- Society (社会)
- Governance(ガバナンス)
つまり、環境・社会・ガバナンスの3つのポイントで評価を得られる企業に集まる投資が、ESG投資なのです。
CSOを採用し、サスティナビリティの領域で活躍する企業になることは、このESG投資をより多く集められる理由でもあります。さらに、ESG投資は国連でも推奨されているため、国際的な権威もあります。
CSOの業務内容や企業での役割
ハーバードビジネススクールによると、CSOの役割は各企業におけるサスティナビリティ部門の成熟度によって変化するとされています。
成熟度は、大まかに、コンプライアンス、効率性、イノベーションの三種類に分類され、各フェーズにおけるCSOの役割にはそれぞれ特徴があります。ひとつずつ見ていきましょう。
コンプライアンス(Compliance)
サスティナビリティ部門が初期段階である企業の場合、コンプライアンス(法令遵守)が鍵になります。
特徴としては、以下の3点。
- 法規制をしっかりと遵守した事業展開が求められる
- 従業員のボランティア活動などは戦略的ではない
- CSOの役割を明確に設置していない場合が多い
基本的に、この段階では、CSOは法律をきちんと守りながらプロジェクトを進めることを求められます。
効率性(Efficiency)
次の段階では、企業はより戦略的なサスティナビリティ活動の展開に踏み出すことになるため、CSOという明白な立場が導入される場合がほとんどです。
- 経営の効率性やコスパを高めながら、サステナビリティ活動を行う
- 結果が目に見えやすいサスティナビリティに注力する(資源の利用料削減、CO2排出量削減、廃棄物削減など)
これらの2点が、この段階における特徴です。
正式に設置されたCSOが、はCEOとの協力の元、企業のボトムラインの改善や、企業の評価を守り、向上させることが求められます。
イノベーション(Innovation)
サスティナビリティの領域で、最も進んだ段階にいる企業においては、サスティナビリティが事業の核としてとらえられており、経営戦略とサスティナビリティ戦略がもはやイコールの存在にあります。
このイノベーションの段階の特徴は、下記の3点。
- サスティナビリティの責任はCEOからCSOに委譲されている
- サスティナビリティ部門に注力することが企業の競争優位である
- 気候変動や水資源の確保などより大きな社会課題に取り組める
最も、イノベーションの段階にいる企業は未だに少ないですが、世界的に有名な企業の中にはCSOを採用することで成功を収めている会社がいくつもあります。
今回は、その中から4企業をご紹介します。
CSOを採用した企業の事例4選
IKEA
IKEA
2019年2月から、サブスクリプション型の家具レンタルサービスをスイスで始めたイケア(IKEA)。
これを皮切りに、イケアは2030年までに全商品をサーキュラーエコノミーに当てはめると宣言しています。つまり、リユース、リサイクル、さらにアップサイクルのプロセスを全商品がたどれることを目標にしているのです。
CSOの活躍により、大量生産・大量販売から循環型のビジネスモデルへとダイナミックな変革が行われています。
Patagonia
パタゴニア(Patagonia)は、顧客から回収した衣類を修復し、専用のECサイト「wornwear.com」で販売しています。衣服を寄付してくれたユーザーには、ギフトカードが渡り、修復された服を再度購入できるという流れが構築されています。
また、修復不可能な衣服に関してもアップサイクルを行い、「Recrafted」というサービスを通して販売しています。
CSOがサプライチェーンや販売のシステムなどを見直したことにより、サスティナブル企業というブランディングに成功した事例です。
Walmart
世界で年間13億トンにも上る食品廃棄物削減を目標に設立された、「10x20x30食品廃棄物削減イニシアティブ」に参加しているウォルマート(Walmart)。
13億トンといっても、想像がつきにくいと思いますが、世界で生産された食料の、なんと1/3に及ぶ食品ロスが起きているのです。
食品ロス削減のために立ち上げられた、イニシアティブには、日本のイオンをはじめ、イギリスやフランスの大手企業も参画しており、世界的規模で食品ロス削減の実現に向けて動き始めているのです。
Tiffany
世界的に有名な高級ジュエリーブランドであるティファニー(Tiffany)も、CEOを採用したことにより、持続可能なジュエリーブランドとして業界全体を引っ張っていくことを目標としています。
宝石の資源を採掘する過程の9割以上の透明化に成功し、搾取や犠牲のないエシカルなジュエリーにこだわっているのです。
また、ティファニーのコスタCSOは2025年までに使い捨てプラスチックの使用や温室効果ガス排出ゼロを達成することを宣言しています。
サステイナブルなビジネスを成功させることによって、コスタCSOは「次世代のジュエラー」となるとのことです。
このような世界的企業のように、サスティナブル領域に注力ができる人材であるCSOを導入するという選択肢は、これから先の予測不可能な未来で生き残るために、賢明であると言えます。
さいごに。100年後も輝く企業であるために。
当記事では、CSOについて、CSOを導入した企業のプロジェクト事例をご紹介しました。
企業の事例で上げたように、サスティナビリティ領域に力を入れることは、企業のブランディングにもなる現代。CSOが中心となってサスティナブル事業を進めることは、これからの企業に求められているのです。
100年後も活躍できる企業でありたい、そんな企業を応援したい、と思った皆さんは、ぜひこの記事をシェアしていただければと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。





