マンスプレイニング|女性に説明したがる男性の心理と具体例を解説

サスティナブル

皆さんは、マンスプレイニングという言葉をご存知でしょうか?
 
マンスプレイニングは、一言でいうと、『説明したがりな男性』の行動を示します。まだ、マンスプレイニングが世界に広がってから10年ちょっとしか経っていませんが、ジェンダー格差を是正し、持続可能な社会のために確認しておきたい概念。
 
当記事では、マンスプレイニングの概要と背景、そしてマンスプレイニングの事例をご紹介します。ここで、最初にお伝えしておきたいのは、マンスプレイニングが男性を否定する概念ではないということ。
 
すべての人間が平等で、持続可能な世界を目指す現代において、マンスプレイニングは知っておきたい1つの概念ですので、ご説明いたします。
 

マンスプレイニング(Mansplaining)とは?

マンスプレイニング(英語: mansplaining)は、名詞『man(男性)』と動詞『explain(説明する)』の造語。女性は男性よりも知識がないという偏見から、男性が自信過剰で見下すような態度で女性に説明する侮蔑的な行為のことです。
 
マンスプレイニングという言葉が登場したのは、2008~2009年と言われており、世に出てから10年ちょっとの言葉です。マンスプレイニングと対になる対義語は存在しません。
 
2008年出版の『説教したがる男たち』という本のなかで、作者のレベッカ・ソルニットは明確にマンスプレイニングの言葉を使わっていませんでしたが、女性が受ける経験として同義の内容を述べていました。
 
その後、ライブジャーナルというSNS上でマンスプレイニングが初めて使用され、拡散されていきました。
 
2010年には、類似語の『mansplainer(マンスプレイニングをしている人)』がニューヨークの「ワード・オブ・ザ・イヤー」に選ばれ(1)、2018年から『マンスプレイニング』は、最も有名な辞書であるオックスフォード英語辞典にも掲載されています。
 

コラムオックスフォード辞典によるマンスプレイニングの定義

“男性が女性に何かを説明する際に、自分が女性よりも多くのことを知っている、理解していると思っていることを示す方法で説明すること。”(2)

 
(1)Mansplaining the word of the year – and why it matters
 
(2)Oxford Learner’s Dictionaries
 

知っておきたい2つの用語

マンスプレイニングと合わせて、場をつくる人が知っておきたい用語が2つありますので、ご紹介します。
 

トーンポリシング

トーンポリシングとは、英語で『tone(口調)』と『policing(取り締まる)』が組みあわさった表現です。
 
意味としては、「話し方警察」や「話し方を取り締まる」などがあります。詳しくご説明すると、トーンポリシングとは苦しんでいる人の状況や本質ではなく、訴え方や表現方法に噛みつくこと。
 
例えば、環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんによる演説に対し、『攻撃的な話し方だ』と批判することは、トーンポリシングだと言えます。
 

シーライオニング

次にご説明するシーライオ二ングとは、本当は理解するつもりはないのに、『理解したいので教えて』という姿勢を装い、執拗に質問を繰り返すことで相手を疲れさせる話し方です。
 
シーライオニングの主な目的は、時間の浪費やハラスメントで、シーライオニングの特徴を持つ話し方をする人は、相手の説明や回答をわざとわからないふりをし質問を続けます。
 

マンスプレイナーの特徴

マンスプレイナー
マンスプレイニングの定義や意味などを確認しましたが、マンスプレイナー(マンスプレイニングをする人)は、一体どのような特徴を持つのでしょうか?こちらでは、マンスプレイニングがもつ3つの特徴をご説明します。
 

女性より多くを知っていることを披露する

まず1つ目は、女性よりも自分が多くのことを知っていると見せびらかすこと。
 
一般的に、マンスプレイニングは男性優位の力がはたらく領域にて、より多く見られると言われています。男性が優位な領域とは、スポーツ、自動車、コンピューター、ゲーム、建築、機械など。
 
女性は何も知らない存在だから、教えてあげなきゃいけないというステレオタイプがあり、知識を披露することがマンスプレイニングの特徴です。
 

聞いてないのに説明する

マンスプレイニングの特徴2つ目は、聞いていないのに説明をすることです。この特徴を表す1枚の漫画(3)がネット上で話題となりました。
 
その漫画の内容とは、美術館で1枚の絵に対し、女性が「この絵はどういう意味かしら?」と発言。すると、隣にいた男性が説明を始めたというものです。
 
女性側としては、質問をしていないのに関わらず、一方的に説明をすることはマンスプレイニングに当てはまります。
 
(3)The New Yorker:Facebook
 

SNS上で強く反論する

3つ目の特徴は、女性はこうあるべきというステレオタイプがひとり歩きし、SNS上でジェンダーロールにそぐわない発言があると、反論してしまうこと。
 
母親として、そして女性としての理想がベースにある発言が多く見られます。このように、女性への価値観を押し付ける発言をすることは、マンスプレイニングの特徴の1つです。
 

なぜ説明したがる?マンスプレイナーの心理とは

説教する男性
なぜ、必要以上に説明したがるのか。
 
次に、マンスプレイニングをする人の心理に迫っていきます。主な理由となる心理状態は以下のとおりです。
 

  • 女性は何も知らないというイメージがある
  • 自分が上に立ちたい心理

マンスプレイニングの特徴を説明した部分でも、少しお伝えしましたが、女性は何も知らない存在というステレオタイプが大きな要因に。
 
男性優位社会と男尊女卑の社会環境に生きる男性にとって、女性は知識がないという印象が強く、説明する行動に至っています。
 
また、女性はか弱いとか、抜けてる女の子が可愛いなど、社会にある女の子らしさへのイメージによって、女性へのステレオタイプがつくられているのです。
 
そのため、マンスプレイニングをする男性に敵対心を持つ前に、社会の構造部分から見つめてみることをおすすめします。
 

マンスプレイニングが問題視される理由

マンスプレイニングが問題視される理由は、『女性はあまり知らないから教えてあげよう』というステレオタイプが、性差別につながったり、ジェンダー格差を助長する要因になったりするから。
 
単に、マンスプレイニングによって1を話したら10で返されるからめんどくさい。と思わせるリスクがあるだけでなく、社会でジェンダー格差の是正が目指されている現代において、マンスプレイニングはジェンダー平等を防ぐ可能性があるのです。
 
また、男性が多いスポーツや機械系、医療の世界にて、マンスプレイニングが起こりやすいとお伝えしましたが、医者といえば男性の職業などとジェンダーで役割を分類する人にマンスプレイニングの特徴は見えやすい傾向に。
 
女性の社会進出が増加し、幅広い分野で女性が活躍している現代においては、ジェンダーによって分野への向き不向きを語ることは望ましくありません。
 
このような理由から、女性への勝手なイメージを植え付けるマンスプレイニングは、問題視されています。
 

マンスプレイニングの事例

説明したがる男性
では、マンスプレイニングの特徴や心理、そして問題点まで確認したところで、マンスプレイニングの実際の具体例を見ていきましょう。
 

①『ポテサラ事件』

ツイッター上で話題となったのが、ポテサラ事件(4)。幼児を連れた女性、がスーパーでポテトサラダを購入しようとした場面で、高齢男性が「母親なら、ポテトサラダくらい作ったらどうだ」と発言しました。
 
この場面を見ていた他の女性が、ツイートし、物議を醸し出した一件。
 
女性なら。母親なら。このようなステレオタイプが先走りし、女性に説教をしてしまった例です。
 
(4)「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」 ツイートが大反響を呼んだ三つの視点 | 毎日新聞
 

②生理タンポン用手袋の開発

次にご紹介するのは、生理に対するマンスプレイニングです。
 
男性3人が立ち上げたドイツのスタートアップ企業が、生理用タンポンを清潔に外すためのピンクの手袋『ピンキーグローブ』を開発しました。
 
商品の発売が発表された後、ピンキーグローブは生理は不潔で恥ずかしく、隠すべきものだという生理に対するネガティブイメージを助長するものだと、批判が集まる結果に(5)
 
このように、女性を思ったサービスでさえも、生理のタブー化を助長し生理に対するマンスプレイニングだと批判されるケースがあります。
 
(5)生理用品を捨てるピンクの手袋に、女性たちが反論。「全く必要ない製品」
 

マンスプレイニングにお困りの方へ

マンスプレイニングがどのような行動なのか、イメージがつきましたでしょうか?
 
ひょっとしたら、あの人の言動はマンスプレイニングだったのかも。身近で起きるマンスプレイニングにお困りの方へ、5つの対処法をお伝えします。
 

  1. 聞き流す
  2. 大げさなリアクションは避け、コメントは手短に
  3. 第3者目線で俯瞰する
  4. 関わらないようにする
  5. 相談できる人に相談する

まず、有効なのはある程度話を聞き流すことです。そして、話を早く切り上げるために、大げさなリアクションは避け、コメントは手短にしてみましょう。
 
それでも、どうしてもマンスプレイナーの言動が不快に感じる方は、その場面を第3者目線で俯瞰してみることもおすすめ。マンスプレイナーだけでなく、その人を取り巻く社会環境まで考えてみてはいかがでしょうか。
 
さらに、最終的な解決策は、マンスプレイニングの特徴を言動に持つ人と距離を置くことと、相談できる人にその都度相談することです。
 
精神的にまいってしまうのは、心の健康にもよくないので、自分にあった対処法を実践していただけると幸いです。
 

その行動は必要とされている?立ち止まってみよう

立ち止まって考えよう
反対に、自分のふるまいや発言がマンスプレイニングに当てはまるのか気になる方へ、ご自身がマンスプレイニングをしているのか確認できる質問をご紹介します(6)
 

  1. 相手から質問を受けたのか?
  2. 説明しようとしている分野について、自分が相手より経験があるのか?
  3. 相手は説明が必要なのか確認したか?

説明や説教、自分の意見を伝える前に、上記の3つの質問を心に思い浮かべて見ましょう。
 
これら以外にも、場の雰囲気なども加味し、話始める前に一呼吸置いてみることをおすすめします。
 
(6)Mansplaining, explained in one simple chart – BBC Worklife
 

男性を否定する言葉ではないことを知ろう

マンスプレイニングが、『man(男性)』と『explain(説明)』で成り立つ言葉であるから、マンスプレイニングは男性を否定する言葉に聞こえるかもしれませんが、そうではありません。
 

必ずしも男性がマンスプレイニングをするわけではない

皆さんにお伝えしたいことは、すべての男性がマンスプレイニングをするわけではないこと。
 
『男性は説明したがり』とくくってしまうことも、男性へのステレオタイプに。マンスプレイニングの特徴を、男性だけがもつとは言い切れないので、すべてのジェンダーに当てはまる人が振り返りたいトピックです。
 

説明できることが男らしさではない

また、マンスプレイニングという言葉ができた背景には、『説明できる』ことが男らしさの要素の1つとなっている社会的背景もあると考えています。
 
女性より優位に立つことや、女性に説明できることだけが男らしさではないので、社会がつくる『男らしさ』という概念から自由になることも1つの解決策です。
 

さいごに。

当記事では、男性が女性に必要以上に説明することを意味する『マンスプレイニング』にいついて、多角的な視点からご説明しましたが、いかがだったでしょうか?
 
特に、現代はジェンダー平等を実現する取り組みが広がっているため、女性へのつくられた価値観を助長してしまうマンスプレイニングは、1度見直したいトピックです。
 
冒頭でもご紹介しましたが、レベッカ・ソルニット作家の『説教したがる男たち』という本はマンスプレイニングをより理解するのにおすすめの作品。
 
女性だから、男性だから、と分類するのではなく、すべての人の個性が輝ける社会のために、マンスプレイニングの問題点を理解いただけていたら幸いです。
 
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

               
ライター:Ayaka Sato
Ethical Choiceのインターン。自分のアクションで、地球のどこかの誰かが幸せになってくれる、そんな未来を描いて日々奮闘中。
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