グレート・リセットとは?ダボス会議で語られるアフターコロナの世界とは

サスティナブル

グレート・リセットとは、社会のシステムを一旦リセットし、刷新しようという試み。
 
アフターコロナの社会をより良くするためにも、世界のトップたちはグレート・リセットを実現させようとすでに動き出しています。
 
当記事では、グレート・リセットとは一体何で、どのような背景で必要とされているのか、そしてグレート・リセットをするために重要な3つの要素を中心に説明していきます。
 
さらに、グレート・リセットを成功させるに当たって、今注目されているのが日本の経営体系。日本の企業や、私たち個人にとっても外せない概念なので、この記事で理解を深めていただければ幸いです。
 

グレート・リセットとは?

グレート・リセット(英訳:The Great Reset)とは、現代社会にて、社会や経済などあらゆるシステムを見直し、世界がより良い場所へとなるように『リセット』をすること。
 
現状、世界を動かす政治や経済システムなどの社会システムは、第二次世界大戦後に勝者となった先進国が中心でつくったものです。
 
これらの既存のシステムは、当時は途上国だった新興国が台頭する現代に当てはめようとすると、どうしてもひずみが生じてしまいます。
 
なぜなら、現代にある格差問題を解決しようとしても、社会システムがある故、構造的に解決できないものが多いため。
 
ここで、現在必要とされているのは、持続可能で平等な社会を実現するために社会の構造自体をリセットすること。つまり、社会システムをリセットする『グレート・リセット』に注目が集まっているのです。
 

ダボス会議2021のテーマに

グレート・リセットは、世界経済フォーラム(以下WEF)が開催する首脳や企業の重鎮が集まる国際会議『ダボス会議2021』にて、テーマとして設定されました。
 
例年スイスのリゾート地ダボスで開催されるダボス会議は、コロナの影響でシンガポールで開催が予定されていましたが、再びシンガポールでコロナの流行が拡大したため中止に。
 
ダボス会議2021が中止された理由については、下記の記事をご確認ください。
 
ダボス会議2021についてのニュース記事
 
ちなみに、ダボス会議は、政治家や企業などさまざまなステークホルダーが一丸となって世界的課題を毎年テーマとし話合われる会議です。2021年のテーマには、アフターコロナの時代に重要な『グレート・リセット』が選ばれていました。
 

アフターコロナの時代にグレート・リセットが注目される

the great resetについて
では、アフターコロナ、またはウィズ・コロナの時代にグレート・リセットの概念が注目される背景にはどのようなものがあるのでしょうか?
 
今回は、グレート・リセットが必要とされる理由を、以下の3つに分類してご説明します。
 

  • 持続可能な社会をつくるため
  • 加速する気候変動に終止符を打つため
  • 働き方や雇用市場を見直すため

それぞれの項目について、ひとつずつ見ていきましょう。
 

持続可能な社会をつくるため

まず、持続可能な社会をつくるために『グレート・リセット』が注目されています。ここで、持続可能な社会を定義するのに必要な要素は、『格差や不平等を解決すること』。
 
コロナ禍でも、被害をより大きく受けた層が貧困層やジェンダー、人種的に弱い立ち場にいる者であることから、構造的な格差は注目される課題です。
 
つまり、社会の動きのなかで発覚した不平等や格差を是正するために、『グレート・リセット』が必要となっています。
 

加速する気候変動に終止符を打つため

2つ目の背景は、進行を続ける気候変動に終止符を打つため。
 
世界各国が脱炭素を宣言しているように、カーボンニュートラル(脱炭素)な社会を実現するために、今ある資本主義が影響する気候変動を止める動きが必要とされています。
 
日本では異常気象による豪雨、世界各地では大規模な森林火災、そして極めて珍しい熱波など、『異常』な環境問題が普通に起こっている現代。
 
しかし、コロナ禍で人の往来や工場が止まると、観光地などを中心として一時的に環境汚染が改善しました。気候変動を食い止めるためにも、現代の活動を考え直し、リセットすることが求められています。
 
その中でも、期待されているのが石炭電力から脱し、再生可能エネルギーへ移行することで、脱炭素社会を実現することです。
 

働き方や雇用市場を見直すため

3つ目の背景は、従来の働き方や雇用市場を見直す目的です。
 
現在、AIの台頭やDXが著しく進むことで、必要とされる職が変わり、雇用市場は大きく変化しています。また、コロナ禍で職を失いやすい職種が明らかになりました。
 
WEFは、AIによる職の自動化を人の仕事を奪う変化ではなく、より多くの雇用を生む変化へとするために、各国政府には労働法や社会保護などの見直しを求めています。
 
また、グレート・リセットでは、雇用市場の変化に対応するために新たな教育制度を導入することが必要に。パンデミックのような変化や、目まぐるしく変化する雇用市場にも柔軟に対応できる人材育成と、労働者を守る制度が求められているのです。
 

資本主義をグレート・リセットする

上記の背景の他にも、WEFによると、『資本主義のグレート・リセット』が重要であると訴えられています。
 
グレート・リセットは、ステークホルダー資本主義を推し進める機会に。ステークホルダー資本主義とは、企業の経営に関わるすべてのステークホルダーとの関係性を大切にし、取り組みを通してステークホルダーへ貢献する長期的に評価される企業経営を指します。
 
従来の資本主義は、よりよいサービスを提供し、個人や企業の利益を拡大する経済システムのこと。すなわち、目の前の利益を拡大する取り組みではなく、長期的な企業経営を実現するために、資本主義のグレート・リセットが必要だと言われています。
 
では、アフターコロナの時代をより良い社会を目指し、資本主義のグレート・リセットを実現するには、何が必要とされているのでしょうか?
 

世界はすでに動き出している

ぐれーとりせっとに動く世界
WEFは、グレート・リセットを実現するために大きく分けて3つの取り組みが重要だと発表しています。
 

  • 公平性のある市場を実現すること
  • 刷新された投資プログラムの活用
  • 力を合わせ公共の利益に取り組むこと

それぞれの要素を、ひとつずつ確認していきましょう。
 

公平性のある市場を実現すること

まず始めに、グレート・リセットの実現には『より公平性のある市場を目指し、かじ取りをすることが必要だ』とWEFは述べています。
 
具体的に政府に求められることは、税制、規制、財政政策などのあらゆる調整と、貿易の決まりを改善し、ステークホルダー資本主義を実現させる条件を整えることです。
 
さらにWEF、富裕税の変更や化石燃料補助金を廃止すること、知的財産権、貿易、競争を管理する新たなルールを制定するなど、国のシステムを見直す大きな改革を実施すべきであると主張しています。
 

刷新された投資プログラムの活用

次に、新しく導入された投資プログラムを活用し、停滞する社会や経済システムの変革が求められています。
 
EU(欧州委員会)からの多額の復興基金や、日米中が用意した景気対策基金などの資金、そして民間企業や年金基金からの投資を、公平で持続可能な新たなシステムづくりに活用しようという動きです。
 
せっかく、多額の資金があるならば、古いシステムの歪みを一時的に修復するためではなく、グリーン都市の構築など、ESG投資に繋がる取り組みに充てることで、より長期的な効果を目指していく姿勢が必要とされています。
 
ESG投資について、こちらの記事で詳しくご説明しています。
 
ESG投資を説明した記事
 

分野をまたいで力を合わせ、公共の利益に取り組むこと

3つ目に大事な姿勢は、分野を超えた協力で、公共の利益を目指すことです。
 
特に、第四次産業革命のイノベーションを活用し、健康と社会的問題に尽力することが求められています。
 
コロナ禍で、ワクチン開発に多様な分野が尽力し、類をみないスピードでワクチン開発が進んだように、他の問題解決にも多分野の協力体系を転用すれば、さまざまな健康問題を解決できる可能性がWEFにより示されています。
 
上記のように、グレート・リセットを実現するためには、大きく3つの側面でから取り組むことが必要です。
 

日本に期待が集まっている

ステイクホールダー資本主義
ここで、WEFは『グレート・リセット』を成し遂げるに当たって、日本に注目をしていることをご存知でしょうか?
 
それは、日本に古くから根付く精神が、グレート・リセットを進行させるキーワードである『ステークホルダー資本主義』へ貢献する可能性をもつというもの。
 
日本の商売には、江戸時代から売り手と買い手、社会にとっても良い『三方よし』の精神が受け継がれています。
 
このような経営スタイルが、企業経営に関わるすべてのステークホルダーに貢献しようとする『ステークホルダー資本主義』に当てはまると言われているのです。
 
WEF創設者のクラウス・シュワブ氏も、日本の三方良しの考えが重要であることを示しており、今後も日本の経営スタイルに期待が集まっていくと考えられます。
 

企業には何ができる?

ここまで、グレート・リセットを実現するために、世界の動向として必要なことはおわかりいただけたのではないでしょうか。
 
では、グレート・リセットを実現するにあたって、企業には何が求められているか、簡単にご説明します。
 
企業に求められるものは、『柔軟性+アジリティ+レジリエンス』の経営。アジリティとは、目まぐるしい環境変化に対応する意思決定のスピードを含む『機敏性』を表し、レジリエンスは、困難な状況にも上手く対応できる力を意味します。
 
今後、繁栄を続ける企業には、柔軟にタスクの自動化やギグタレント、提携、外注などの多様なオプションを持ち、意思決定をしていくことで強固な基盤をつくることが必要です。
 

私たちの生活への影響は?

投資信託は個人ができること
パンデミックによって、個人の生活は簡単に変化することが明白になりました。そのため、アフターコロナの世界に欠かせない『グレート・リセット』は、世界や企業単位だけでなく、私たちの生活を守るためにも必要な概念なのです。
 
グレート・リセットが注目されるなか、個人の生活にフォーカスすると、個人資産の運用に注目が集まったり、副業など複数の収入源を用意したり、柔軟な選択が広がっています。
 
このように、私たちの生活に影響がある変化なので、グレート・リセットについて今後もアンテナを高く張っていきましょう。
 

さいごに。

当記事では、アフターコロナの世界を見据える際に欠かせないアイディア『グレート・リセット』についてご説明いたしましたが、いかがだったでしょうか?
 
コロナ禍で浮き彫りになった社会課題を解決し、より良い社会を目指すには今の社会システムを見直し、アクションを起こすことが必要です。
 
グレート・リセットは、世界で起こっている大きな事象に見えるかもしれませんが、私たちひとりひとりの生活に影響することですので、これからも何か情報があればお伝えいたします。
 
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

               
ライター:Ayaka Sato
Ethical Choiceのインターン。自分のアクションで、地球のどこかの誰かが幸せになってくれる、そんな未来を描いて日々奮闘中。
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