トレーサビリティとは?導入するメリットと4つの事例を紹介

サスティナブル

追跡可能性ともいわれる「トレーサビリティ」は、これからのクリアな社会に欠かせないもの。
 
今回はそんなトレーサビリティの言葉の意味や企業における実例などについてご紹介します。
 
その重要性やメリット等についても言及しておりますので、知識を深めたい方はぜひご覧ください。
 

トレーサビリティとは?

 
トレーサビリティ(英語表記:traceability)とは、日本語では「追跡可能性」といわれる言葉。
 
「追跡」を意味する「Trace(トレース)」と「可能」を意味する「Ability(アビリティ)」を組み合わせて作られた言葉です。
 
業界によってその定義は微妙に異なりますが、主にあるひとつの食品や商品に対し、生産段階から流通、そして場合によっては消費者、廃棄段階までの追跡が可能になる管理状態のことをいいます。
 
全ての原材料やその生産工程なども追跡可能にして明らかにするため不正事例が起こりづらく、また品質が保証されるため食品分野等を中心に世界各国で広がりつつあります。
 
日本では、牛肉と米(コメ加工品含)といった食品分野にトレーサビリティが義務づけられています(牛トレーサビリティ法・米トレーサビリティ法)。
 

チェーントレーサビリティと内部トレーサビリティ

 
トレーサビリティには、主に2つの方式があります。
 
まず一つ目は、「チェーントレーサビリティ」。
 
一般的にトレーサビリティといえばこの方式を指すことが多く、例えば食品であれば原材料、生産など流通段階を追跡・管理できる仕組みのことです。
 
生産者・消費者双方がその流れを追跡することができます。
 
そして二つ目が「内部トレーサビリティ」です。
 
こちらは、生産企業・工場内でその製品がどういった過程を通ってできたかということを明確化することです。
 
部品の仕入れ先や品質検査の結果などを出荷後にも追跡・管理できるようにします。
 

重要視されるようになった背景とは


トレーサビリティが重要視されるようになった背景は、大きく分けて2つあります。
 
まずは、消費者に向けた安全性の確保と管理ということです。
 
トレーサビリティの考え方が重要視されだしたのは、1900年代後半といわれています。
 
日本でも、2000年に起こった「BSE問題」(狂牛病といわれることもある牛の疫病の流行をきっかけに判明した牛肉産地偽装事件の総称)などの事例をきっかけに、一部食品に対しトレーサビリティが義務化されました。
 
もう1つ、重要なポイントとしてはエシカルな観点というものがあります。
 
具体的には、生産物を作る過程で違法労働(児童労働など)や違法採取が行われていないということを明らかにできるということ。
 
クリーンな生産・流通課程をきちんと管理し、公開することで地球と人に優しい製品を作ることができるのです。
 

ブロックチェーン技術により進化する追跡性

 
例えば株式会社ナイキでは、ブロックチェーンと言われる技術を使いスニーカーの所有者IDを追跡・特定できる仕組みを作り出しています。
 
ブロックチェーンとは、もともと仮想通貨の公開取引台帳の用途のため開発された技術。
 
具体的には、ブロックといわれるデータの単位を連結し、供給先から購入者までの履歴をネットワーク化できるというものです。
 
これにより、模倣品等の追跡・特定ができるほか、バーチャルゲームでお揃いのスニーカーが履けるようになるなどユニークな使い方も期待されています。
 
このような動きは、ダイヤモンドの取扱業者などでもみられます。
 

トレーサビリティを条件にする規格も

 
多くのカフェで取り扱われ、人気を博している「スペシャルティーコーヒー」をご存じでしょうか。
 
厳しい条件で審査される特別なコーヒーで、味はもちろん、トレーサビリティーやサステナビリティの確保なども条件とされています。
 
こうした、トレーサビリティーが確立されていることが重要なポイントと考えられるジャンルもあるのです。
 

導入するメリットとは?


食品や商品に追跡タグや番号ラベルをつける、新しい管理システムを開発するなどコストや手間がかかるトレーサビリティですが、メリットがあるからこそ企業は積極的に取り入れようとするもの。
 
続いてはそんなメリットをご紹介します。
 

メリット①問題発生時の原因特定・回収が簡単

 
トレーサビリティのメリットとしてまずあげられるのは不良品などによる問題対応が簡単にできることでしょう。
 
具体的には、製品を作る上で何か問題が起きた時にも、トレーサビリティによって生産過程の記録が管理されているとその原因特定が簡単にできるようになります。
 
また、製品のロット単位での回収や追跡も簡単にできるため、クレームや不具合など何かあった時にも対応がスムーズにできるでしょう。
 

メリット②現場の意識向上

 
現場の意識が向上することも、トレーサビリティのメリットの1つです。
 
特に「内部トレーサビリティ」ではひとつひとつの工程がきちんと履歴としてわかりやすく記録されるため、各製造業者における責任感がより強まる効果が期待できます。
 
結果的に品質・作業効率が上がることも期待できるでしょう。
 

メリット③企業イメージの向上

 
トレーサビリティがしっかりしているという企業は、それだけで顧客からのイメージが良くなります。
 
消費者は一般的に、安心感のある食品や商品を求める傾向にあります。
 
特にエシカルな生産過程を重視している企業であればそれを公開することは、顧客との信頼関係がより強固になる効果が期待できるでしょう。
 

メリット④顧客管理の容易化

 
トレーサビリティとは、生産から流通、消費、廃棄までを明確化することを言います。
 
納入先・顧客の情報もまとめて管理することになるので、顧客の嗜好や受注傾向などが分かり生産計画などが立てやすくなるというメリットがあるのです。
 
また、前述のとおり製品回収という事例にも対応しやすくなります。
 

トレーサビリティの具体例とは

 
トレーサビリティを取り入れる企業というのは、増加傾向にあります。
 
食品のトレーサビリティはもちろん、宝石や自動車メーカーなどさまざまな分野の企業が注目しています。
 
続いては、そんなトレーサビリティを取り入れた企業の一部についてご紹介します。
 

「セブンアンドアイ」

 
セブン&アイグループでは、取り扱う商品に対しトレーサビリティを含む「持続可能な調達基本方針」を定めています。
 
「顔が見えるお魚。」「顔が見える野菜。」「顔が見える果物。」など、消費者に向けた水産業者・農業従事者の情報開示もしており安心してお買い物ができる取り組みも行っています。
 

「GESHARY COFFEE」

 
人気カフェ「GESHARY COFFEE」では「農園からカップまで」を一貫して管理しています。
 
前述の「スペシャルティコーヒー」も取り扱っており、透明性の高い一杯を楽しむことができます。
 

「スマイソン」

 
レザー雑貨や文具等を取り扱う「スマイソン」。
 
そんな「スマイソン」で取り扱うレザーアイテムは、原料のトレーサビリティを重視しているものばかり。
 
環境・動物福祉に対しても透明性を大切にしているため、エシカルなアイテムを購入することができるでしょう。
 

「EARTHRISE」

 
トレーサビリティが確保されているエシカルダイヤモンドだけを取り扱う「EARTHRISE」。
 
ダイヤモンドの発掘から研磨などをきちんと管理しています。
 
人権侵害、児童労働なども行われないクリーンなダイヤモンドは、作る人や販売する人、そして使う人にも幸せを与えてくれるでしょう。
 

トレーサビリティの課題と今後


メリットも多数あり、また多くの企業が取り入れるトレーサビリティですが、課題が残っているのも現状です。
 
続いては、そんなトレーサビリティの課題と今後の展望についてご紹介します。
 

トレーサビリティーの課題とは

 
トレーサビリティーの課題とは、ひとつの商品・サービスを取り扱うすべての業者が足並みをそろえなければいけないということです。
 
例えば、トレーサビリティーのための機械・システムの導入はもちろん、価値観・認識・精度などのすり合わせも重要になります。
 
特に様々なクライアントと取引をしている企業の場合は、相手の企業それぞれのシステムや計測方法に対応しなくてはならず、現場が疲弊してしまう可能性が指摘されています。
 

トレーサビリティーの今後

 
前述の課題をクリアし、よりトレーサビリティーを浸透させるため、現在情報機器メーカーをはじめさまざまなメーカーが独自の追跡・管理システムを構築中。
 
具体的には、QRコードを利用したシステムやICタグを使ったシステムがそれにあたります。
 
また、使われる場も食品分野以外にも医療、建築などさまざまな分野に広がっていくでしょう。
 
企業・消費者と双方向からの関心が高まっているトレーサビリティーは、今後ますます強化され活発に活用されることが期待されています。
 

さいごに。透明性の高い社会を持続するために

 
全ての工程を明らかにし、分かりやすくするトレーサビリティー。
 
消費者としても、生産者のことや生産過程が分かる食品や商品というのは特別に愛情もわき、そして安心できるものですよね。
 
より透明性の高い社会で、安心して暮らすために、トレーサビリティーに注力する企業には、今後も注目していきたいと思います。
 
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。

               
ライター:Ethical Choice編集部
Ethical Choice編集部です。エシカルな生活を送る知恵、サスティナビリティに関する取り組み、環境問題に対するソリューションを発信いたします。
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