「リジェネレーション」の意味とは?サステナブルは次のステージへ

サスティナブル

日本でも「サステナブル」という言葉が日常的に使われるようになってきました。
 
社会に広がるたくさんの課題を前に“持続可能”な未来を実現させるため、意識や行動を変えていく必要が求められていますが、世界では既にサステナビリティからのアップデートが始まっています。
 
次なる潮流は、「リジェネレーション」。サステナビリティの次のステップとも言われる「リジェネレーション」とは、どんな動きでしょうか。
 
今回は、リジェネレーションの意味を事例を交えてご紹介します。
 

リジェネレーションとは?

 

「リジェネレーション(Regeneration)」とは、再生、再建、新生、など物事の蘇りや刷新のようなニュアンスを持つ言葉です。
 
サステナビリティでは行き届かない部分があるのではないか、本当により良い未来が実現できるのかと考えられた結果、サステナビリティを補うような概念で「リジェネレーション」、「リジェネラティブ(Regenerative)」が使われ始めました。
 
サステナビリティの先を行く考え方だという論調が広がっていますが、サステナブルが終わりを迎え、リジェネレーションに置き換えられるということではなく、サステナビリティを含む全体を見通す視点としてのリジェネレーションの位置付けを覚えておきましょう。
 

「サステナブル」の定義と問題点

 
そもそも、サステナビリティとはどのような定義で使われているのでしょうか。
 
欲望のままに地球の資源を使用してきた経済活動を見直し、“持続可能性”をもって未来へつなぐことを考えるサステナビリティ。「持続できる」、「耐えうる」という意味を持っています。
 
つまり、環境を維持し現状を悪化させないようにする最低限の取り組みだということ。ここに、サステナブルの限界があったのです。
 

サステナブルの限界


引用元:Urban Eco-System Holistic approach toward regenerative architecture
 
上記の図は、20年以上にわたって持続可能性の実践の最先端を定義してきたRegenesisグループのビル・リード氏による「Trajectory of Environmentally Responsible Design」のコンセプトをグラフ化したもの。エネルギーの必要量が横軸に、行動の段階を縦軸に表しています。
 
右上に向かうほど再生的なリジェネラティブに、左下に向かうほど退廃的な方に向かうことに。このグラフによると、サステナブルは中立に位置付けられています。
 
昨今の日本ではサステナブルがバズワードのように飛び交い、持続可能であることが理想郷のように取り上げられがちですが、サステナブルを達成することはつまり、プラスマイナスゼロの状態になるということ。環境に対しての先進性や発展性の意味合いが含まれていません。
 
果たして“持続”は、豊かな未来のゴールに最適だといえるでしょうか。
 

課題や解決方法まで全体を見通す視点

 

先ほどのコンセプト図によると、リジェネラティブは「人間も自然の一部となりシステムを共進化させるフェーズ」であると説明されています。
 
サステナビリティの要素を含みながら歩みを進めたリジェネレーションは、現状を悪化させないだけでなく環境にとってプラスになるよう前進し、全体を見通す視点であるといえるでしょう。
 

地球のシステムはそんなに簡単じゃない

 
特に産業革命以降現在に至るまで、人類の活動によって地球は想像以上のダメージを受けてきました。
 
その負債はほとんど限界に達し、気候や自然の生態系においては修復不可能な状態であるともいえます。
 
脱炭素社会へと世界中の国々が取り組みを行なっていますが、仮に全ての国で二酸化炭素の排出をゼロにすることができたとしても、地球環境はすぐ元どおりになるわけではありません。
 
複雑に関係し合っている地球のシステムに対して、持続させるだけでは不十分な領域に踏み込んでしまっているのです。
 
これまでのように富を生み出す経済発展が主体の文明から、環境システムの健康を維持することを目的とした文明に移行する必要があるのかもしれません。
 

リジェネレーションの事例

 

それでは、企業による事例をみながらリジェネレーションとは具体的にどのような取り組みが該当するのかご紹介します。
 
再生を見込むリジェネラティブなアプローチは経済から文化にまで及びますが、その有効性を最も現すことができるのが農業の分野です。
 

パタゴニア社

 
アウトドアウェアで人気のパタゴニア社が、食品事業を展開しているのをご存知でしょうか。
 
パタゴニア・プロビジョンズは、豊かな土壌を搾取していく現代の工業型農業に危機感を抱き、土壌を蘇らせることをプロセスに含む「リジェネラティブ・オーガニック農法」によって、健全な土壌で多くの作物を生み出す取り組みを行っています。
 
リジェネラティブ農業を通してやせ細ってしまった土壌を以前の肥沃な状態に戻すことは、健康な作物の生産を可能にするだけでなく、土や有機物に含まれる二酸化炭素を減らし、大気にをクリーンにすることを目的としています。
 
こうした土壌の修復、そして動物保護、労働者の生活向上など生産を通した一連の流れがポジティブなサイクルを生み出すことは言うまでもありません。
 
世界中より多くの農場で健康的なフードシステムを構築するため、2017年には「リジェネラティブ・オーガニック認証」を設立。リジェネラティブな農業を通して、長期的な解決策を提示しています。
 

ユニリーバ社

 
一方、ロンドンに拠点を置くユニリーバ社は、2020年に10年間取り組んできた企業のサステナビリティ戦略をアップデート。新たに、リジェネレーションに重点を置いた目標を発表しました。
 
食品・洗剤・ヘアケアなど一般消費財を扱うメーカーながら、2023年までに一切の森林破壊を行わないサプライチェーンを構築し、2039年までに商品の生産から店頭に流通するまでにかかる温室効果ガスの排出を実質ゼロを目指すと掲げています。
 
サプライチェーンにおいては、土壌や生態系を保全しながら再生させ、地域社会にも好循環をもたらすリジェネラティブ農業を導入するとのこと。同様にアメリカのウォルマート社でも、ゼロエミッションの対策と環境保護と回復を目指す目標を発表しています。
 
このように、これまで温室効果ガスを削減するゼロエミッションに重点を置いていた企業が次々に、環境問題を全体像で捉えるリジェネレーションの動きをみせています。
 

私たちにできることとは?

 

これら企業の取り組みは大規模で影響力がありますが、私たちが日常で行えるリジェネレーションとはどんなことでしょうか。
 
それは、まず正しく知ること・意識することから始まるはずです。
 
サステナビリティが古い考えであり、間違っているというわけではありません。
 
持続可能な未来を実現するための先進的な行動がリジェネレーションの概念になっているのです。
 
これまでのように暮らしの中で廃棄削減に取り組み、その先の一歩を考えてみてはいかがでしょうか。
 
それでは、最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。
 

               
ライター:Hirokawa Karin
エシカル 、環境、SDGs、地域創生などサステナブルなテーマでWebメディアの制作に従事。フォトグラファーに始まり、ライター、コンテンツディレクター、SNSマーケと幅を広げてパラレルキャリアを邁進。週末は黒帯を締めております。
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